Explore 281 discussions
11月の雇用統計が金曜日に発表。非農業部門雇用者数が前月比+21万人と市場予想の+55万人を大幅に下回った。一方で失業率は4.2%と前月の4.6%からさらに低下し2020年2月以来の低水準となった。なお、10月の雇用者数の増加は54.6万人と当初の53.1万人から上方修正されている。賃金も引き続き上昇。前月比+0.3%、前年同月比+4.8%となった。雇用者数の増加幅はそう大きくはないが、失業率の低下と賃金上昇の継続からテーパリング加速の議論に支障はないとの声が大きい。12月の金融政策決定会合でテーパリング加速について検討すべきとパウエル議長は先週証言している。 これをうけて米国株式市場は序盤こそ上昇していたが、雇用統計発表後にテーパリング加速を警戒して下落へと転じた。一方で金利は逆の動きとなっており、雇用統計発表後に上昇したが、全体的なリスクオフの流れや景気悪化を懸念して最終的には大きく金利は下がっている。利上げを織り込みにいく動きにはなっておらず、来週の決定会合後の展開が待たれる状態となっている。 そんな中で、リフィニティブのデータによると、S&P500の企業の今後4四半期(21年第4四半期─22年第3四半期)の業績予想に基づくPERはは21.2倍と発表された。PERの水準だけで言えば割高と言えるほどの水準にもなく、あとは業績が予想通り達成できるかどうか次第となっている。2021
昨晩の米国株式市場は大きく上昇。これといったニュースがあるわけでもないが、オミクロン株への動揺が始まって以降大きく売られていたバリュー系や旅行系の銘柄が反動で大きく買われることになった。相変わらずオミクロン株に対しての懸念と消化が定まっておらず、値動きの荒い展開となっている。そこに輪をかけて、FRBのタカ派なメッセージも効いているのだろう。平時であれば、まぁそうだよね、というレベル感の話だがオミクロン株への懸念のせいでマーケットも冷静な評価が出来ていないように思う。 繰り返しであるが、オミクロン株による経済への打撃があるのかないのかで政策の方向性も変わってくるし、現時点では影響が読めないので影響がないのであればという前提の会話に過ぎない。もっとも、オミクロン株の経済への影響、というよりそもそもどれほどの脅威なのか?というのも、現時点では感染者数の拡大に比例して重症者や死亡者が増えているという話はあまり聞かない。もうあと2週間ほど最低でも必要なんだとは思うが、重症化率や死亡率が減少するのであれば、感染者数が増えても大した問題でもないだろう。そうなれば経済への影響もそもそも大したことない、という可能性も十分ある。 日本株も個別株をみると売り込まれている銘柄が非常に多い。今週はレジャー系を仕込んで半年寝てたらいいのでは?と話したが、他にも賛否両論ありそうなソフトバンクグループなんかも気に
昨夜の米国株式市場は米国内オミクロン株の検出報道を受けジェットコースターのように高値から切り返し大きく下落。S&Pは一時1.9%上昇していたが、その水準から3%下落して取引を終了。ナスダックも同様に1.8%上昇の水準から3.6%値下がり。パウエル議長は証言二日目の発言は昨日のタカ派姿勢を維持したが、リスクオフ懸念から金利が大幅に低下。 昨日発表されたマクロ指標は引き続き景気拡大を示した。明日の雇用統計前のADPの+53.4万人は市場予想を上回り、3か月連続50万人以上の勢い。製造業のISMは市場予想をやや下回ったが、61.1と先月の60.8から改善し、2000年以降ほとんどなかった60強の水準を維持した。 オミクロン株蔓延で12月1日の南アにおける感染者が一昨日の水準の約倍となり、検査の陽性率が16.5%に上昇。11月中に検出された陽性者のうち、74%がオミクロン株でデルタ株を上回る。今後数週間でオミクロン株の感染力及び重症化リスクがより明確になってくるだろうが、それが判明前でも各国がすでに実施している対策の経済への影響が顕在化するであろう。 オミクロン株は言うまでもなく、インフレ圧力を加速するポテンシャルがあり、労働参加率を低くする影響を及ぼすだろう。さらなる賃上げの要求や、転職率の上昇がつづくと、より根強いインフレ圧力がますます定着する。それを背景にこれまで行ってきた大胆な金融
昨日の米国株式市場は大きく下落した。先週金曜日末の下落後と比べて、ダウとS&Pが1%近く下回る水準となり、一方でNASDAQは金曜日末より0.3%ほど上昇している。FRBのパウエル議長がインフレについて一過性ではない可能性があると言及したことや、テーパリングの加速についての議論を検討すると発言したことで、予想に反してタカ派であったことが下落の大きな背景。オミクロン株への懸念がある中でのタカ派発言となり、マーケットは混乱することになった。 もっともパウエル議長自身も、オミクロン株についてはこれらの発言や見通しに含まれていないと言っており、オミクロン株が経済に与える影響について今後の詳細情報を待つと言っている。つまり、オミクロン株が経済に影響を与えない、というより考慮しない前提での上記の会話であり、影響が与えるなら当然話も変わってくるだろう。そのため、オミクロン株と金融引き締めの両方を懸念するのはナンセンスだと引き続き考えている。 月曜日のマーケットコメントでも書いた通り、この一連の混乱は過剰反応だと思っており、日経平均が28,000円を割ったところからヘッジの先物の売りのカバーを始めている。現実はオミクロン株の影響はそう大きくないという結論になると予想しているが、影響が大きくなるのであれば政策のサポートをせざるを得ない局面が出てくると考えている。インフレはもちろんリスクではあるが、イ
昨夜の米国株式市場は金曜日のオミクロン恐怖を払拭してナスダックを筆頭に大きく反発。下がっていた原油や長期金利が上昇し、VIXも大幅下落。南アの医療関係者がオミクロン株の重症化リスクに対して前向きな発言をしたことが好感され、金曜日に広まっていた不安が沈静化した。 私は長く相場に関わってきた身として日々の値動きに意味を見出そうとする癖がある。大体の場合は需給やポジショニングだけで決まってしまうのを理解しつつも。金曜日と今日のような値動きを見ると、思わず「相場はオミクロン株の感染力や重症化リスクに対して何かを知っているかも!」と思ってしまう。実態はもちろんより簡単であって相場は何も知らないまま、買いと売りが出会う価格でひたすらと上下しているのみ。要はプロでもボラティリティに左右される。 そして今の相場にボラティリティが豊富にある。 コロナ禍時代の一つの特徴は、極端な、大胆な行動に対する抑制が効かなくなっていること。 いわば決断のボラティリティ。 2年前まで、副作用や変異株の発生を懸念しワクチン開発は10年間かかると言われてきた。今はオミクロン株に対するワクチンを100日以内に出荷できると、ファイザーやモデルナが発表している。いうまでもなく短期間で成し遂げた技術革新は凄まじいが、オミクロン株の分析が始まったばかりのタイミングですでに出荷に向けた準備をしていることに違和感を感じざるを得ない。
先週金曜日の米国市場は、大幅下落。コロナのオミクロン株登場に投資家心理が急速に悪化し、原油及び金利が急降下。株式市場も大きく下げることになった。タイミング悪く感謝祭翌日で休暇を取っていることの多い日程でもあり、取引自体も半日で終了する薄商いの日であったため、一方向に動きやすかったことも大きな理由であろう。日経平均先物も27,850円まで下がっている。 コロナの変異株が現れること自体よりも、それによってこのようなマーケットの反応があることは正直に言ってサプライズ。年内はもうイベントもないんじゃないかと思っていたが、その矢先にいきなり予想を外してしまった。ただ先週金曜日のマーケットの反応はかなりオーバーリアクションだと思っている。オミクロン株が結局どういう影響があるのか今一つわからないが、感染者数が増える⇒ロックダウン、という図式を心配しているのであれば、むしろリスク資産は買いだと思っている。過去2年間の繰り返しであり、金融緩和継続、ないし拡大、財政のさらなる拡張が予想されることから、これまで見てきたコロナ禍における資産価格拡大の再現だと想定している。 実際にはオミクロン株自体が経済に与える影響はそう大きくないとは思うし、だからこそ金融緩和や財政に与える影響もあまりないと思っているが、そうであるなら金曜の下げは行き過ぎており反発が期待できるのではないか。過去に変異株は何度も出てきたが、
米国株式市場は休場。 日経1面にある「人手確保へ待遇改善急ぐ」で、製造業や飲食で期間従業員やアルバイトの給料を大きく引き上げている報道が出ている。経済正常化のサインとして受け止められ、ようやく日本でもこういう賃金上昇の動きが出てきたかと思う。これと消費回復が伴っていけばコロナ以降のペントアップデマンドが少し見えてくるかもしれず、そこに期待したい。 もう少し言えば、日本でも賃金上昇⇒インフレの流れが来る可能性がある。人出不足の解消はそう簡単に終わらない可能性があり、賃金上昇とコスト増、それを転嫁するための値上げ、というサイクルがあらゆる業種でおこる可能性がある。グローバルではすでに起きていることだが、毎度のごとく日本では絶対値としてはインフレはほとんど起きていなかった。とはいえ日本全体でこの人出不足の流れが起きるとしたら、賃金上昇とインフレという、黒田さんがずっと待っていたインフレの機会がようやくやってくる可能性がある。 シンプルに考えるとコロナ禍前に働いていた人たちがまた同じ場所に復帰すれば済む話であり、人出不足となるとこの消えた労働力はどこにいったのだ?という話ではあるのだが、実際日本以外の各国で同じことが起きており、同じ場所に戻ってくれない上に全体として労働力不足に(なぜか)なっている。経済というより、社会レベルでの人の行動学みたいなものかもしれないが、いずれにせよ先行している
昨夜の米国株式市場はナスダックを中心に値上がり。発表された主要なマクロ指標はすべて想定を上回り、継続的な金融緩和の必要性が再び問われる展開となった。高いインフレ指標及びFOMCの議事録発表でテーパリング加速に加え利上げの前倒し観測がさらに強まり、カーブのフラット化と同時に2年金利が一年ぶりの高い水準に上昇。 具体的には個人所得が予想の+0.2%に対し0.5%伸び、支出も1%の予想に対し+1.3%。ミシガン大学消費者マインド調査も67.4と先月急低下した水準からやや安定。一方連銀が好むインフレ指標であるPCEは先月の+4.4%からさらに加速し、+5%を記録。再び30年ぶりの高インフレを確認。 それを受けてドル指数も2020年1月ごろの水準を回復した。お金の量(=M2)を40%弱拡大してきたにも関わらず、ドルの相対的価値がここまで急速に戻っているのは正直、驚いている。ドル円も115円台半ばまで上昇し、2017年1月以来の円安。 これまで超ハト派のFRBを理由に多少の高いインフレでも放置されると期待されたことから、本来であれば高リスク資産の株式・コモディティ・仮想通貨等がある意味、債券化した。皮肉なことに債券自体はインフレゆえに持つことができず。「下がったらすぐに下支えするだろう」といったモラルハザードが市場の恒常的な特徴となっている。そうすると高リスク資産の継続的なリターンが事実上「保
昨日は日本市場が休場であったため、FRB議長再任前後の展開のまとめと、仮想通貨市場にもやや関係するかもしれないFRB副議長についての話。 パウエル議長の再任を受けて、米国金利は上昇している。昨晩の米国株式市場はこの流れを受けて、ハイテク株、グロース株が売られて、バリュー株や金融株などが上昇する典型的な展開となった。 パウエル議長が再任したことで利上げが一段と積極的になると予想された、という見方のようだがこの見方にはあまり同意していない。何を基準に積極的というのか言葉の問題もあるかもしれないが、これまでパウエル議長が利上げに積極的だったとはあまり思えない。マーケットもパウエル議長の再任を基本的には予想していたわけでそこまでのサプライズはないと思うが、実際には直前になってパウエル議長以外の選択肢とそうなった場合が意識されて金利や金融株が下がっていたことが、反動として昨晩逆の動きとなった要因であると予想している。 本線ではないとはいえ、ウォーレン議員の推すブレイナード氏が議長になるリスクが直前になったやや意識されたのであろう。そうなった場合は金融緩和により積極的になった可能性があるのはそうかもしれないが、むしろヘッジファンド向けの融資等に関するより厳しい規制が導入されることが予想されたため、金融セクターは弱含んでいたのかと想定される。結果、パウエル議長の再任報道を受けて反動で戻した、とい
金曜日の米国株式市場はまちまちな展開。欧州で再ロックダウンの懸念が広がると、巣ごもり系、金利下落からのグロース系銘柄が買われる一方で、銀行、エネルギー、航空系などが下落。コロナ禍初期のような反応となった。FRB高官から次回の会合でテーパリング加速について議論する可能性も示唆されたが、金利市場に大きな影響は結果的に与えなかった。 各国が原油高に対抗するために石油備蓄の放出について言及。日本でも備蓄余剰分については放出するようだ。備蓄放出による原油市場への影響は、実際のところはそう大きくないと思うが、これによる心理的な影響からの価格下落を狙ってのことだろう。そういう意味ではこけおどしに過ぎないものの、実際に原油は直近の高値から10%近く下がっており、今のところは功を奏している。ただし繰り返し使える施策ではないので、話題性含めて吸収されてしまったら、より原油高に向かう懸念もあるので要注意。 岸田政権の経済対策について、あらためて深堀りしてみようと思う。先週指摘した通り、メッセージ性が0のためあまり注目もされていないのが実際だが、だからこそ中身を見てみる。 まず規模面。事業規模79兆円、財政支出規模55.6兆円と昨年12月5日に国会通過した菅政権の総合経済対策(事業規模72.9兆円)を更に上回っている。GDP規模で換算すると米国で320兆円近い水準であり、これは現在米国で進められている、総
引き続き金利はレンジの中で安定。その中で良好な企業決算や小売り見通しに支えられて株式市場はプラスとなった。序盤はFRB当局者からインフレに関する言及もありやや警戒感から下落していたが、金利市場への影響があまりなかったこともあり素直に企業決算に反応する展開へ。今のところは想定通り安定的な適温相場が続いている。 岸田政権からようやく経済対策について、55兆円という金額が出てきた。以前ここでも「真水で20兆円近く余っているのだから総事業費でいえば40-50兆円規模のものが出てもおかしくない」と説明していたが、その上限を超えるような規模であり金額でいえば素直にポジティブ。ただその打ち出し方が下手というのか、正直言ってマーケット慣れしていないようにしか思えない。岸田政権が真面目過ぎるのか不慣れなのか理由はわからないが、安倍・菅政権のときのような10のことを10以上に見せて打ち出すような、マーケットとのコミュニケーションが出来ていない。 これは案外重要なことで、同じ政策でも市場の反応が変わってくるのだから、その効果を考えればメッセージはとても重要であり、また投資においても政権のコミュニケーション能力は判断材料の1つとなる。中身だけでは必ずしもマーケットは動かない。考えてみれば当たり前だが政策効果が出るのは年単位の話なので、中身だけで勝負となると短期では反応しない。そのためにストーリーを演出する
昨夜の米国株式市場はここ数日の流れが一旦終わり、全体が下落。先日の10年、30年債に続いて20年債も不調な入札結果となったが、ここ一週間の金利の急上昇が一服し金利が全体的に低下。バイデン大統領も引き続きガソリン価格に対して口先介入を繰り返し、FTCにエクソンとシェブロンへの調査を命令したと報道された。これを受けて原油価格が3%値下がり。 本日は「まもなく」発表されるはずのパウエル議長とブレイナード理事のFOMC議長対決に関して少しだけ考えてみたいと思います。 お二方の違い パウエル議長とブレイナード理事の主な違いは、あまりない(笑)。しいて言えば大手金融機関に対する金融規制に関してはブレイナード理事がより厳格な姿勢。パウエル議長がウォーレン議員等に名指しで批判される際は主に金融機関に対するやや緩い態度が主な原因。どちらもハト派であり、どちらも資産価格を気にする富裕層でもある。そうなるとどっちになって関係ない!と思うかもしれないけど、一つ重要な(市場の想像による)違いがある。 利上げのタイミングを巡る論争 ブレイナード理事は別に明確に利上げのタイミングに関して何か方針を出しているわけではないが、市場の見方として彼女のほうがより長くインフレを「我慢」するとみているだろう。実際のスタンスはともあれ、市場のこのビューが、FOMC議長人選発表のタイミングで様々な資産に現れるだろう。 金利カー
米国株式市場は総じて上昇。10月の小売売上高が前月比+1.7%と、予想の+1.4%を超えて増加し、3か月連続で増加している。先週末のミシガン消費者信頼感指数は予想以上に低下していたが、消費者心理とは裏腹に実際の消費はあまり陰りは見えない。金利もFOMC前の水準い戻しつつあり、消費の強さに裏付けられて株式市場も強いという展開。当面政策面で大きな動きがなさそうだし、あるとしても数か月の統計指標を見てからでないと動けないだろうから、それまでの間はややリスクオンの相場であると理解している。 一方で為替はドルが上昇。ドル円のレートもさらに円安が進んでいる。価格転嫁できない輸入系の日本株には厳しい展開となりそう。個人的にパッと思いつくのは食肉加工の銘柄とか。PERの水準もすでに低いし面白味はかけるものの、ここからショートしてもやられるリスクは少なそうとか。もっとも適温相場が続くと予想している中であえてポートフォリオを変える意味も少ないので、その状況でショートを増やす意味はもっとない。そのため反対側のロングをしっかり持っておきたいのだが、どれも上がっているものが多くて悩ましい。だったら今持ってるものを持ち続けておけばいいという結論なので、しばらくは好きな銘柄もってマーケットを静観しているだけでもよさそうではある。かといって指数を取引してもあまりボラティリティもなさそうで恩恵も薄いし。 昨日は仮想
昨夜の米国株式市場は金利高を受けやや低調な展開。原油価格は引き続きバイデン大統領の戦略備蓄放出命令を懸念しもみ合い。昨日は珍しくカーブがスティープ化(短期金利より長期金利の上昇幅が大きかった)し、30年金利が一時2%を回復した。 FOMCのインフレに対する手遅れの対応が懸念され、市場が利上げの前倒し観測を強める一方。 本日のコメントにて少し米国から離れて、全世界のインフレ状況を見てみたいと思います。 ツイッターでもこちらのコメントでも継続的に米国のインフレ状況を紹介しているが、決して米国に限った現象ではないことを改めて強調したい。特に欧州におけるインフレは米国と同様に30年ぶり高い水準を記録し、インフレの「見て見ぬふり」姿勢はパウエル議長だけの演技ではない。 以下の図で全世界のGDPの約80%を占める国のインフレ(名目CPI)推移をまとめてみた。 右に行けば行くほど、全世界が真っ赤に染まっていく。 ヨーロッパに加えてアジア、先進国、資源国すべてが数十年ぶりのインフレを経験している。ずっとマイナスだった日本でもプラスに浮上。 先進国の中央銀行は「コアCPI」や「PCE」を重視し、ボラティリティの高いエネルギーや食料品を除いて政策決定をするが、足元のインフレにおいてすべての項目が高ボラティリティ化している。以前も何度か申し上げたが、この環境下で本来であれば価格転嫁ができない業種でも転嫁
金曜日の米国株式市場は上昇。一週間終わってみればほぼ横ばいとなり、CPI発表による金利の高騰は大きなボラティリティをもたらさなかった。金利も急騰後はあまり動いていない。金曜日にはミシガン大学が発表する消費者信頼感指数の11月が発表され、10年ぶりの低水準の結果であった。これによりインフレ加速の指標、消費後退の指標が入り乱れ、金利や利上げをどう織り込んでいいのかわからないような状況になっている。 結局数か月くらい様子をみないと、FRB含めて、マーケットもよくわからないのではないかと思う。そういう意味ではやはり金利は少なくとも年内はレンジの中での動きにとどまるだろうし、方向感が持ちにくい分指標1つでの動きがいつもよりボラティリティが増す展開になるだろうが、このレンジの範囲なら株式市場にとってはもう金利の動きは年内は無視してもいいんじゃないか?と思っている。 そう考えていくと、今回の決算も含めてこれから業績が伸びていく会社をシンプルに買っておくのがいいのかと思っている。バリューよりグロースという流れに先週なっていたのもうなずける展開。旅行等の銘柄も、まさにこれからは伸びる可能性もあるので、単純にバリュー系を捨てるという意味でもないが、要するに自分なりに業績予想をして増益をしていく会社がいいのだろう。金利の話がまたやかましくなりそうな年明けには、一度見直したほうが良さそうではあるが、実は利
昨日は、債券市場が休場だったので大きな動きはなかった。前々日のCPI発表をうけて金利が11bpsも急騰し、年末まで適温相場が続くかと思われた矢先にボラティリティが上がるような動きとなった。とはいえ、それまで金利が下がりすぎていたことが要因の1つでもあり、急騰したとはいえ絶対値が1.57%程度なので水準としては何かが変わるようなものでは全くない。金利の(金利に限らずだが)ボラティリティが上がることはやや懸念ではあるが、レンジで動いている分にはあまり影響もないだろう。 それよりも金利が直近高値の1.7%を越えていくような動きを見せてくるかどうか。利上げは遅かれ早かれ行われると思うし、それを加味すると2%超えても不思議ではないとは思うが、一方で金利はこれまで実際に政策が変わってくるタイミングを見て上昇している。つまり利上げすることが決まってくる段階まではレンジ相場かなと思っており、利上げするしないはテーパリング開始して最低3か月分くらいのデータポイントはとるだろうと思えば、年内に利上げに言及する可能性は今の態度を見ているとなさそうである、というのが僕の結論。 ただ株式市場にとって一番重要なのは、これがスタグフレーションなのかどうか、であろう。直近の経済指標は力強いものが続き、必ずしも経済が停滞している中でのインフレとはなっていない。昨日はディズニーの弱い決算でダウは引っ張られたが、S&P
昨夜の米国株式市場は1990年11月ぶりの6%強の名目CPIと二日連続の長期国債入札不調を受け大幅安。なおどさくさに紛れてショートセラーっぽい投資家から中国恒大集団の破綻を煽るプレスリリースが出され、全体が久しぶりに大きく揺らいだ。 特に昨日の10年債、今日の30年債の入札不調が印象的であり、PPIにつづきCPIの発表で債券投資家の価格センシティビティーが高まっていることが伺える。 CPIに関してツイッターで纏めておりご覧ください: https://twitter.com/aminimaz/status/1458428494627565569 中国恒大集団の報道についても今朝報告しているのでご確認ください: https://twitter.com/aminimaz/status/1458533085616631808 https://twitter.com/aminimaz/status/1458561926447845376 さて、本題へ。 昨日の米国金利が全体的に大きく上昇し、相変わらずフラット化(短期金利が相対的に長期よりも上がる)が進んだ。利上げの前倒し観測が強まる一方、中央銀行による政策ミスの可能性や金利上昇による景気後退の懸念から短期・中期(2年~7年)金利が平均的に11bps程度上昇したのに対し、10年~30年金利は8bps~9.9bpsに留まった。 その中で一番動い
10月の卸売物価指数(PPI)は、前月比₊0.6%と発表され、9月の₊0.5%から引き続き物価の伸びが加速していることが確認された。本日CPIが発表されるので、インフレの動向とそれに対する反応はおそらく本日のマーケットがより顕著に表れると思われる。昨日の米国市場は、こういったCPIを控えてのPPI発表に対してバラバラの反応であった。 まず金利はさらに低下。インフレを懸念しての物価連動債を購入する動きが大きい一方で、通常の国債にも買いが入ったことで金利は大きく下落している。インフレに注目している一方で、その長期化を懸念しての物価連動債購入する投資家と、先行き不透明なところから低リスク商品かつFRBのインフレ一時的見通しを支持する投資家と分かれている。株式市場はやや下落。テスラ株が、イーロン・マスクが株を売って税金払ったほうがいいかツイッター上で問いかけていることで、株市売却懸念から10%以上下げていることも影響があった。他、連日最高値更新していることに加えてインフレ懸念も含めて、利食い売りの動きが見られている。 本日のCPIで下がっている金利がどう反応するかが気になっているが、理由はともあれ全体でみれば低金利にとどまっている状況に変わりはなく、年末にかけてFRBの方針が急にタカ派にかわることもなさそうであるため、しばらくは適温相場が続くのではないかと思っている。 日本株については、会
昨夜の米国株式市場はテスラ売却騒動を吸収し再び最高値を更新。今夜のPPIと明日のCPI発表を控え短期金利を中心に上昇しフラット化がさらに進んだ。 今日は東芝の分社化報道を受け、多くの日本企業で見られるコングロマリット・ディスカウントを少し深堀してみたいと思います。 報道によると東芝はインフラ(電力、交通、エレベーター等)、デバイス(リテール向け商品、ハードディスク等)、半導体メモリーの三つに分け、「コングロマリット・ディスカウントの解消」を目標とした再編を検討している模様。 このコングロマリット・ディスカウントとはどういうものか、投資家がどう捉えているのでしょうか。 東芝のセグメント業績を見て頂くと7つの異なる事業を手掛けていることがわかる。それぞれ2000億円~7000億円の売上規模と、0.5%の薄利から9%の高営業利益率の事業がある(ROS=return on sales、売上高対比収益=営業利益率)。 投資家は東芝のような企業を評価する際はどういった指標を使うのでしょうか。表面的な収益だけを見て全社の株価収益倍率(PER)を使うケースがもちろん多いが、長期投資を見据えた大手機関投資家はSOTP(サム・オブ・ザ・パーツ)分析を用いるケースもある。 財閥系の歴史がある日本において、複数の異なる事業体で形成されている企業が多数存在する。 SOTPとは、それぞれの事業の理論的な価値を
金曜日に10月の米国雇用統計が発表され、+53.1万人と市場予想平均の+45万人より上振れ。さらに9月の雇用統計数字も+31万人と当初発表されていた+19万人から大幅に上方修正された。想定以上の雇用者数の回復により、労働市場にいよいよ復帰してきていることと、米国の経済活動の堅調さがうかがえる結果となった。賃金も前月+0.4%増と引き続き増加を続けている。 さらにファイザーが、開発中のコロナの経口治療薬について重症化リスクが大幅に低下したことを発表したこともプラス要因となった。メルクに続いて経口薬の開発が進んでることが示唆されたことで、再びコロナからの復活銘柄が買われる展開となっている。 一方で、金利は下落した。特に長期金利が大きく下落し、イールドカーブはフラット化している。2年及び5年金利は、力強い雇用統計の結果から当初は上昇を見せていたが、終盤にかけて下がり始め最終的には金利は下落。10年債は7bpsも低下することになった。正直金利の大幅な下落はやや解せない。先週のFOMCを受けて早期利上げの観測が後退したとはいえ、それも結局は状況次第。力強い雇用統計に賃金上昇、続くインフレが堅調であれば再び利上げ観測は台頭すると思われる。 加えて金曜深夜から土曜にかけて、1兆ドルのインフラ法案がついに下院を可決した。数か月前に上院を通過した段階で期待としてはある程度織り込み済であると思われるが