プロの基本動作の一つ。投資における断言は禁句。「絶対上がる」や「絶対儲かる」と連呼する人は全員ペテン師。

なので断言ではなく **99.9%の確率で** 次の一言を言わせてください。

# コロナバブルは終わった。

ドットコム以来の、鼻血が出そうな高バリュエーション。
「イノベーション」という魔法の言葉で10年かけても利益が出ない数兆円規模のIPO。
子犬の顔がついてれば暴騰する。

さぞかし楽しかったと思うが、ほぼ確実に終了している。

バブルの終わりの特徴はいろいろあるけど、最も重要なのが…

# ボラティリティ。

今週はウクライナ戦争で再び地政学的が顕在化して色んなリスク資産が乱高下しているが、実はその乱高下は **ウクライナ戦争前から起きているし、今後も勢いを増していくであろう。**

**![image.png](https://grid-images-production.cryptact.com/d31f8995-2ed1-4da9-9895-a7b370a43964)**

株のボラティリティが語られる際は必ずVIX指数が取り上げられる。ただし、いつも見ているVIXが何を意味するかは皆さんご存じでしょうか。

VIXというのは、 **S&Pオプションのインプライドボラティリティ（IV)** を表すもの。オプションのボラティリティはブラックショールズモデルの変数であり、オプション価格を求めるための一つの要素。つまりVIXは現在のオファーとビッドに基づいて価格からボラティリティを逆算したもの。

要は相場が「大きく動いている」時だけではなく「大きく動きそうな」時もVIXが上がる。

蛇足だが、VIXが表しているものは数式に利用する変数の値であって、「20」や「40」が具体的に何を意味するかを知らない方が多いのでは。トレーダーの多くは「16のルール」でボラティリティを簡素化する。根拠は数式の紹介が必要で割愛するが、1年の取引日数は約256日で、256の平方根が16。ボラティリティは年換算値で表すので日次のボラティリティを求めるには1日当たりの値が必要。

そこで覚えやすいルールとして年率のボラティリティを平方根である16で割れば、一日の平均変動率の概算が出せる。例えばボラティリティが16の場合は、16/16＝1％で、毎日平均的に1％変動するという概算になる。20の場合は20/16で約1.25%。あくまでも簡素化されたルールによる概算だが、リーマン危機最中の80だと毎日平均的に5％の変動を意味する。

ただ、「16」や「20」を見ただけで「じゃあ結局どれくらい上がる（下がる）の？」に答えるのが難しい。

**そこでもう少し皆さんに、直感的にわかりやすい見せ方で過去のボラティリティを見せたいと思います。**

![image.png](https://grid-images-production.cryptact.com/1090f1a8-e895-4c4b-82b5-8869c15d7056)
上図はボラティリティではなく、NASDAQ指数の月次ロウソク足の高値と安値の乖離率と、それらの6か月間の移動平均線。ここで注目して頂きたいのが、1999年～2003年のITバブル崩壊後の4年間。上のVIXをもう一度見て頂ければ、ナスダックと違いS&Pの2000～2003年のボラティリティが約30程度で高いが、リーマン危機やコロナショックに比べて低い。その低さに、実はもう一つの理由があるが、それ最後にご紹介する。

上の月次の乖離率を見て頂くと、1999～2003年の間、NASDAQは実は毎月平均的に…

# 上下25％動いていた。

ドットコムバブルの崩壊はずっと右肩下がりだったというイメージがあるかもわからないが、短期トレーダーが遊び放題の楽園のような相場だった。なおリーマンもコロナショックも、そこまで長く高ボラティリティを維持できなかった。チャートをご覧いただければわかるが、どちらも数カ月以内で10％前後の水準に回帰している。

リーマン前の住宅バブルは、不動産価格が異常なくらい上昇したが、株価とバリュエーションは実はそこまでではなかった。2003年～2007年においてNASDAQの平均予想PERが25倍～27倍で、ドットコムにつけた50倍以上に比べ極めて正常な水準。今回はコロナショック後にナスダックが予想PER45倍を付け、正にドットコム並みのユーフォリアが表れていた。

そしてコロナバブルが終わった今は、バリュエーションの平均的な水準への回帰が始まっている。

そこで言えるのがコロナバブルの過剰が消滅するまでどこまでの下落と時間がかかるかはわからないが、 **一直線に調整することはなかろう。**

2020年5月～2021年12月の間は、皆さん大好きのNASDAQ100の月次高・安値の乖離率が平均的に8.8％だったのにして、 **2022年1月が20.3%、2022年2月は今日現在で10.8%。**

**バブル崩壊に欠かせないボラティリティが構造的に上昇し始めている。**

ただ、ドットコム時代と大きく異なる要素がある。上にも述べたが、VIXはリーマンやコロナショックの時に過去になかった水準まで跳ね上がった理由がある。

そもそも「ボラティリティ」そのものが幅広く商品化され構造的に拡大しているからだ。

![image.png](https://grid-images-production.cryptact.com/f894ba4f-ea08-43ec-98f0-63626dc9c712)
上のチャートは米国全市場の指数と個別株オプションの出来高枚数の推移。オプションの投資家と参加者が増えるほど、ボラティリティそのものの価格に影響が出る。2000年前後は月間１億枚未満だったオプションの出来高が、現在 **9億枚にも上る。 18倍以上の拡大だ。**

特にコロナショック後の伸びが堅調で相場の構造が20年前に比べて根本的に変化している。

大きなショックが起きない限り、ボラティリティの商品が増えることによってボラティリティそのもの変動がより多い参加者によって抑えられるはず。と同時にオプションの買い手が多い中で、反対側でオプションリスクをヘッジするマーケットメーカーも増加する。前者は価格変動を抑える効果があるが、後者はその変動を加速させる影響を及ぼす。

今回のバブル崩壊はどういった形で収束するかは未知数だが、オプションそのものの存在感がここまで膨張しているのは **私の18年間の投資家人生の中でも初めて。**

怖っ…

バブル崩壊の構造：信じるものはボラティリティのみ