［５月１２日からの１週間の展望］
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　　　週間高低（カッコ内は日）　　　　　　    5 月 5 日〜 5 月 9 日
　　　　　　　始　値　　高　値　　  　安　値　     終　値　 前週比
ドル・円　　  144.94   146.19( 9)    142.36( 6)    145.37   +0.41
ユーロ・ドル  1.1307   1.1381( 6)    1.1197( 9)    1.1250   -0.0047
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国内株・金利／米国株・金利
                  終　値　　前週末比　　　　 　　　　   　 終　値　 前週末比
日経平均株価    37,503.33     +672.64     日本10年債利回り   1.365   +0.101
ダウ平均株価    41,249.38      -68.05     米10年債利回り     4.379   +0.070
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＜来週の主要経済統計等＞
１２日　日本３月経常収支
１３日　日銀金融政策決定会合における主な意見（４月３０日−５月１日開催分）
　　　　英４月雇用統計
　　　　独５月ＺＥＷ景況感指数
　　　　米４月消費者物価指数
１４日　独４月消費者物価指数
１５日　豪４月雇用統計
　　　　英第１四半期ＧＤＰ速報値
　　　　英３月鉱工業生産指数、英３月製造業生産指数、英３月貿易収支
　　　　スイス４月生産者輸入価格
　　　　ユーロ圏第１四半期ＧＤＰ改定値、ユーロ圏３月鉱工業生産指数
　　　　カナダ３月製造業出荷、カナダ３月卸売売上高
　　　　米４月小売売上高、米５月ＮＹ連銀製造業景気指数
　　　　米４月生産者物価指数、米５月フィラデルフィア連銀景況指数
　　　　米新規失業保険申請件数
　　　　米４月鉱工業生産・設備稼働率
１６日　日本第１四半期ＧＤＰ１次速報
　　　　日本３月鉱工業生産指数確報値
　　　　ユーロ圏３月貿易収支
　　　　米４月住宅着工・建築許可件数、米４月輸入価格指数
　　　　米５月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値
　　　　米３月対米証券投資
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【前回のレビュー】ＦＲＢがいずれ利下げに動くとみられる一方で、日銀の利上げ観測
は後退しつつある。市場では米国の年内の利下げ回数は３〜４回前後と想定されてい
る。一方で、日銀は年内の利上げを見送るとの観測が高まりつつある。こうした中、ド
ル円は一時的に戻りを見せるものの、長くは続きにくく、１４５円前後を中心とした振
幅になりそうだ。

【米中関税交渉の進展期待などからドル円は上昇】
　２日に米中関税交渉進展への期待感や４月の米雇用統計で非農業部門雇用者数が予想
を上回ったことからドル買い円売りに傾き、一時１４５円台を回復した。週明けの５日
や６日はトランプ関税に対する不透明感が根強いことで、ドル売り円買いの動きに傾
き、１４２．３０台まで下落した。

　７日の朝方に米中間の通商協議開始の報道があり、ドル高円安に振れた。中国商務省
は何副首相が９日から１２日の日程でスイスに向かい、ベッセント財務長官と協議を行
うと発表した。また米国側も１０日にベッセント財務長官とグリアＵＳＴＲ代表が中国
高官と協議を行う旨を公表している。この報道を受けて、リスク警戒後退のドル買い円
売りとなり、ドル円は１４２．４０台から１４３．２０台に急騰した。

　５月６〜７日に開始された米連邦公開市場委員会（ＦＯＭＣ）では政策金利は市場予
想の通り、４．２５〜４．５０％に据え置きとなった。据え置きは３会合連続となる。
声明では、「経済見通しの不確実性がさらに高まった」「失業率とインフレの上昇リス
クが高まった」といった見解が示された。

　パウエル議長は記者会見で、「利下げを急ぐ必要はないと考えている。忍耐強くデー
タを確認する」「関税の影響が警戒されているが、まだ影響は顕在化していない」「高
関税が続くようなら、インフレの再燃に加えて景気減速や雇用の悪化を招く」との見解
を示した。また、トランプ政権の圧力は「我々の使命に全く影響しない」と政治からの
独立性を強調した。

　６月のＦＯＭＣでの利下げに関しては否定的な見解を示した。こうした点からドルは
堅調に推移した。そして、米英の関税交渉での合意が報じられると、ドル円は一時１４
６円台に乗せた。その後も１４５円台での推移を見せている。

【米中の関税交渉に期待】
　日米の経済指標やイベントとしては、１２日に日本３月経常収支、１３日に米４月消
費者物価指数、１４日に独４月消費者物価指数、１５日に米４月小売売上高、米５月Ｎ
Ｙ連銀製造業景気指数、米４月生産者物価指数、米５月フィラデルフィア連銀景況指
数、米新規失業保険申請件数、米４月鉱工業生産・設備稼働率、１６日に日本第１四半
期ＧＤＰ１次速報、日本３月鉱工業生産指数確報値、米４月住宅着工・建築許可件数、
米４月輸入価格指数、米５月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値、米３月対米証券投
資などがある。

　６月のＦＯＭＣでの利下げに否定的な見解を見せており、ＣＭＥ　ＦＥＤウォッチに
よる６月の利下げ確率は１６％台まで低下している。ＦＲＢによる利下げがやや遠のい
たとの見方から、ドルは底堅い推移を続けそうだ。ただ、米中を中心とする米国と各国
の関税交渉の動向に加えて、トランプ米大統領の発言に振り回されやすい展開が続きそ
うだ。

　８日の海外市場で、米国と英国が貿易協定で合意したと報じられた。貿易摩擦への警
戒感が後退している。米英が合意に達したことで、今後中国をはじめとした他国との交
渉が進展するとの期待感が広がっている。

　米中両政府によると、１０日と１１日にスイスで米国のベッセント財務長官とグリア
通商代表が中国で経済政策を統括する何副首相と会談を行う。市場は協議開始を好感し
てドル買いの動きとなったが、両国の合意までにはかなりの時間がかかるとの見通しも
あり、依然先行きは不透明となっている。

　米英のように前向きな成果を得られるようならドル買いに傾くとみられる。一方で、
協議が物別れに終わり、対立が強調された場合はドル売り円買いとなる可能性もありそ
うだ。こうした中、ドル円は１４３〜１４５円台を軸に上下に振幅するとみられる。ド
ル円の目先の予想レンジは、１４２．００〜１４８．００円。

【ユーロドルは上値重く推移か】
　ユーロドルはドルの堅調さもあり、上値の重い展開を見せている。ユーロドルは高値
圏から、もみ合いながら軟調な推移を見せている。こうした中、２１日移動平均線を割
り込み、５日移動平均線も下回って推移している。６月の欧州中央銀行（ＥＣＢ）理事
会での利下げ確率が８５％前後で推移する中、ユーロドルは上値の重い動きを続けると
みられる。ユーロドルの目先の予想レンジは、１．１１００〜１．１４００ドル。

　８日の英金融政策委員会（ＭＰＣ）で英中銀（ＢＯＥ）は政策金利を０．２５％引き
下げた。利下げ幅は市場予想通りとなった。票割れは５名が０．２５％利下げ、２名が
０．５０％利下げ、２名が据え置きを主張した。その後、米英の貿易協定の合意報道か
らドル高に傾いており、ポンドドルは上値重く推移している。こうした流れを引き継ぎ
ポンドドルは軟調に推移することとなりそうだ。ポンドドルの目先の予想レンジは、
１．３１００〜１．３４００ドル。

　日米以外の今後の経済指標やイベントは、１３日に英４月雇用統計、独５月ＺＥＷ景
況感指数、１４日に独４月消費者物価指数、１５日に豪４月雇用統計、英第１四半期Ｇ
ＤＰ速報値、英３月鉱工業生産指数、英３月製造業生産指数、英３月貿易収支、ユーロ
圏第１四半期ＧＤＰ改定値、ユーロ圏３月鉱工業生産指数、１６日にユーロ圏３月貿易
収支などがある。

MINKABU PRESS 佐藤昌彦

※投資や売買についての判断は自己責任でお願いします。

為替週間展望＝ドル円は１４３〜１４５円台を軸に上下に振幅か