昨夜の米国株式市場は景気拡大を示すマクロ指標の発表とエネルギー価格上昇を受け先週の下落から反発。本来であれば景気拡大インジケーターでテーパリング懸念が高まるはずだが、これまで何度もあった株価上昇と金利低迷の一日だった。景気や金融政策の話よりも、2021年は実はテクニカルが主導な年かもしれない。

テクニカル指標は正直あまり重視してないし、得意でもない。その中で一番よく見るものは移動平均線。相場においてトレンドがつづく傾向が強く、テクニカル指標の中で移動平均線が「効く」局面が多いとも言える。今年の米株上昇の裏には50日移動平均線（＝「立入禁止線」）もかなりの影響を与えているのでは、と思っている。過剰流動性で株を買うしかない発想がすべてを支配する中、50日に近づくたびに押し目買いが走り、急反発を繰り返す。インフレやテーパリングや業績等といった本質的な要素に関係なく、このパターンの継続が2021年を代表している。

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これは別に2021年特有の要因では決してなく、2013年～2014年、2017年にもよく見られた現象。ということでTINA（＝株を買うしかない）はコロナ禍でも平時でも通用し、緩和財政バブルはただ単に上昇の角度を上げたのみとも言えそう。

最後にツイッターでも何回も紹介した中国恒大がいよいよ破綻と債務再編に向かっている模様。10兆円の負債を抱える最大手不動産企業のデフォルトが中国の不動産市場にショックを起こすかは今後要注意だが、これまで政府主導でパニックが抑えられてきた。恒大の株価は毎日下落し、今年3月の水準から80％強値下がり。社債も暴落し、パーだったドル建て債券は現在約25銭で取引されている。昨日の報道で今月20日の利払いが見送られることで事実上債務不履行状態になる見込み。

その中で無論、S&P500の50日移動平均線は振り返ることもなく黙々と上昇し続けている。

### 主要市場の動き

* ダウ　34814.39 (+0.68%)
* S&P　4480.70 (+0.85%)
* NASDAQ　15161.53 (+0.82%)
* FTSE　7016.49 (-0.25%)
* 米国10年金利　1.2988 (+0.0152)
* 原油　72.61 (+3.05%)
* ビットコイン　5280743円 (+0.97%)

【2021.09.16】S&P500の50日立入禁止線