過去12年間、GAFAMの出現や多くの銘柄の構造的な利益成長を背景に米国市場に多くの投資家の資金が流れ込んだ。
しかし!
テクノロジーによるイノベーションとは別に、利益成長を牽引してきた量的緩和とトランプ政権中の減税効果がより重要だったのでは?
そして今、その12年間を引っ張ってきた2つの推進力が消えるのか?!
市場や個別銘柄の実績をどの切り口で見るかで見方が大きく変わるだろうが、 実はリーマン後の上昇のほぼ全てをQEと減税だけで説明ができてしまう。
S&Pの本格的な上昇が始まった2009年半ばから昨年末までの上昇率は 約370%。 同期間中、リーマン後とコロナ後のQEでFEDのバランスシートが 約2兆ドルから現在の8.8兆ドルまで340%膨らんだ。 これとは別に、QEが止まっていた2016年~2019年の間にトランプ政権の 39%→26% の法人減税でS&P500銘柄の一株当たり利益(EPS)が 約14%押し上げられた。
この2つの要素を合わせると 370%の上昇の大半が裏付けられる。
下図にてバランスシートと重ねてみるとその関係性が非常にわかりやすくて、バランスシートが縮小されていた2017年ごろの減税効果も明確に顕在化。
特に2011年から2016年の間はS&P全体の利益成長がイマイチであって株価の上昇要因がまさにQEであった。本格的に利益成長が始まったのは2017年の減税後(下図)。
年度 | S&P500のEPS | 前年比 |
---|---|---|
2017 | 123.89 | +13.8% |
2016 | 108.85 | +7.1% |
2015 | 101.68 | -16.0% |
2014 | 121.10 | +1.3% |
2013 | 119.50 | +14.1% |
2012 | 104.73 | -2.2% |
2011 | 107.09 | +9.2% |
2017年にS&P全体のEPSが過去最高水準を更新する前に中国経済の減速やエネルギー価格下落等で2015~2016年に大きく低下。しかし、QEの後押しで指数全体は大きく値崩れしなかった。
そして今はどうでしょう。
40年ぶりのインフレに見舞われ量的緩和が継続できず、なお減税や緩和に興味のない政権の元で、S&P500が下落で2022年を迎えた。 アナリストの業績予想は相変わらず右肩上がりしか見ておらず、過去最高の利益水準が拡大していくことしか想定してない。すなわち、それがなければ現在の株価の高バリュエーションが説明できない。
過去にも金利の上昇リスクとエクイティリスクプレミアムを紹介してきたが、その影響がまさに市場に現れようとしている。
歴史的に高い貯蓄や、インフレで上昇していくであろう賃金で市場にさらなる資金が流入してくる可能性はもちろんあるが、12年間株価を支えてきた上記2つの要素が薄れてきているのも事実。
2021年のはじめにも大きな調整があり、ミーム銘柄の盛り上がり等ですぐに反発したが、今年は昨年と前提条件が大きく異なり投資家はそのリスクを意識したほうが良いのだろう。
皆様のご健闘を祈り、今年もよろしくお願い申し上げます。