［５月１９日からの１週間の展望］
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　　　週間高低（カッコ内は日）　　　　　　    5 月 12 日〜 5 月 16 日
　　　　　　　始　値　　高　値　　  　安　値　     終　値　 前週比
ドル・円　　  145.83   148.65(12)    144.97(16)    145.08   -0.29
ユーロ・ドル  1.1244   1.1266(14)    1.1065(12)    1.1216   -0.0034
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国内株・金利／米国株・金利
                  終　値　　前週末比　　　　 　　　　   　 終　値　 前週末比
日経平均株価    37,753.72     +250.39     日本10年債利回り   1.455   +0.086
ダウ平均株価    42,322.75    +1073.37     米10年債利回り     4.432   +0.053
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＜来週の主要経済統計等＞
１９日　ＮＺ第１四半期生産者物価指数
　　　　英５月ライトムーブ住宅価格
　　　　中国４月小売売上高、中国４月鉱工業生産指数
　　　　ユーロ圏４月消費者物価指数確報値
　　　　米４月景気先行指数
２０日　中国最優遇貸出金利（ローンプライムレート　１年、５年）
　　　　豪中銀（ＲＢＡ）政策金利
　　　　独４月生産者物価指数
　　　　ユーロ圏３月経常収支
　　　　カナダ４月消費者物価指数
　　　　※７カ国財務相・中央銀行総裁会議（２３日まで）
２１日　ＮＺ４月貿易収支
　　　　日本４月貿易収支
　　　　英４月消費者物価指数、英４月小売物価指数
２２日　日本３月機械受注
　　　　野口日銀審議委員講演
　　　　ユーロ圏５月製造業ＰＭＩ速報値、ユーロ圏５月サービス業ＰＭＩ速報値
　　　　英５月製造業ＰＭＩ速報値、英５月サービス業ＰＭＩ速報値
　　　　独５月ｉｆｏ景況感指数
　　　　カナダ４月鉱工業製品価格
　　　　米新規失業保険申請件数
　　　　米５月製造業ＰＭＩ速報値、米５月サービス業ＰＭＩ速報値
　　　　米４月中古住宅販売件数
２３日　ＮＺ第１四半期小売売上高
　　　　日本４月消費者物価指数
　　　　独第１四半期ＧＤＰ確報値
　　　　英４月小売売上高
　　　　カナダ３月小売売上高
　　　　米４月新築住宅販売件数
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【前回のレビュー】米中貿易協議が、米英の協議と同様に前向きな成果を得られるよう
ならドル買いに傾くとみられる。一方で、協議が物別れに終わり、対立が強調された場
合はドル売り円買いとなる可能性もある。こうした中、ドル円は１４３〜１４５円台を
軸に上下に振幅するとみられる。

【ドル円は１４８円台まで上昇後に伸び悩む】
　１０〜１１日に行われた米中貿易協議に関して、１２日の朝にベッセント米財務長官
が「大きな進展があった」と語ったことで、ドル円は１４６円台に乗せた。その日の日
本時間午後４時に米中が共同声明で、９０日間の期間を設けて関税の引き下げで合意し
たと発表した。米国は１４５％から３０％へ、中国は１２５％から１０％へそれぞれ引
き下げた。

　この発表を受けてドル円は急騰、１４６円台前半から１４８．６０台まで上値を伸ば
した。１２日の米国株式市場では米中双方の関税引き下げを好感して、ＮＹダウは１１
６０ドル高、ナスダックは４．３５％高と急伸した。

　ドル円は１４８円台まで上値を伸ばした反動もあり、その後は上値を抑えられやすい
展開が目立った。１３日には加藤財務相が「ベッセント米財務長官と来週のＧ７の場で
為替協議を検討」と報じられたことでドル売り円高に傾いた。２１時半の４月の米消費
者物価指数はおおむね市場予想を下回るなど、物価の鈍化傾向がみられたこともドル売
りにつながり、１４７円台前半まで下落した。

　１４日には米国と韓国の高官が「５月５日に為替政策に関して協議を行った」と報じ
られ、韓国ウォンが対ドルで急伸した。トランプ政権がドル安を否定せず、日本にも円
安是正を求めてくるとの思惑が広がり、ドル円は一時１４５．６０台まで下落した。い
ったん１４７円近辺まで戻した後、１５日には再び１４５円台まで下落した。

　１５日の米連邦準備制度理事会（ＦＲＢ）のパウエル議長の講演では、「経済と中央
銀行にとって困難な課題である供給ショックが、より頻繁に、そしてより持続する可能
性のある時期に入るかもしれない」などと述べた。

　１５日には４月米小売売上高、新規失業保険申請件数、４月米生産者物価指数、５月
ニューヨーク連銀製造業景気指数、５月フィラデルフィア連銀景況指数が発表された。
米生産者物価指数は、前月比、前年比、コア前月比、コア前年比いずれも市場予想を下
回り、物価の落ち着きが示された。米小売売上高では総合は市場予想を上回ったもの
の、自動車を除くコアは市場予想を下回った。

　多くの米経済指標やパウエル議長の講演があったものの、ドル円は１４５円台後半か
ら１４６円台前半での振幅にとどまり、売買は一巡した後は上値の重い展開となった。
１６日の東京時間には、日米の貿易協議で円安是正が議題に上るとの思惑などから一時
１４５円割れまでドル安円高が進んだ。

【トランプ関税関連の報道に引き続き注目】
　日米の経済指標やイベントとしては、１９日に米４月景気先行指数、２１日に日本４
月貿易収支、２２日に日本３月機械受注、米新規失業保険申請件数、米５月製造業ＰＭ
Ｉ速報値、米５月サービス業ＰＭＩ速報値、米４月中古住宅販売件数、２３日に日本４
月消費者物価指数、米４月新築住宅販売件数などがある。

　ＣＭＥ　ＦＥＤウォッチでは６月の米連邦公開市場委員会（ＦＯＭＣ）での政策金利
の据え置き確率は９２％前後となっている。７月のＦＯＭＣでは０．２５％利下げが３
４％前後、据え置きが６３％前後となっている。年内の利下げ回数は２回程度という見
方が広がりつつある。

　Ｇ７で加藤財務相とベッセント米財務長官の協議が行われた場合、ドル円の上値を抑
える可能性はありそうだ。ただ、過度な円安を抑えるといったレベルにとどまり、大幅
な円高が進行するような材料とはならないとみられる。

　ドル円は米中の貿易協議での関税引き下げの合意を受けて、１４８円台後半まで急騰
した。その後は高値から調整を見せて１４５円台まで下落している。一方的なドル買い
円売りの動きは続きにくくなっている。こうした中、ドル円は１４４〜１４６円台を中
心にレンジ相場で推移する可能性が高いとみられる。ドル円の目先の予想レンジは、１
４３．００〜１４９．００円。

【ユーロドルは売り一巡も方向性を探る動きか】
　ユーロドルは１２日に１．１０６０台まで下落した後は下げ渋りを見せている。米中
関税合意によるドル買いの動きが一服して、ユーロドルは上昇に転じている。売り一巡
感から上昇に転じているものの、関税関連の報道に左右されて、ユーロドルは方向性を
探る動きになるとみられる。ユーロドルの目先の予想レンジは、１．１０５０〜１．１
４００ドル。

　１５日の英第１四半期ＧＤＰ速報値は市場予想を上回ったものの、３月の鉱工業生産
や製造業生産は市場予想を下回るなど、強弱まちまちとなった。３月の月次ＧＤＰは市
場予想を上回ったものの、前回からは低下している。

　ポンドドルは１２日にドル買いの動きから１．３１３０台まで下落した後は、１．３
３６０台まで戻りを見せている。もっとも上昇の動きも続きにくくなっており、最近の
レンジを中心とするもみ合いが続くこととなりそうだ。ポンドドルの目先の予想レンジ
は、１．３１００〜１．３４５０ドル。

　日米以外の今後の経済指標やイベントは、１９日にＮＺ第１四半期生産者物価指数、
中国４月小売売上高、中国４月鉱工業生産指数、ユーロ圏４月消費者物価指数確報値、
２０日に中国最優遇貸出金利（ローンプライムレート　１年、５年）、豪中銀（ＲＢ
Ａ）政策金利、独４月生産者物価指数、カナダ４月消費者物価指数、２１日にＮＺ４月
貿易収支、英４月消費者物価指数、２２日にユーロ圏５月製造業ＰＭＩ速報値、ユーロ
圏５月サービス業ＰＭＩ速報値、英５月製造業ＰＭＩ速報値、英５月サービス業ＰＭＩ
速報値、独５月ＩＦＯ景況感指数、２３日にＮＺ第１四半期小売売上高、独第１四半期
ＧＤＰ確報値、英４月小売売上高などがある。

MINKABU PRESS 佐藤昌彦

※投資や売買についての判断は自己責任でお願いします。

為替週間展望＝ドル円はレンジ相場で推移か