昨晩の米国市場は下落して終了。4月の住宅着工件数が前月比9.5%減少したことが失望視されたとのことだが、これは額面通りには受け止められないと思っている。これまでで言えば、弱い統計結果⇒金融緩和継続⇒マーケット回復というのが１つの流れであった。特にここ最近の金融緩和終了に対する警戒が強く意識される状況ではなおさらである。事実、住宅着工件数が発表された直後はマーケットは反発しており、その後徐々に下落していくこととなった。

ここから示唆される可能性は大きく分けて２つ。
１つは、金融緩和か引き締めかではなく、単純にリスクオフの流れになってきていること。仮想通貨市場において顕著であるが、特に米国個人投資家がリスクオフ⇒保有資産を圧縮して現金化している可能性が高く、こういう局面が株にも波及し金融緩和の有無に関わらず売りが強まっているという見方。
もう1つは、住宅着工件数が予想より低いのは、そもそも木材価格の高騰など供給側の事情で着工できない事情があり、需要が弱い（景気回復が遅れている）わけではないという点。つまり供給が絞られていることで、よりインフレ圧力が高まる⇒金融引き締め＆金利上昇を連想させて、結果的に「見た目弱い統計⇒実は強いインフレ圧力を確認⇒金融引き締めの懸念⇒マーケット下落」という流れになったという見方。

個人的にはどちらも混在していると思うが、個人投資家に多いのが前者、機関投資家に多いのが後者ではないかと想定している。ほぼ機関投資家のみで構成される長期金利を見ても、昨日は下がっておらず小幅に上昇しており、弱い統計結果から金融緩和継続という話にはなっていない。さらに昨日の日本市場でも金融株がかなり強く、ここ最近のコメントをしていた金利上昇に強い金融株が選好される展開となっており、6-4か7-3くらいで後者の見方が影響しているのではないかと考えている。

しばらくはPERが高い銘柄は避けたほうがよさそうですね。

ちなみに日本は、以前のコメントの通り引き続きグローバルで見て売られる理由が多い（ワクチン普及遅れ、弱い経済、自粛開始など）。事実弱いが、一方で日本独自の玉としては日銀のETF購入がある。TOPIX1850-1900でこれまで450億株以上積みあがっており、防衛ラインとして意識するなら1850近傍ではないかとみられている。この辺りの日銀の機動的な動きも要注目。


【2021.05.19】リスクオフ？それとも金融引き締めを懸念？他、日銀のETF購入など