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S&Pが過去最高値で第2四半期を終えた中、金曜日の雇用統計前にドル指数と長期金利がそれぞれ異なるメッセージを伝えている。 ドル指数は6日連続上昇し、昨日のドル円も111円台に突入。ドルが買われている背景にいくつかの要素が考えられる。特に6月のFOMC決定会合後に * 永遠緩和期待が後退 * 過度に高インフレ・資産価格バブルを放置しない姿勢の表れ * テーパリングの早期開始の合図 * 投機筋のドルショートカバー といった要素から昨年春先から失われてきたドルの信頼が少し回復している印象。 しかし、通常ドルが買われる理由の一つが「米国経済成長期待」とすれば、長期金利が全く異なるシナリオを描いている。 10年金利が三日連続低下し、今年3月の水準から約0.3%下落。金利の低下が意味していることは色々考えられるが、 * 連銀がブレーキを踏み始めたことで予想外の景気後退リスクが高まった * 引き締めで足元のインフレが急速に低下し、2010~2020年の低インフレパラダイムが繰り返される * 現金給付と失業手当が打ち切られると個人消費も悪化する * 新型コロナウイルスの変異株の影響でコロナ禍が想定より長くつづく * 動機筋の債券ショートカバーで金利上昇ベットが巻き戻された といったところではないでしょうか。 それぞれの矛盾が明確だと思うが、想定以上の景気回復と高インフレだからこそFOMCメンバーの
昨晩の米国市場は動きの乏しい展開。米国消費者信頼感指数が127.3(予想:119)と、コロナ前の数値を回復するなど昨晩発表の統計データは引き続き強い展開だったが、今日発表予定のADP全米雇用報告、及び週末予定されている雇用統計と大きな発表が目前に控えており、大きくは動かなかった。 今日で多くの日本企業の第1四半期が終わり、決算発表が約1か月後から始まる。7月はこの決算を意識したポジションがとられている季節でもあるので、今一度自分が保有している企業の会社計画などは再確認したほうがよさそう。会社によっては、5月の決算発表時に出した今期の会社計画が強気すぎ、あるいは弱気すぎる会社も多いし、また中には中間期(9末)の予想を出している会社も多い。こういった会社予想に対して第1四半期の進捗率がどうなのか、決算の見た目でも株価は動きやすい。 私も実際に保有しているアイフル(期限到来でアイデアブックは先日終了・・)の第1四半期見直し作業に入っている。先週発表された月次データを見ると貸付金の伸びが回復しており、昨年のコロナ中に貸付が伸びなかった不安を一掃してくれる結果だった。ただし第1四半期だけでみれば、これはすぐに利益に効いてくるわけではなく、一方で昨年の緊急事態宣言中のようなコストの大きな圧縮はさすがに今期はないので、前年同月比という意味での決算の見た目だけはやや気にはなっている。とはいえ中長期
昨夜の米国市場はコロナ禍相場再来を思わせる動きを見せた。フェイスブックはインスタグラムとワッツアップの買収で昨年12月に独禁法違反で提訴されたが、FTCの主張が法的に不十分だった理由からワシントン連邦地裁理事に棄却された。過年度の許可済みの買収で提訴される根拠が薄いとしたが、30日以内に再提訴の可能性を残した。これを受けてFB株が4%値上がりし、めでたく1兆ドルクラブ入りした。再提訴の可能性が残り、6つの独禁法関連法案が論議されている中でFBの独禁法問題が解決されたとは言い難いが、一先ずFBの勝利。 FBを切っ掛けにグロースが急騰してNASDAQが最高値を更新し、これまでのリフレや景気回復銘柄が総じて低調だった。長期金利も再び低下し、引き続き違和感を感じさせる値動きが繰り返される日々。 一方、FRBのストレステストに合格した大手金融機関の株主還元が再開される。引け後に複数の金融機関が還元政策を発表: * JPモルガン四半期配当を$0.90から$1.00に増配し、現在の自社株買いプログラムの継続を発表。 * モルガンスタンレーは四半期配当を$0.70に倍増し、120億㌦(1.3兆円相当)の自社株買いを発表。 * バンカメは四半期配当を17%増配と発表。 * ゴールドマンサックスは四半期配当を$1.25から$2.00に増配。 金利低下で金融株が6月月初から大きく調整しており、株主還元再
金曜日に発表があった5月の個人消費支出価格指数(PCE)が前年同月比+3.4%、前月比は横ばいとなったが、前月の数字自体が+0.4%上方修正された。これをうけて金利は上昇し、長期金利は1.5%を回復した。また株式市場もNASDAQを除きおおむね上昇。金利も株も上がるという、リスクオンのような動きとなった。 PCEの結果事態はおおむね市場予想の範囲内だと思われるが、それでも好調な指標が確認されて金利が上がるのは個人的にはやや安心感のある反応。インフレ自体はある程度一過性であったとしても、+2%をしっかり超える水準が維持できればさすがに今の金利水準は是正されそうな、そんな予感のさせる動きではあった。バイデン大統領のインフラ投資計画も、ハイテク株よりかはむしろ伝統的な重厚長大産業に効いてきそうなこともあり、金利の下値余地のなさと上昇可能性などからハイテク株からの資金逆流が起こるかが、株式市場内での夏に向けての動きのポイントかもしれない。もっともインフレがここから弱まってくると話も変わってくるが。 日本だとオリンピック以降に、コロナ対策予算の未消化分19兆円が投下される可能性があり、日本版インフラ投資計画ではないが、こちらもワクチン接種の普及と相まって相場に影響を与えそうな話と考えている。聞こえは陳腐化されているかもしれないが、GOTO○○のような政策が再度未消化の巨額予算とともに出てくる
昨晩の米国市場は、①失業保険申請件数が予想以下の改善で耐久財受注も予想外に減少、②バイデン大統領がインフラ投資計画で超党派の合意を得たと発表、という、どちらもサプライズということもないが、米国経済にとってプラスマイナスの混じったニュースがあった。 これを受けて、株式市場は上昇。①により金融政策の変更がさらに前倒しになるリスクは軽減した(ように見える)ことと、②の財政によるプラス寄与に対して素直に反応した印象。一方で債券市場は冷めた見方でほとんど金利は動かなかったが、それ自体がある意味株式市場にとってはいいニュースともいえるかもしれない。 FOMC以降の動きの不可解さがリスクオフの前兆としてとらえられるのか、21日のモーニングコメントでも警戒していた通りだが、今週を振り返ってみて市場全体のリスクアパタイトは大きくは落ち込まなかった印象。昨年と同じ感覚ではないのは間違いないが、リスクオフというよりかは債券市場と株式市場で見ている未来予想が異なりつつある、そのギャップが広がりつつあるというのがFOMC以降の相場だったように思う。 債券市場が正しいとすると、これだけの金融緩和と財政政策の中でもインフレはかつての水準にとどまり、それを凌駕するものにならない、金融緩和をやめれば低成長になると言っているに等しい。イコール、米国経済はかつてほどの成長を遂げないという意味にもなり、先進国で唯一といっ
連銀メンバーの意見が真っ二つに分かれ、パウエル議長も台本通りの答えしか与えない中で出来高が低下し、相場全体の方向性が失われている。昨夜の米国市場も小幅な値動きで引き続き金利低迷でNASDAQが僅かに最高値を更新。 市場に与えられている使命は今後のマクロデータ指標を自ら判断し、「一時的」と主張されているインフレなのか「本当の」インフレなのか決断すること。いかなる局面においてもあまり冷静的でないマーケットにとってはやや厳しい要求。 今後インフレの判断に役立ちそうな指標と市場予想は以下: * 6月24日 GDPのQ1修正(3次)のコアPCE。前回の2.5%から修正の有無。 * 6月25日 個人所得と支出。どちらも前月比悪化する見込み。 * 6月25日 5月PCEコアデフレーター。前月比やや減速する予想。 * 6月29日 4月FHFA住宅価格指数。前月比やや加速。 * 6月30日 ADP。前月比半減する予想。 * 7月2日 雇用統計。前月比の55.9万人から増加し70万人弱の予想。時給は前月比大きく伸びる見込み。 なお金利とコモディティが下がる中、原油は引き続き好調。ロシアのOPEC+供給増提案とイランの核合意のニュースを受けても堅調で、需要が当面供給を上回る見方が浸透しつつある。このローテーションを表しているのがエネルギーETFのXLE対金融ETFのXLF。6月に入ってからXLEがXLF
昨晩はFRBのパウエル議長が、インフレのみをみての性急な利上げは行わない、という議会証言があり、NASDAQ中心に株価は上昇した。一方で金利はあまり反応しておらず、債券市場は多少落ち着いた相場となった。発言内容自体はあまり意味のあるものでもなく、先週からの市場の動きを考えると債券市場の反応のほうが自然な反応。 株と債券市場でFOMCの受け止め方や昨晩のパウエル議長の証言に対する反応など、この1週間はバラバラとなっている。金利の動きは引き続き解せない部分が大きいが、長い目で見ればこういうバラバラな時は債券市場の動きが正しいことが多いので、そういう意味では夏にかけてのインフレ率と雇用者数が予想を超えるものではない、というシナリオを警戒している。 多少落ち着いたとはいえ、引き続き市場全体の動きに対して気持ち悪さが残る中、株でリスクを取りに行くとすればマクロとは関係ない動きができる中小型の個別株となってくる。時間があまりなくてちゃんと見きれていないが、サンフロンティア不動産が気になっており、今週末に調査してみるつもり。 本業は中古のオフィスビルを買って内装含めてリノベして売却。売却するまでの間は賃料収入入るし、それはそれで悪くない、といったビジネス。テナントが大企業でもない限り、内装まで整えてくれた方が入居者側も助かるしで、賃料含めてビルの収益力アップしての売却となっている。 数年前からバ
昨夜の米国市場は先週木金のほぼすべての下落を戻し、長期金利も急上昇。ここまで相場が極端に優柔不断な動きを見せると、水面下でより莫大な歪みが潜んでいる。端的にいうと、マーケットが壊れている。 最初は切っ掛けがなかったのもその破損の度合いを語っている。日経平均が3%下がったあと、米株先物と金利が上昇しはじめ、昨日の昼頃に1.92%だった30年金利が今朝2.10%に戻った。 リスクオフの起爆剤となったブラード総裁は月曜日のオンラインイベントで再び似たようなコメントをしていたにも関わらず、今回は長期金利上昇材料となった。繰り返しだが、壊れている。 その中で原油が3%値上がりし、2018年以来の水準を回復した。昨日ツイッターでも改めて$100原油のシナリオを紹介したが、私のビューに合わせたかのように(笑)バンクアメが今日原油$100のリポート発行。発送は同じ: * 需要がしばらく供給を上回る * エネルギー関連企業の供給はESG等により当面縛られる * これからドライビングシーズン等の需要期が始まる 昨日もコメントしたが、テーパリングと利上げの議論が加速している中で$100の原油が見えてきたら別のショックが重なり、大きな混乱が発生する恐れ。 ビットコインも中国の銀行・決済業者のさらなる取締により1月ぶりの安値を付け、リスク資産全体が前も後ろも見えない砂嵐に翻弄されている。 取るべきリスクが全
金曜日の米国市場はリスクオフ相場となった。ハト派寄りとして知られるFRB当局者(ブラード総裁)の発言がタカ派寄り、つまり金融引き締め寄りの発言をしたということで、テーパリングをより強く市場が警戒したことから相場は下がった。 ということだが、正直かなり困惑している。主な点は2つ。1つ目は、金融引き締めのリスクをより強く市場が意識したのであれば、長期金利が大幅に低下する理由がないところ。2年債や5年債といった比較的短期の金利は上昇したのだが、金曜日は長期金利がさらに低下してFOMC前の水準かそれ以下まで下がってしまった。米国の構造的な成長は長期では見込めないと言っているような、そんな金利のカーブになってしまった。その理由がブラード総裁の発言がキッカケといわれると、かなり違和感を覚えてしまう。インフレの過度な上昇、つまり成長が急すぎることを警戒しての政策金利引き上げの話であるのに、その発言の結果として長期金利が成長を見込まなくほど下がる、というのは辻褄があっていない。 2つ目はブラード総裁の発言がタカ派寄りと解釈されている点。確かに22年中の引き上げを示唆するのはタカ派と思われる側面はあるが、内容自体は当然という普通である。「FRBが金融政策の引き締めを早める方向に動いたのは、経済成長、インフレ率が予想よりも伸びていることに対して自然な対応である」と語っており、当然だが経済成長、インフレ
FOMCで利上げ見通しが2023年に前倒しされたことで、前々日は金利が急騰した。といっても、もともと下がっていたこともあり、上がったとはいえ直近の高値と比較すればまだ低い水準。そもそも23年中の利上げくらいであればある程度予想されていることだと思うので、(報道ではサプライズ的なトーンが多いが)本質的にサプライズだった可能性は低い。あえていえば、利上げ予想している当局者13人中7人が22年にも利上げすると考えており、23年末までというよりむしろ22年末かもしれない、といった辺りはややタカ派的なメッセージとして受け止められたくらいか。 金利も結局昨日は大きく下がって2日トータルでみれば、多少の上昇でとどまっている。追加でニュースがなければ、いったんFOMCの話は消化されつくしただろう。結局は毎月のインフレ率と雇用統計の数字次第ということであり、今回分かったことはそれらが強い数字を出し続ければ、さすがに利上げは早めてくるよねということ。逆に言えば、インフレ率や雇用者数が上振れなければ、テーパリングは相当しないともいえる。 この議論は前もあったが、素朴な疑問としてはこれだけの緩和状態の中でもしインフレ率が2%前後の通常運転に収束してしまった場合、もはやアメリカ経済は健康状態といえるのか?という疑問を呼び起こしそう。金融政策はどっちでもいいから、インフレはそれに応じてしっかりしていてくれない
真夜中に目が覚めて折角だからFOMCの決定会合と記者会見を見ようと、暗い部屋で一人でみていたら損しかしていない気分で後味の悪い朝を迎えた。 その気分をそのまま言葉に落とし込んでツイートしたのでご関心のある方はご覧ください: https://twitter.com/aminimaz/status/1405247057464479745 さて、今日のモーニングコメントは原油に関して。 2008年のリーマン前の夏。世界の原油生産量が最大化するタイミングが近づいていると騒がれ、ピークオイル議論で原油価格が一時$140ドルを付け、世界中に本震前のショックを走らせた。 当時の米国エネルギー省(DOE)の統計で全世界の原油需要は一日当たり8700万バレル。同時期のOPEC生産量は3300万バレルで残りは非OPECのOECD等が賄っていた。需給が概ね釣り合っていたにも関わらず市場が不確定な未来予測に基づいて一気に原油価格を約2倍に値上がりさせた。当時の米国CPIが2007年中の+2%前後の水準から2008年7月に+5.6%に跳ね上がり、数十年ぶりのオイルショックを起こした。 2021年に早送り。 コロナ禍で低迷していた原油需要が凄まじい勢いで回復中。IEA統計によると2020年末にすでに9100万バレルに回復し、2021年Q2に9490万バレル、Q3に9770万バレルに急伸する見込み。 そこで
昨晩の米国市場は、金利はほぼ横ばい。一方でNASDAQを中心に株式市場は木曜日のFOMCを警戒して利食いやポジションを落とす動きが見られて、やや弱含んだ。まぁわざわざボラティリティ追いかけなくてもいいよね、という動きではあるし、とりあえずFOMCの内容待ちなので今週はそれまではあれこれ言っても仕方ない面もある。 FOMCでよほどのサプライズがない限りは、23年末までにテーパリング開始といった辺りが変更点としてありそうな気はするが、だとしてもある程度織り込まれているようには思える。22年となってくると結構驚きになるのかもしれないが、とはいえ市場が冷静な理由があるとすれば、ということで今週考察している第2弾。 失業給付金上乗せが消え、労働市場に復帰⇒賃金上昇率の低下、車の購買力低下 月曜に書いた通り、原油以外の残りの懸念でいえば、賃金上昇率や購買力低下が考えられ、購買力は特に直近のインフレ要因(寄与8%くらい)となっている車価格についてである。車価格については、半導体不足に加えて、自動車部品全般が港湾で棚上げされている状態で、荷下ろし、輸送が滞っている状態の模様。昨年の12月のピークからはある程度解消したようだが、完全回復には数か月では足りない(トラック輸送も稼働率100%とか)ことが車価格の大きな上昇に繋がっている。 問題はそれでも消費者が買えてしまうということもあり、失業給付金の
ナスダックが過去最高値を更新し、金利が上がり、農産物コモディティが大幅下落し、FOMC前のポジション調整とショートカバーで騒がしい米国株式相場だった。 昨日はポール・チューダー・ジョーンズ氏が多くの投資家の内心を代弁し、現状を「バット・シット・クレイジー」(とんでもなくめちゃくちゃ)と雄弁に語った。報道によるとFOMC委員会メンバーの利上げ予測が前倒しされ、現在2023年にゼロ近辺にある金利予想値の中央値がやや上がる見込み。いずれにせよ、決定会合の声明が事実上「現状維持」であれば、ジョーンズ氏も語ったように、インフレヘッジ(仮想通貨、金、コモディティ)が大きく買われ、リスクアセットのバブルが再度膨らまされるだろう。 引き締め姿勢への過剰反応を恐れているFOMCは、勇気を絞り出して少しブレーキを踏み出すのだろうか。取り返しのつかないことになる前に踏んでほしい…。ターゲットにしている雇用改善は現在の金融政策によって実現できているかは個人的に大きく疑問。 国内株式で昨日はパーク24(4666)が2Q決算を発表し、大幅な未達に加え通期を赤字に大きく下方修正し、想定外のロックダウン打撃、景気回復の遅れのシグナルを示した。 上期は元々1300億の売上、5億の営業赤字を見込んでいたが、着地は1218億の売上(予想比-6.3%)と65億の営業赤字(予想比13倍、前年同期比4.3倍の赤字拡大)。通期
金曜日の米国市場は動きの少ない展開。金利が落ち着いていることから、買い優先の市場ではあるが一時マイナスになるなど高値警戒、利食いの動きは引き続きあり、それを超えていくほどにはニュースもなく、カタリストが不足しているような展開だった。 CPIが予想を超えて上昇していくなかで、金利が下がり続ける理由について要調査と思い、週末少し調べてみた。可能性として、①原油価格、②賃金上昇率、③消費者購買力、あたりが低下していくことを考えられている、あるいは④少しでも利回り確保したい運用会社が短期的に買いに回った結果の需給要因(私自身コメントに書いた通り同じことをした・・)、という話があるようだ。今日はそのうち①の原油の価格動向(向こう数か月)を紹介したいと思う。 米国のイラン核合意復帰により原油輸出含む1,000件あまりの制裁解除 3月ごろに一度言われていた話ではあるが、バイデン大統領はイラン核合意復帰を打ち出しており、現在1,200件近くある経済制裁の内、1,000件あまりは解除していく段階的合意が存在している。一方で、イラン側は残り200件が解除されないことに態度を硬化させた結果、この段階的な解除自体が水に流れてしまった。 しかし、今週の6月18日のイランの大統領選以降、イラン側が再度交渉につくのではないか?という思惑がある模様。反米のハメネイ師が擁立する候補が勝つとみられているが、だからこ
注目のCPIが発表。5月は前月比+0.6%(前年同月比+5.0%)で市場予想の+0.4%(同+4.7%)を上回った。賃金も前月比で+0.5%。これを受けて朝方は長期金利も上昇。が、その後低下に転じて終わってみれば金利はさらに下がることになった。引き続き市場予想以上の伸びはしているものの、前月比の伸びが鈍化しているせいなのか、インフレが一過性で金融政策に影響ないという見方が最後は支配的にになった模様。 CPI発表前まで長期金利は低下していたので、そこからさらに低下したのは正直いって予想外。金利上昇に期待したポジションをアイデアブックでも投稿していたが、短期的には苦しい展開になりそう。 もっともこのインフレが短期的かどうかは数カ月みないと誰にもわからないのが本当のところ。一過性の見方の大半は夏にピークを迎え秋くらいから落ち着く、という意見。実際インフレ自体は僕も年末には落ち着き始めると思っているのだが、秋ころには失業保険の上乗せが消えるなど、労働者が労働市場に復帰することで雇用者数が大幅に改善すると考えている。つまり「インフレと雇用者数」両方が目標達成に近づいてくることを示唆するので、秋手前の夏ころの会話はインフレのみではなく、雇用者数も加味した金融政策の動向を探る展開になっているのでは?と考えている。 以上、テーパリング議論や期待値がかなり落ちたので、ポジションをクローズする必要もな
昨夜の米国市場が小幅な下落で終了する中、二日連続で長期金利が大幅に低下し3月半ばの水準に逆戻り。 先月の前月比+0.9%のコアCPI上昇は1970年代以来の水準。資材高、中古車価格の高騰等で大きく跳ね上がり、5月半ばに向けたリスクオフを引き起こした。早期テーパリング懸念が浮上し、10年金利も再び1.7%に迫る水準まで上昇していた。 ただし、今夜発表されるCPIの市場予想は「ピークインフレ」を織り込んでいる。前月比+0.9%を一過性とみなしエコノミスト予想が+0.5%と先月の水準から大きく低下し、ピークはもう過ぎた見込みとなっている。 その結果、今週はインフレ関連銘柄と資産が大きく調整している。米国の主力金融ETFのXLFが三日連続下落し、金利敏感銘柄が総じて低調。これまで好調だった金も$1900から反落し、3週間ぶり安値を更新。 しかし、発表前の市場反応は過剰な安堵に見える。 半導体等の供給網ボトルネックによるインフレは確かにいずれ解消されるであろうが、長引く傾向が見られ年末や来年のはじめまで残る展開になりつつある。と同時に賃金の伸びも想定以上の伸びを見せており、給料水準にも上昇圧力がかかっている状態。 50年ぶりの前月比水準が一過性だったかどうかは重要ではない。それよりリーマン後に起きた構造的なデフレと異なる局面にあるかどうかの見極めがポイント。ミーム銘柄が代表する過剰流動性相場
昨晩は長期金利がやや下がったくらいで、方向感のない展開。金利の動きにしても、木曜日のCPI発表に対する警戒含めた展開でもあり動き自体にあまり意味はなさそう。 あまり大きな話がないので、エルサルバドルがビットコインを法定通貨にする話にコメント。ビットコインがついに法定通貨!といわれるが、実際のところ通貨の歴史を考えたら全く目新しくないどころか逆行したような話である。金本位制、通貨を金の重さとした制度とほとんど変わらない。変わるところは、金の重さを表した兌換紙幣を用意せず(用意する?)、直接ビットコインでやり取りするくらいか。 自国の経済成長のためには通貨としてのビットコイン(金)を増やす必要があり、中央銀行はビットコイン(金)の保有に迫られる。といっても自国通貨がまさにビットコイン(金)なので、自国通貨では買えず、資本やサービスの輸出でビットコイン(金)を仕入れるしかない。逆に言えばその範囲の中での成長に抑えられてしまう。民間では、銀行で行う信用創造が大きな火種になる可能性がある。信用創造と数十年後の債務危機はセットであり、今のところ債務危機を救う唯一の解が(信用ある)政府による通貨供給。一方ビットコイン(金)だと上限あるため、債務危機によっては金に裏打ちされない通貨を発行して危機を凌いだ歴史がある。経済成長にキャップをかけるわ、危機にも全く対応できないわ、の使い勝手の悪い金本位制を
昨夜の米国市場全体は特に目立った動きがなかったが、ミーム銘柄の反発と世界初のアルツハイマー型認知症治療薬の承認で個別銘柄の商いが活発だった。 エーザイ(4523)とバイオジェン(BIIB)が共同で開発したアルツハイマー病治療薬の「アデュカヌマブ」がFDAに承認され、BIIBが40%上昇し、エーザイのADRも一時56%急騰。2003年以降、アルツハイマー病関連の承認はなく、今回の承認は事実上20年ぶりの進展。なおアルツハイマーの根本的な原因である脳内に蓄積されるアミロイドβプラーク(タンパク質)をターゲットにした薬剤が世界初。プラークの蓄積が認知症の原因だと考えられており、減少が見られたのは初めて。 今日のエーザイの株価は大きく反応するだろう。長年、多くの資金とリソースを投入してきた分野からいよいよ成果があがった。ただし、アルツハイマー治療薬の課題は、薬効を正確に測定すること。アデュカヌマブの臨床試験の結果は多くの医師に疑問視されており、承認後どれくらいの売上が見込めるかは非常に不透明。 ミーム銘柄も再び反発し、AMC(+14.8%)、BB(+13.8%)、BBBY(+7.2%)、GME(+12.7%)等が大きく値上がり。ただし、先週に比べて全体に占める出来高が現象。金曜日時点の空売りデータによるとAMCの一部のショートがカバーされ、4月に浮動株対比20%だった空売り残高が12%程度
雇用統計が発表され、非農業部門雇用者数は+56万人と市場予想の+65万人に到達せず。これを受けて、金融政策が直ちに変更されるリスクが遠のいたということで、金利が大きく下がりNASDAQ中心に株式市場は上昇した。その前日のADP雇用統計の動きとは真逆の展開であり、YouTubeでも話したが、相変わらずADP雇用統計のいい加減っぷりが露呈された印象である笑 賃金をみると前月比₊0.5%の伸び、前年同月比では₊2%と大きく伸びている。求人件数も810万件と記録的な高さとなっており、雇用者を求める動きは活発であるものの、労働市場に労働者が復帰していない状況がうかがえる。もはや雇用者数の伸びは鈍化している方が賃金はより伸びていくのではないか?と思える状態である。賃金の伸びがこのまま続いていくと、インフレは一時的なオーバーシュートから長期化する可能性も出てきそう。まぁこのあたりは実際に見てみないと何とも言えないことに変わりはない。 金利は下がったが金融株は下がらず+0.2%で終わっている。金利が下がればマーケット全体が強くなりそれに引っ張られるわけで、この読みづらい政策相場で言えばボラティリティの少ない、かつ業績の結果も残せる数少ないセクターになっている。政策相場が長引くほど金融株の優位性もこれまでになく長期化する可能性があり、過去10年超の相場とは異なる傾向。配当利回りや安定性も高めのセクタ
昨日の米国市場は約10日ぶりに金融政策相場となり、リスクオフ・オン相場から2週間程前の相場に戻った。新規失業保険申請件数が市場予想以上に低下、加えてADP雇用統計も市場予想上回り、長期金利が上昇することでNASDAQ中心に緩和縮小懸念から下がった。全面的なリスクオフという流れもなく、市場全体ではリスクテイクする環境は変わってなさそう。 また仮想通貨市場は落ち着きを取り戻しつつあり、昨日も全般的に強かったため、個人投資家のリスク許容度は減退してなさそうだ。昨日アミンがAMC株に触れていたが、AMCは新株の発行を発表し株価は20%安で引けた。一時、最大で35%近く下がる局面もあれば上昇に転ずる局面もあり、草コイン以上のボラティリティとなっている。繰り返し新株発行し、高値で資金調達を何度も行っているAMC自身が最大の勝ち組かもしれない。 その他、バイデン政権が法人税増税を撤回し、最低税率15%とする方針へ転換と報道。いつかのモーニングコメントで、富裕層増税と両方を同時に追いかけるのは難しいのではないかとコメントしたが、法人税の方を転換することになった模様。これによりダウは多少反応したが、全体的には金融政策相場の中であまり反応しなかった。 今日のマーケットは久しぶりに金融政策が意識される展開となりそうでもあり、そういう意味では直近とあまりかわらないポートフォリオで良さそうなので、個別銘柄候