斎藤 岳@アイデアブック

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May 29, 2020
東京
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株と仮想通貨の投資をメインに行っています。 12年ほどゴールドマン・サックスの自己勘定部門及びヘッジファンドチームで投資をしてました。 基本的にボトムアップの... Read more


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【2021.11.26】日経1面「人手確保へ待遇改善急ぐ」、日本でもついにインフレと金利上昇がくるか。

米国株式市場は休場。 日経1面にある「人手確保へ待遇改善急ぐ」で、製造業や飲食で期間従業員やアルバイトの給料を大きく引き上げている報道が出ている。経済正常化のサインとして受け止められ、ようやく日本でもこういう賃金上昇の動きが出てきたかと思う。これと消費回復が伴っていけばコロナ以降のペントアップデマンドが少し見えてくるかもしれず、そこに期待したい。 もう少し言えば、日本でも賃金上昇⇒インフレの流れが来る可能性がある。人出不足の解消はそう簡単に終わらない可能性があり、賃金上昇とコスト増、それを転嫁するための値上げ、というサイクルがあらゆる業種でおこる可能性がある。グローバルではすでに起きていることだが、毎度のごとく日本では絶対値としてはインフレはほとんど起きていなかった。とはいえ日本全体でこの人出不足の流れが起きるとしたら、賃金上昇とインフレという、黒田さんがずっと待っていたインフレの機会がようやくやってくる可能性がある。 シンプルに考えるとコロナ禍前に働いていた人たちがまた同じ場所に復帰すれば済む話であり、人出不足となるとこの消えた労働力はどこにいったのだ?という話ではあるのだが、実際日本以外の各国で同じことが起きており、同じ場所に戻ってくれない上に全体として労働力不足に(なぜか)なっている。経済というより、社会レベルでの人の行動学みたいなものかもしれないが、いずれにせよ先行している

【2021.11.24】サプライズではないが、パウエル再任よりもブレイナード副議長就任が気になる

昨日は日本市場が休場であったため、FRB議長再任前後の展開のまとめと、仮想通貨市場にもやや関係するかもしれないFRB副議長についての話。 パウエル議長の再任を受けて、米国金利は上昇している。昨晩の米国株式市場はこの流れを受けて、ハイテク株、グロース株が売られて、バリュー株や金融株などが上昇する典型的な展開となった。 パウエル議長が再任したことで利上げが一段と積極的になると予想された、という見方のようだがこの見方にはあまり同意していない。何を基準に積極的というのか言葉の問題もあるかもしれないが、これまでパウエル議長が利上げに積極的だったとはあまり思えない。マーケットもパウエル議長の再任を基本的には予想していたわけでそこまでのサプライズはないと思うが、実際には直前になってパウエル議長以外の選択肢とそうなった場合が意識されて金利や金融株が下がっていたことが、反動として昨晩逆の動きとなった要因であると予想している。 本線ではないとはいえ、ウォーレン議員の推すブレイナード氏が議長になるリスクが直前になったやや意識されたのであろう。そうなった場合は金融緩和により積極的になった可能性があるのはそうかもしれないが、むしろヘッジファンド向けの融資等に関するより厳しい規制が導入されることが予想されたため、金融セクターは弱含んでいたのかと想定される。結果、パウエル議長の再任報道を受けて反動で戻した、とい

【2021.11.22】岸田政権の経済対策の中身。金額だけで言えばGDP対比で米国の刺激策を超える。

金曜日の米国株式市場はまちまちな展開。欧州で再ロックダウンの懸念が広がると、巣ごもり系、金利下落からのグロース系銘柄が買われる一方で、銀行、エネルギー、航空系などが下落。コロナ禍初期のような反応となった。FRB高官から次回の会合でテーパリング加速について議論する可能性も示唆されたが、金利市場に大きな影響は結果的に与えなかった。 各国が原油高に対抗するために石油備蓄の放出について言及。日本でも備蓄余剰分については放出するようだ。備蓄放出による原油市場への影響は、実際のところはそう大きくないと思うが、これによる心理的な影響からの価格下落を狙ってのことだろう。そういう意味ではこけおどしに過ぎないものの、実際に原油は直近の高値から10%近く下がっており、今のところは功を奏している。ただし繰り返し使える施策ではないので、話題性含めて吸収されてしまったら、より原油高に向かう懸念もあるので要注意。 岸田政権の経済対策について、あらためて深堀りしてみようと思う。先週指摘した通り、メッセージ性が0のためあまり注目もされていないのが実際だが、だからこそ中身を見てみる。 まず規模面。事業規模79兆円、財政支出規模55.6兆円と昨年12月5日に国会通過した菅政権の総合経済対策(事業規模72.9兆円)を更に上回っている。GDP規模で換算すると米国で320兆円近い水準であり、これは現在米国で進められている、総

【2021.11.19】打ち出し方がイマイチな経済対策55兆円。政策は中身と同時にメッセージとストーリーが重要。

引き続き金利はレンジの中で安定。その中で良好な企業決算や小売り見通しに支えられて株式市場はプラスとなった。序盤はFRB当局者からインフレに関する言及もありやや警戒感から下落していたが、金利市場への影響があまりなかったこともあり素直に企業決算に反応する展開へ。今のところは想定通り安定的な適温相場が続いている。 岸田政権からようやく経済対策について、55兆円という金額が出てきた。以前ここでも「真水で20兆円近く余っているのだから総事業費でいえば40-50兆円規模のものが出てもおかしくない」と説明していたが、その上限を超えるような規模であり金額でいえば素直にポジティブ。ただその打ち出し方が下手というのか、正直言ってマーケット慣れしていないようにしか思えない。岸田政権が真面目過ぎるのか不慣れなのか理由はわからないが、安倍・菅政権のときのような10のことを10以上に見せて打ち出すような、マーケットとのコミュニケーションが出来ていない。 これは案外重要なことで、同じ政策でも市場の反応が変わってくるのだから、その効果を考えればメッセージはとても重要であり、また投資においても政権のコミュニケーション能力は判断材料の1つとなる。中身だけでは必ずしもマーケットは動かない。考えてみれば当たり前だが政策効果が出るのは年単位の話なので、中身だけで勝負となると短期では反応しない。そのためにストーリーを演出する

【2021.11.17】久しぶりに仮想通貨の話題。FTXのアクセス制限と解消。DeFiがもっと広がる?
iconNov 16, 2021
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米国株式市場は総じて上昇。10月の小売売上高が前月比+1.7%と、予想の+1.4%を超えて増加し、3か月連続で増加している。先週末のミシガン消費者信頼感指数は予想以上に低下していたが、消費者心理とは裏腹に実際の消費はあまり陰りは見えない。金利もFOMC前の水準い戻しつつあり、消費の強さに裏付けられて株式市場も強いという展開。当面政策面で大きな動きがなさそうだし、あるとしても数か月の統計指標を見てからでないと動けないだろうから、それまでの間はややリスクオンの相場であると理解している。 一方で為替はドルが上昇。ドル円のレートもさらに円安が進んでいる。価格転嫁できない輸入系の日本株には厳しい展開となりそう。個人的にパッと思いつくのは食肉加工の銘柄とか。PERの水準もすでに低いし面白味はかけるものの、ここからショートしてもやられるリスクは少なそうとか。もっとも適温相場が続くと予想している中であえてポートフォリオを変える意味も少ないので、その状況でショートを増やす意味はもっとない。そのため反対側のロングをしっかり持っておきたいのだが、どれも上がっているものが多くて悩ましい。だったら今持ってるものを持ち続けておけばいいという結論なので、しばらくは好きな銘柄もってマーケットを静観しているだけでもよさそうではある。かといって指数を取引してもあまりボラティリティもなさそうで恩恵も薄いし。 昨日は仮想

【2021.11.15】読めない利上げや金利の動きを意識しなくていい銘柄を考える

金曜日の米国株式市場は上昇。一週間終わってみればほぼ横ばいとなり、CPI発表による金利の高騰は大きなボラティリティをもたらさなかった。金利も急騰後はあまり動いていない。金曜日にはミシガン大学が発表する消費者信頼感指数の11月が発表され、10年ぶりの低水準の結果であった。これによりインフレ加速の指標、消費後退の指標が入り乱れ、金利や利上げをどう織り込んでいいのかわからないような状況になっている。 結局数か月くらい様子をみないと、FRB含めて、マーケットもよくわからないのではないかと思う。そういう意味ではやはり金利は少なくとも年内はレンジの中での動きにとどまるだろうし、方向感が持ちにくい分指標1つでの動きがいつもよりボラティリティが増す展開になるだろうが、このレンジの範囲なら株式市場にとってはもう金利の動きは年内は無視してもいいんじゃないか?と思っている。 そう考えていくと、今回の決算も含めてこれから業績が伸びていく会社をシンプルに買っておくのがいいのかと思っている。バリューよりグロースという流れに先週なっていたのもうなずける展開。旅行等の銘柄も、まさにこれからは伸びる可能性もあるので、単純にバリュー系を捨てるという意味でもないが、要するに自分なりに業績予想をして増益をしていく会社がいいのだろう。金利の話がまたやかましくなりそうな年明けには、一度見直したほうが良さそうではあるが、実は利

【2021.11.12】インフレと為替、価格転嫁できるできないでロングショート組む?

昨日は、債券市場が休場だったので大きな動きはなかった。前々日のCPI発表をうけて金利が11bpsも急騰し、年末まで適温相場が続くかと思われた矢先にボラティリティが上がるような動きとなった。とはいえ、それまで金利が下がりすぎていたことが要因の1つでもあり、急騰したとはいえ絶対値が1.57%程度なので水準としては何かが変わるようなものでは全くない。金利の(金利に限らずだが)ボラティリティが上がることはやや懸念ではあるが、レンジで動いている分にはあまり影響もないだろう。 それよりも金利が直近高値の1.7%を越えていくような動きを見せてくるかどうか。利上げは遅かれ早かれ行われると思うし、それを加味すると2%超えても不思議ではないとは思うが、一方で金利はこれまで実際に政策が変わってくるタイミングを見て上昇している。つまり利上げすることが決まってくる段階まではレンジ相場かなと思っており、利上げするしないはテーパリング開始して最低3か月分くらいのデータポイントはとるだろうと思えば、年内に利上げに言及する可能性は今の態度を見ているとなさそうである、というのが僕の結論。 ただ株式市場にとって一番重要なのは、これがスタグフレーションなのかどうか、であろう。直近の経済指標は力強いものが続き、必ずしも経済が停滞している中でのインフレとはなっていない。昨日はディズニーの弱い決算でダウは引っ張られたが、S&P

【2021.11.10】インフレに対する見方は分かれるが金利は低下。適温相場くるか。

10月の卸売物価指数(PPI)は、前月比₊0.6%と発表され、9月の₊0.5%から引き続き物価の伸びが加速していることが確認された。本日CPIが発表されるので、インフレの動向とそれに対する反応はおそらく本日のマーケットがより顕著に表れると思われる。昨日の米国市場は、こういったCPIを控えてのPPI発表に対してバラバラの反応であった。 まず金利はさらに低下。インフレを懸念しての物価連動債を購入する動きが大きい一方で、通常の国債にも買いが入ったことで金利は大きく下落している。インフレに注目している一方で、その長期化を懸念しての物価連動債購入する投資家と、先行き不透明なところから低リスク商品かつFRBのインフレ一時的見通しを支持する投資家と分かれている。株式市場はやや下落。テスラ株が、イーロン・マスクが株を売って税金払ったほうがいいかツイッター上で問いかけていることで、株市売却懸念から10%以上下げていることも影響があった。他、連日最高値更新していることに加えてインフレ懸念も含めて、利食い売りの動きが見られている。 本日のCPIで下がっている金利がどう反応するかが気になっているが、理由はともあれ全体でみれば低金利にとどまっている状況に変わりはなく、年末にかけてFRBの方針が急にタカ派にかわることもなさそうであるため、しばらくは適温相場が続くのではないかと思っている。 日本株については、会

【2021.11.08】続く雇用回復、賃金上昇、経口薬開発、インフラ法案可決。一方で金利大幅低下とは。

金曜日に10月の米国雇用統計が発表され、+53.1万人と市場予想平均の+45万人より上振れ。さらに9月の雇用統計数字も+31万人と当初発表されていた+19万人から大幅に上方修正された。想定以上の雇用者数の回復により、労働市場にいよいよ復帰してきていることと、米国の経済活動の堅調さがうかがえる結果となった。賃金も前月+0.4%増と引き続き増加を続けている。 さらにファイザーが、開発中のコロナの経口治療薬について重症化リスクが大幅に低下したことを発表したこともプラス要因となった。メルクに続いて経口薬の開発が進んでることが示唆されたことで、再びコロナからの復活銘柄が買われる展開となっている。 一方で、金利は下落した。特に長期金利が大きく下落し、イールドカーブはフラット化している。2年及び5年金利は、力強い雇用統計の結果から当初は上昇を見せていたが、終盤にかけて下がり始め最終的には金利は下落。10年債は7bpsも低下することになった。正直金利の大幅な下落はやや解せない。先週のFOMCを受けて早期利上げの観測が後退したとはいえ、それも結局は状況次第。力強い雇用統計に賃金上昇、続くインフレが堅調であれば再び利上げ観測は台頭すると思われる。 加えて金曜深夜から土曜にかけて、1兆ドルのインフラ法案がついに下院を可決した。数か月前に上院を通過した段階で期待としてはある程度織り込み済であると思われるが

【2021.11.05】イベントは無事通過?個別株中心にリスクを取りやすくなったか。

米国市場は総じて上昇。早期利上げ観測の後退からグロース系を中心に上昇した。テーパリング前後から連日最高値更新を続けており、終わってみればイベントも無事に消化したような様相。テーパリングに至るまでかなりの時間をかけていたことで、ボラティリティはほぼなくなっていたのだろう。 さて、不透明な選挙とテーパリングがともに無事通過したことで、リスクを取りに行っていいかなと思っている。日経平均先物をヘッジでショートしていたが、大部分は解消しており、ここからは岸田さんの経済対策も出てくるだろうし、全体が大崩れすることはあまりなさそう。年末にかけて強い展開を予想している。 懸念があるとすれば、日本株の決算が見通し含めて、今のところは大きく上振れているわけではなさそうなところ。大型株は比較的堅調なので、日経平均やTOPIXは堅調かもしれないが、米株のように構成銘柄の80%が上振れ、という状況ではない。全体が一段あがる上で、ボトムの利益の貢献よりかはPERの水準訂正による効果に期待するしかないので、金利が再度上がり始めたりすると少し弱い側面はある。 決算はまだ全然見きれていないので、個別株のアイデアはまだ何も思いついていない。期限到来で自動的にアイデアがクローズされてしまったワコムは引き続き非常にいい決算で自社株買いとともに株価は上昇。ショートが非常に溜まっていた銘柄だったが、毎四半期好決算と自社株買い

【2021.11.01】自民党が予想外の大勝。気になるのは甘利幹事長の辞意の影響。

注目の衆院選の結果が出揃った。自民党が261議席の獲得となり、事前の報道と比較すると想定以上の大勝となった。自民党が単独で絶対安定多数といわれる261議席に到達できたことは、マーケットでも予想されていたとは思えず、素直に考えれば市場にとってはポジティブな結果であったといえよう。マーケットの位置を考えると、自民党の過半数割れまで織り込んでいたとは思えないが、それでもここまで議席を確保できたことは今後の政権運営考えてもかなりの市場の安心感がでると思われる。 一方で、懸念は甘利幹事長の辞任である。小選挙区で敗北したことで比例で復活とはなったものの、幹事長職の辞意を岸田首相に伝えたとか。甘利さんは岸田政権における経済対策を一手に引き受けて構想・実行する立場であっただけに、経済対策の停滞が非常に気になるところ。もっともスキャンダルによる辞任でもないので、別役職を引き受けつつ経済担当は続ける可能性もあり、形だけの辞任にとどまる可能性も十分にある。現状ではどういう辞任となるか判断がつかず、またさらに、仮に経済担当から外れたときの後任もわからないため、そのインパクトすらも読みにくい。 想定以上の与党の大勝により、今日の日本株はポジティブな反応になることが予想される。甘利さんの問題がややのどに骨が刺さっているような状態だが、具体的な影響が見えてくるまでは、マーケットが下値を意識することは少なさそう。

【2021.10.29】気になるイールドカーブのフラット化。他、ニチガス決算など。

良好な決算を背景に米国株式市場は上昇。S&P500社の内、半分近くが決算をだしており、80%程度が市場予想を上回る決算であった。またGDP速報値が出され、7-9月期の米国GDPは年率換算で₊2%と、市場予想の+2.7%を下回る弱さだった。4-6月期の+6.7%と比較して予想以上に減速することとなったが、一方で企業決算自体は予想以上の結果であった。デルタ株蔓延によって7-9月期の経済減速が懸念されていたが、GDPはその通りの結果であるものの、それと上場企業の決算は直接はリンクしなかった。このことが、企業業績に裏打ちされた上場株式市場でみれば、多少の安心感につながったものと思われる。 金利も数日ぶりに上昇に転じた。GDPは弱かったものの、同時に発表されたコア個人消費支出(PCE)価格指数が+4.5%となっており、インフレに注目して金利は上昇する結果となった。ただイールドカーブはフラット化しており、短期金利は上昇しているが来年以降はインフレ減速、あるいはデフレのような、そんな織り込みかたになっている。 昨日発表された決算、実際に投資するか考えている銘柄としてニチガス。原油上昇によるコスト増を背景に決算懸念から足元株価は軟調。そんな中、中間決算は営業利益が計画比20%下振れ。市場予想比でも17%近い下振れとなった。通期の予想は変更せず。今日さらに下がるようならアイデアブックに投稿しようかと

【2021.10.27】好調な半導体関連銘柄。悩むPERの水準。

米国株式市場はほぼ横ばい。全体を通しては決算は好調だが、ややディフェンシブ銘柄にシフトしている兆候は変わらず。カンファレンス・ボード(CB)が発表した、10月の米消費者信頼感指数は113.8と前月109.8から大きく上昇。株式市場の下支えになった。一方で、長期金利は減少。先週末に一時1.7%を超えたが、その後は下落して1.6%前半まで下がった。ただ5年債など短期は好調な経済指標を背景に上昇しており、利上げを明確に意識してきている。スタグフレーションと利上げを意識、懸念する債券市場と、経済成長回復によりこれらの懸念は解消されると見ていそうな株式市場と、見方が分かれている反応だった。 昨日、半導体関連でIBM向け販売に強い新光電気工業が決算を発表。通期の業績予想を売上で10%増加、利益は50%近く増加させる上方修正を行った。PC向け、サーバー向けが好調、加えて半導体製造装置向けも好調と引き続き旺盛な半導体需要を背景に実績、見通し共に強気である。半導体需要の継続的な強さはある程度予想されたことでもあるので、本日の株価反応が、マーケットが半導体業界をどう見ているかの一種の試金石として捉えている。新しい会社予想ベースだとPER13倍程度であり、これをどう見るか。来期も半導体需要の強さが続くなら安いといえるし、今がピークとみるなら上値は当然重いだろう。個人的には、今後は不透明すぎるとはいえ、1

【2020.10.25】決算相場になるのか、マクロ相場になるのか。

先週金曜日の米国市場はほぼ横ばい。FRBのパウエル議長は、テーパリングは近く開始すべき、ただし雇用水準の低さや来年にはコロナ禍のインフレ圧力は弱まる可能性があるので、利上げはまだすべきではない、とコメントした。これにより、10年金利は一時1.7%を超える局面もあったが、最終的な1.63%に下落。元々インフレはないと言っていたパウエル議長だったが、現状ではインフレしていることは認めつつ来年にかけて弱まっていくというスタンスに切り替わっている。 利上げに言及していることをどう考えるか難しいが、文字通りまだ利上げは不要という言葉が最終的に勝ったのか金利は下落した。10月中は1.6%台程度ではないか?と、過去のモーニングコメントで予想していたが、いよいよ11月に入りテーパリングが開始されると、コロナ禍の最高水準である1.7%台後半を試してくる可能性があると考えている。これを突破していくと、どこまで上がるか予想しづらい。 株式市場はこれらの動きに警戒気味ではあるものの、全体でみれば比較的好調な決算を受けて水準を保っている。全体が大崩れしないまま金利上昇と政策への警戒だけが残っており、金融株が一人勝ちするような構造は出来上がっている。全体が崩れだすと金融株はもろいものだが、決算の強さがのこるのであれば案外11月中は金融株は強いかもしれない。そう思えた日でもあった。 今週から決算が本格化。今週分

【2021.10.22】このままで勝てるの?岸田政権。待たれる具体的な経済対策。

米国株式市場はほぼ横ばい。過去最高値付近で横ばっているようにも見えるが、ややディフェンシブ銘柄中心に資金がシフトしており、マーケットはやや警戒モードに入っているようにも見える。新規失業保険申請件数が29万人と、コロナ禍以降で最も低い数字となり、いよいよ雇用面でもインフレリスクが意識されて金利はさらに上昇した。インフレと金利上昇も、株式市場内でディフェンシブ銘柄にシフトした遠因であると思われる。なお、今年はアメリカでは暖冬になるとのことで、原油は下落。 いよいよ来週末にせまる選挙だが、自民党が単独過半数が割れるのではないか、という報道も昨日から出始めた。日経平均先物も今朝さらに弱含んでおり、やはり選挙次第。繰り返し、選挙見通しに自信がない限り、選挙動向が見えるまで積極的にリスクを取る必要がないと言っていたが、そのスタンスはそれほど変わらない。単独過半数が割れるくらい席を落とすかはやや疑問だが、一方で岸田政権が誕生してから支持の面でパッとしないのは事実。感染者数が激減している現状も、振り返ってみれば菅さんよかったね、と前政権の支持になり比較対象として岸田政権にとってかえってマイナスになっている印象だ。 政権側はわかっているはずだし、成長を国民が望んでいる調査も新聞から出ているので、大規模な経済対策のアナウンスがくると予想している。が、いまだに全貌が見えない。先日案内した通り、大規模にう

【2021.10.20】いよいよ決算シーズンへ。下期にペントアップデマンドくるか。

米国株式市場は上昇。7-9月の決算が発表されはじめており、序盤では比較的好調な企業が多いことに素直に反応している模様。金利は、ユーロ圏で利上げは急がない向きのハト派発言もあったことで、グローバルに短期金利がやや下がり、米国の金利先物が織り込む来年の利上げ確率も下がった(来年6月時点の利上げ織り込み、60%強→46%へ)。金利の落ち着きも、株式市場にとってややプラスに効いていると思われる。もっとも、長期金利は下がるどころかむしろ上昇しており、現状では短期での利上げ織り込みがやや調整されたという程度。これが長期金利まで効いてくるのかどうか、インフレに経済成長がついてきているか今後の経済指標次第であろう。 日本でも来週から本格的に決算が発表されてくる。日本株全体のPERに影響してくるので、今期の業績見通しがどの程度変更されてくるかで、TOPIXや日経平均も上下しそう。選挙やテーパリングもあるので、個人的にはリスク量を落としているのだが、喪が明ける(と思われる)11月に向けて、決算の読み込みはしていくつもり。テーマとしては、来年3月までの下期に、日本でも我慢からの反動で個人消費が伸びるのか、いわゆるペントアップデマンドが起きるかどうかに注目している。 もしそれが起きるとしたら、今の株価水準と会社の業績予想、コンセンサス予想比較でアップサイドがありそうなものを買ってみようか考えている。短期的

【2021.10.18】ゴールドマン好決算。給付金政策と投資マネーへの還流。

9月の米小売売上高が前月比+0.7%と、市場予想の-0.2%に反して、増加し、8月分も前月比+0.7%⇒+0.9%と上方修正された。この予想外に強い小売売上高の結果を踏まえて、デルタ株蔓延による景気減速懸念が後退。株式市場は上昇した。金利も上がったがその前数日の金利低下の半分程度を戻したにすぎず、過去2週間の高値からみると余裕もあることもあり、金利上昇と株価上昇のリスクオン相場となった。 米国ではゴールドマン・サックスが決算を発表し、市場予想を大幅に上回った。相場全体が上昇したのも、この好決算が寄与した側面もある。投資銀行部門の収益が過去2番目、トレーディング部門は20%増加、特に株式トレーディングは前年比2倍超となった。あらゆる事業で大幅な上振れとなっており、世界的な過剰流動性とそこからくる企業買収や投資活動の活発化が大きく業績に寄与している。 一応12年間所属していた経験談までだが、ゴールドマンに限らず、ウォールストリートの金融機関の業績は波があるので、この世の春を謳歌した年の翌年にさらにマーケットが盛り上がる、ということはあまりない。大体数年内には下に転がり、リストラの嵐、という展開が多いので、今回がどうなるかはわからないものの、これまでの例にならえば来年以降のマーケットはやや不安な側面もあったりはする。少なくとも金融機関の業績は、という話ではあるが。 日本ではいよいよ選挙期

【2021.10.15】日本株のテールリスク?岸田政権の経済政策担当、重要人物の失脚リスク。

昨日の米国市場は、株式が久しぶりの大幅な反発。9月の卸売物価指数(PPI)が前月比+0.5%となり、8月の+0.7%とか鈍化したことでインフレ加速への懸念が後退した。それにより早期の利上げ懸念も後退し、金利は下落。その流れを受ける形で株式市場も安心感から買われる展開となり、好調な企業決算に素直に反応する形となった。 一昨日のメモで、金融政策に関する経済指標がある程度予想の範囲内であれば、少なくとも市場もテーパリングの織り込みくらいは進むことで安心感が醸成されるのではと記載した。好決算が絡んで想定より強い反応ではあるもののこの認識に沿った展開となり、神経質なマーケットがやや落ち着きつつあるのかもしれない。さすがに11月のテーパリング前後には一波乱くらいはあると思うが。 岸田政権の経済対策のアップサイドリスクについても一昨日のメモで触れたが、一方で岸田政権の経済政策が急失速するテールリスクについてもご紹介。岸田政権の経済担当は実質は甘利さんである。麻生派であったが河野支持にならず岸田支持に動いたことで幹事長となり、官房長官、デジタル大臣、経済安保大臣、経済再生大臣、国交省副大臣など甘利さんのグループから選任されている。規制緩和、経済安全保障、デジタル化など経済対策のコアになりそうな部分を全て甘利さんが掌握していると言っても過言ではない状態であり、まさに経済政策を一手に引き受けて構想を練

【2021.10.13】岸田政権の経済対策。規模次第では日本株アップサイドリスク?

昨日の米国株式市場は、主要3指数がどれも下落。目立ったニュースがない中、今晩発表されるCPIやFOMC議事録を控えて、やや警戒する向きが優勢となった。場中にプラス圏になったりマイナス圏になったりと、大きく売られる局面もないが、神経質な動きとなっている。一方で金利は昨日は下落し、発表を控えてやや買戻しがされた債券市場となった。 CPIや議事録でどういった内容であれば、株式市場にとってポジティブなのかもはや誰もわかっていないような展開。全員が市場の反応を見て判断している状況に追い込まれているが、一方で過度に心配している向きもない、といったような状況であり、あまりサプライズのない内容で通過すれば意外と安心感から強含む展開もあり得そう。 さて、金融所得の増税話で出だしからやや詰まってしまった岸田政権だが、まずは経済対策を優先すると改めて表明している。来月の選挙を考えると、この辺りで挽回するインセンティブは強くあるはずなのだが、そう考えると経済対策について詳細な骨子が決まっていなくてもその規模などがリークされる可能性もあると見ている。全ては選挙のため、といってしまえばそれまでなのだが、やや面白いことに予算は十分にとれる可能性が現状ある。 GOTOなどで昨年未消化の予算が真水で10兆円ほど残っており、そこに加えて税収増が6兆円、一般会計の未消化分など合わせると、合計で真水20兆円ほどが使えるお

【2021.10.11】11月テーパリングの織り込みと金利水準。不興だけ買ってしまった岸田政権。

雇用統計が発表され、9月は+19万人と市場予想の+50万人に対して大幅に下振れ。これだけ見ればもちろんネガティブで金利は下がるのだが、実態としては7月、8月分の雇用者増加数が大きく上方修正されており、それらを考慮すると市場予想並みの結果であった。賃金の増加も継続しており、引き続き需要の問題ではなく労働者が復帰していないことがボトルネック。 この結果金利は上昇して1.6%台へ。11月のテーパリング開始を完全に織り込んでいく展開となっている。実際に今回の結果はのテーパリング判断に影響はなさそうで、市場予想通り11月開始に向かうだろう。ただテーパリングのを織り込まれかたは予想しづらい。まずは金利がどの水準で落ち着くのかがポイント。金利が上昇し続けるのであれば、株式市場はボラティリティもあがり乱高下激し展開になりそう。 以前、10月中は金利1.6%程度がいいとこではないか?とコメントしたが、あまりそこからは見方は変わっていない。11月テーパリング開始はそれなりにわかっていた話で織り込みも相当進んでいる。この程度の金利水準であれば比較的株のボラティリティは低そう。ただ金利の絶対水準考えるとまだ低いのでテーパリング開始以降に徐々に上がっていくだろうが、先にそこまで見始めると乱気流相場になる可能性もあり、個人的には無理して今はリスクを取る必要がないと思っている。 日本株についても11月は選挙とい