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全体が小幅な上昇で終わる中、水面下で凄まじい商いが行われた。 1月のゲームストップ騒動は歴史的ショートスクイーズを切っ掛けにメルビンキャピタルが50%の損失を被りシタデル等によって救済された。その後、個人投資家とHFを巻き込んだ議会の公聴会が開かれ、空売り報告等の規制見直しの議論が始まった。 昨日の米国株式相場はこの1月の激震を再び仄めかす展開となったが、今回の主人公はゲームストップではなく、一時倒産寸前まで追い込まれたAMC社である。 ゲームストップと異なり、発行済み株数を超える残高の空売り状態ではないが(AMCの現在の空売り残高は浮動株対比18%程度)、AMCがこれまで大量に発行してきた新株を背景にGMEの当時の時価総額を大きく上回っている(AMCの現在の時価総額は313億㌦、GME当時のピークは242億㌦)。 その結果、メルビンが破綻寸前となった同等の状況が発生している。 1月20日~1月27日にかけて空売りによってHF等にて2兆円を超える損失が発生した。5月25日~今日現在までは8000億円の損失となっているが、 最新の空売り概算データを見る限り、今日はどれもカバーされておらずむしろ最も上昇したAMC、GME、BBBYの空売りが積み増されている。 下図を確認頂ければ、1月のミーム銘柄(GME、AMC、BBBY、BB、PLTR、SPCE、RKT)全体の空売り損失の状況(上図)
昨晩の米国市場は金利はやや上昇し、株式市場は横ばい。金融緩和を気にした、金利の上昇⇒市場下落という流れにし対して、景気回復期待による買いが交錯し、株式市場は横ばいとなっている。 そんな中金融株は理想的な展開。どちらかといえば、景気回復、金利上昇圧力が強い中、市場全体の下落要素も薄れたことで、金融株がより安心感を持たれるようになっている。もともとバリュエーションだけでいえば金融株はどれも割安であり、上昇しても他と比べて高くないのも重要な点であろう。 過去10年超にわたり、金融株は金利や政策による一過性のセクターであったが、今回については比較的に長続きしていてどこまで続くのか見極めが難しい。バリューvsグロースのニューノーマルとして長続きするのか、今がピークで元に戻るのか、判断がまだ出来かねている。過去の動きから見ればそろそろ怖いと思ってしまうが、ファンダメンタル的には過去にないくらい向こう数か月(金利上昇が見込める)はスター状態となってもおかしくないとも思う。ここは追って調査が必要。 もう1点は原油。景気回復、経済再開から原油需要の拡大やその期待とともに原油価格は底堅く推移しており、徐々に上昇を続けている。足元はその通りなのだが、視点を少し先に延ばしてみると、脱炭素という文脈でも実は価格上昇してしまう可能性があることが気になっている。現状、脱炭素によって様々な化石燃料に対する設備投資
メモリアルデーで米国市場が休場の中、今週金曜日発表予定の雇用統計に関わる内容をご紹介。 毎月発表される 非農業部門雇用者数(NFP) の前に民間企業であるADP社が ADP雇用者数(ADP) を発表する。どちらも全国の雇用情勢を反映するものだが、集計方法が異なる。 NFPは労働省労働統計局(BLS)が全国の雇用サーベイのサンプルに基づいて集計。雇用主単位のデータであり、廃業や新規設立等の影響は集計上調整される。 ADP社はBLSの集計方法をベースに実際の給与支払いに基づいて計算される。 どちらも各月の季節的要因や過剰な一過性要因を除いて集計。NFPはさらに、その後三カ月間に渡って過去データの修正も行う。 そこで発生する問題は、コロナ禍そのものが季節を狂わせ、すべて一過性要因とも思われるような影響を及ぼしている。統計集計作業が極めて困難となり、ADPもNFPも正確な数字把握に苦労している。下図は過去のADPとNFPの人数差を表しているもので、コロナ禍の影響で過去にない乖離が発生している。先月も50万人弱の差があり、過去3番目に大きいズレとなった。 もう一つの課題は季節の調整。たとえば夏にプール関係の仕事が増えるのは想定内の出来事で、7月に全国の継続的雇用が突然増えているわけではない。コロナ禍はこれも狂わせてしまっているので、NFPサイト上にある季節調整前の数字をご覧いただければ、統計
金曜日の米国市場は小康状態といったところ。4月の個人消費支出価格指数(PCE)は前年同月比₊3.6%、食品・エネルギーを除くコア指数でも+3.1%(市場予想+2.9%)と、30年来の伸びを見せている。インフレが起きていることの確認ができつつも、予想の範囲内の伸びでもあり、マーケットは大きく材料視はしなかった。 金曜日引け後に自動車用半導体の大手、ルネサスエレクトロニクスの増資が発表された。約10%の希薄化。もともと2月にダイアログ・セミコンダクターを約6157億円で買収すると発表した際に、買収資金として新株発行の登録(最大2700億円)を行っており、増資自体にサプライズはなく、ようやく決まったのかというのが第一印象。通常であれば増資が発表されると短期的には需給面で株価は弱含む展開となるが、今回のように事前に発表されていた場合はすでに織り込まれている可能性もあり、一般的な動きに比べてそこまで下がらない可能性もある。実際、ルネサスを買おうと思っても、今後増資があるため二の足を踏んでいた投資家も多かったであろう。そういう意味では、正式に発表されたことで増資という不確定要素が排除され、ようやく投資対象として見れるようになった投資家もいると考えられる。 今期の予想ベースのPERで、希薄化後で22倍。ただし、買収先のダイアログ自体の利益貢献もあるため、単純にそれをプラスすると利益が10%強増え
昨晩は良好な経済指標を背景に金利は上昇。同時に株式市場はおおむね上昇。NASDAQのみほぼ横ばいの微減だった。金利上昇、株式上昇というリスクオン相場であり、今週前半のリスクオフ相場の反動と思われる。 水曜日のコメントでも記載したが、これまでの金利と株の逆相関性が今週失われ、むしろ正の相関を見せ始めている。金融政策がこれまでほどには市場の関心事項でなくなってきた(飽きてきた)可能性もあるので、要注意かなと思っている。その場合、市場が関心を寄せる次のものは何か?であるが、現状は全体的なリスクオフ相場への警戒と思われる。金融政策は引き続き重要なファクターであるが、インフレ見通しが長期にわたり定まらないことから、不透明性の増大に加えて暗号資産市場の動向含めて、リスクを落とすこと自体に関心が出てきたのかと思う。 もっとも昨日のように、新規失業保険申請件数が下がるなど、良好な指標が出れば反動でリスクオンになるなど現状では完全なリスクオフ相場とは程遠い。ベースとしてはインフレが進むことは考えられるので、良好な指標、インフレ↑、金利上昇はセットでこれからやってくると想定しており、その時の相場環境によって反応はまちまちではあるものの、リスクオン、ないし金利上昇懸念による一時的な混乱のセットが来ると思われる。 そう考えると、金融政策相場に少し飽きてきたところで金融株がもし下がるのであれば、それを拾って
相場全体で材料が乏しい中、年初にスポットライトを浴びた銘柄群が再び浮上中。 ユーチューブでも紹介させて頂いたが、年初は「ミーム相場」、「ショートスクイーズ相場」に多くの投資家の注目が集まった。民主 vs ヘッジファンドの戦いは1カ月半もの間に広げられ、3月ごろに鎮圧された。 しかし!現金給付、特別失業手当、全損に挫けない心を武器に「ウォールストリートベッツ」の一夜で大儲けの夢は決して終わらない! そこで「ミーム相場」を表現する新たな指標を誕生させてみた!年初に何百万人もの人々の心を捉えた銘柄を選び、米国相場全体の出来高に占める割合を計算。その銘柄群とは - GME(ゲームストップ) - AMC(AMCエンターテインメント) - PLTR(パランティア) - BB(ブラックベリー) - RKT(ロケット・カンパニーズ) - BBBY(ベッド・バス・アンド・ビヨンド) - SPCE(ヴァージン・ギャラクティック) - TLRY(ティルレイ) 一月半ばの上記銘柄群はなんと相場全体の 9% もの出来高比率を達成!売買されていた10株に1株がミーム銘柄であった!3月から4月にかけて株価暴落と同時に出来高も低下し、全体の1%未満の寄与に戻った。一通り騒ぎが終わったと思いきや、年初に決議された法案に基づき5月に再び$1400の現金給付が行われた。5月は4000億円相当の給付で、これまでの一時給付
昨晩は長期金利が低下し、株式市場も下落した。これまでの金利低下&株式上昇のセットから、ついにデカップリング開始か?という動き。たった1日の動きではあるものの、ターニングポイントかどうか考察。 1.暗号資産市場 暗号資産市場の動きが、個人のリスク許容度に影響を及ぼす不確定要素として繰り返し紹介してきた。今週に入りやや落ち着いた展開を見せているものの、ピーク時の価格から引き続き半減(といっても年初来で見れば、他資産比でもまだまだ良パフォーマンスだが・・)していることから、リスク許容度低下⇒個人投資家の株式売りとなっている可能性や、それを見越した短期勢の売却が発生している可能性がある。個人が金利のポジションを持つことはあまりないので、こういった動きは金利の動きとは無関係に発生することで、金利と株式のこれまでのセットからデカップリングが発生している、という話である。 市場コメント見ていると、昨日の動きはおおむねこのような見方に沿ってそう。実際、金利が低下したときに最初は株式市場は上昇していたのだが、場中に暗号資産市場が上昇から下落に転じていったことで、株式市場も下落していった。ただし昨晩の暗号資産市場の下落はかなり穏やかなものでもあり、むしろNASDAQの下落につられて暗号資産が下がったかのように見えるほどで(鶏と卵ではあるが)、金利が4-5bps低下したことを考慮(=機関投資家のこれまで
ピークから半値まで暴落していたビットコインを筆頭に暗号資産が20%前後値上がりする中で、材料不足だった昨夜の米国株式がテク主導で大きく反発。最近の相関を反映して金利もやや低下。 暗号資産において引き続き米中の規制強化の動きが強まる中で、引き続きイーロン・マスク氏の発言に遊ばれる展開がつづいている。昨日は米国市場におけるマイニングの電力を生成可能エネルギーにシフトさせようとしているとつぶやくと上昇ペースが加速した。1日で30%下がるのも、1日で20%上がるのも、どちらも無論不健全な価格形成を表している。昔から暗号資産がこの程度の値幅で変動するのは資産クラスの属性でもあるが、機関投資家や企業が取得している昨今においては参加者に過去と異なる打撃を与えている。 規制面でもう一つの重要な動きはコモディティ市場内で起きた。中国は独占、投機、買い溜めを一切容認しないと表明し、鉄鉱石、鋼材、金属等が大きく下落した。株式、暗号資産と同様に、過剰流動性を吸収していたコモディティからも資金が流出すると果たしてどこに流れるのだろうか。 今週は多くのマクロデータ発表を控えている。米国の住宅価格、新築販売件数、消費者信頼指数、耐久財受注、GDPとGDP価格指数、個人消費、PCE(連銀が好むインフレ指数)等々が発表される予定。 今日は日本株も米国株高を受け、連勝で始まるだろうが足元の上昇はより長い調整の中での反
金曜日の米国市場はまさに一服。PMI速報値が61.5と過去最高をつけて、市場予想60.2を上回る結果となったが、サプライズの薄い結果でもあり相場全体への影響は限定的であった。インフレ懸念からグロース株の多いNASDAQのみがやや下げたのが特徴的なマーケットであった。 インフレと金融緩和の見通しについては現状の情報からはかなり出尽くしたところまで来ており、サプライズなデータポイントが出ない限りは今週はややボラティリティの下がった動きになるのではないか。そんな中で、ボラティリティを乱す懸念は暗号資産市場の暴落である。週末ビットコインだけでも20%近く下げており、個人投資家のリスク許容度が下がっていることが株式市場にとっても懸念。暗号資産市場における痛みがどの程度株式市場に影響を及ぼすかは、実際に蓋を開けてみないとわからない。個人的にはテールリスクにつながるような影響はないと考えているが、NASDAQのようなハイテク株は投資家の重なりやvaluationの高さからやや影響受ける可能性がある。 週末にかけて中国の金融安定発展委員会が、ビットコインのマイニングや取引を取り締まることを再度発表。先週半ばには出ていた話だが、再度声明を発表したことが引き金となり暗号資産は下落した。中国の取り締まり自体は今に始まったことではなく過去に何度もこういった動きはあるのだが、具体的な取り締まり内容が全く発表
昨晩の米国株式市場はNASDAQを中心として反発。金利は下落。引き続き、金利下落&株式上昇セット、またはその逆セット、の動きとなっている。暗号資産市場も昨日は反発をしており、個人投資家のリスク許容度の改善を確認するような形でNASDAQ中心の上げとなっている。 ひも解いてみると、現在の市場を突き動かすファンダメンタル上の主要因は「FRBの政策。テーパリング(金融引き締め)の時期に対する見方」の1点であることに変わりないが、これに加えて(特に個人投資家の)リスク許容度という観点で「暗号資産市場の値動き」が意識される展開となっている。5月のフィラデルフィア連銀業況指数が31.5(予想43)と前月の50.2から予想以上に低下し、金利はこの発表をきっかけに下がっている。この金利の下げに加えて、リスク許容度の改善が昨晩の株式市場の要因かなと個人的には考えている。 まぁ要するに一服ですね。ここ最近は激しかった2週間でしたが、おそらくは今日金曜日はやや落ち着いた市場になるのではないか。来週以降もそうなる、ということではないが、定点観測としてはインフレや経済指標の動向を確認しつつ傾向に変わりなければ、引き続き市場とは無関係の個別銘柄、金融系銘柄などを中心にしばらく様子を見てみる感じ。加えて暗号資産市場の動きもウォッチして個人投資家のリスク耐性が維持できるかの確認なのかな。 なお資金循環を考えると、
昨夜の米国相場は寄りの大幅下落から引けに向けて徐々に回復したが、正直株式相場のファンダメンタルズより暗号資産の極端の動きに誘導されていた印象が強い。 実際、テク主導の反発が始まったタイミングは暗号資産がセリング・クライマックスを迎えた瞬間。 過去一年間で多くの個人投資家、機関投資家のポートフォリオに組み入れた暗号資産の動きは全体のリスク管理の一部となっているのは間違いない。特に機関投資家の場合、ポートフォリオの一部が突然30%下落するとリスク管理、レバレッジ管理の観点で静観の選択肢はない。 3月末のアルケゴス事件からリスク資産への黄信号を申し上げ、4月中のコインベース上場やドージコイン騒ぎ当たりからより強いバブルへの警戒を呼び掛けてきたが、依然としてリスク資産全般は脆い局面にあると考えている。 昨日のFOMC議事録も想定外な展開にテーパリング議論の開始を示唆したが、暗号資産に乱暴に誘導されていた市場はそれをじっくり消化することができず一日の取引を終えた。特に今回の緩和・財政バブルの影響が最も明確に顕在化している市場は株式ではなく債券相場である。ハイ・イールド債(ジャンク債)と名目金利差は2007年のリーマン前の水準に縮小し、本来であれば元本回収リスクを最も懸念すべき債券投資家がいかに過剰なリスクを負っているかが現れている。 蛇足ながら昨夜の暗号資産暴落で多くの個人投資家がはじめて暗
昨晩の米国市場は下落して終了。4月の住宅着工件数が前月比9.5%減少したことが失望視されたとのことだが、これは額面通りには受け止められないと思っている。これまでで言えば、弱い統計結果⇒金融緩和継続⇒マーケット回復というのが1つの流れであった。特にここ最近の金融緩和終了に対する警戒が強く意識される状況ではなおさらである。事実、住宅着工件数が発表された直後はマーケットは反発しており、その後徐々に下落していくこととなった。 ここから示唆される可能性は大きく分けて2つ。 1つは、金融緩和か引き締めかではなく、単純にリスクオフの流れになってきていること。仮想通貨市場において顕著であるが、特に米国個人投資家がリスクオフ⇒保有資産を圧縮して現金化している可能性が高く、こういう局面が株にも波及し金融緩和の有無に関わらず売りが強まっているという見方。 もう1つは、住宅着工件数が予想より低いのは、そもそも木材価格の高騰など供給側の事情で着工できない事情があり、需要が弱い(景気回復が遅れている)わけではないという点。つまり供給が絞られていることで、よりインフレ圧力が高まる⇒金融引き締め&金利上昇を連想させて、結果的に「見た目弱い統計⇒実は強いインフレ圧力を確認⇒金融引き締めの懸念⇒マーケット下落」という流れになったという見方。 個人的にはどちらも混在していると思うが、個人投資家に多いのが前者、機関投資家
昨夜の米国株は先週の回復から一旦小幅下落。再びグロース主導の調整で、ナスダック銘柄を中心に低調。 株がもみ合いを続ける中、堅調な建築需要等に支えられていた木材先物が月曜日に大きく下落。7月限月の先物が4.5%値下がりし、6日連続の下落となった。5月7日につけた最高値から20.6%暴落。供給が細る中、需要の先食いで先物が急騰してきたが、需給バランスが落ち着きつつあると考えられている。 ビットコインはイーロン・マスク氏の公開喧嘩に遊ばれ、テスラが売った憶測で大きく下がったのち、売ってないと表明したマスク氏のツイートを受け反発。暗号資産を代表するビットコインは4月の高値から30%下落。短期的に14日RSI等は売られすぎをシグナルしているが、この水準を維持できなかったら一段安のリスクが現れそう。 その中で個人的にも注目している金が上昇し、1月以来の高値を更新した。これまで続いていた資金流出が止まり、実需を含めた流入が加速している。世界最大の金ETFのGLDは、3月~4月にかけて4500億円の資金が流出したが5月に入ってから750億の流入。インフレ懸念と実質金利上昇で再び注目されており、ジュエリーと中央銀行の実需も回復中である。 中国が輸入規制を緩和した関係で国内需要が戻り、3月は1年ぶりの高水準の金輸入量を記録(下図)。 先日はアイデアブックにも金のアイデアを投稿したが、ご興味のある方は下
金曜日の米国市場は長期金利が落ち着き低下。4月の小売売上高が前月比横ばい(市場予想+1%)とやや低調に終わったことも金利が落ち着くキッカケとなった。長期金利の上昇が一服したことで、株式市場も落ち着きを取り戻し、それまで下がっていたハイテク株を中心に幅広いセクターに買い戻しが入った。 景気回復とともにインフレは加速してくのか、あるいはあくまでインフレ上昇は一過性に過ぎないのか、FRBの基本的な見方は後者であるが、この2つを行ったり来たりしばらくはマーケットは繰り返していくのだろうと予想。言い換えると、予想を超える経済指標が(連続して)出てくると金利上昇が開始されマーケットは混乱、予想通りor以下の指標が出てくると金利は低下してマーケットは落ち着く、といった流れ。しかし低調な指標が連続してくると、そもそも経済回復しているのか?という別の懸念が出てくるため、長期金利が横ばいを維持して株式市場のみが上昇し続けるケースはそれなりにナローパス(予想ピッタリの結果がずっと出続ける)のように思える。 過去1年に渡り市場全体が回復し、マクロやテーマ性などセクター単位での動きが支配的であったが、上述のようなインフレを中心とした見方が定まらない限り、市場全体の方向性もまた定まらないだろう。期間にして最長半年といったところ。この間はマクロというより、個別性の強い銘柄、またインフレ、金利、景気動向に左右され
昨晩の米国市場はいったんの反発。発表される経済指標は相変わらず強い。失業保険申請件数が47万件(市場予想49万件)と前週の50万件より改善。さらに卸売物価指数(PPI)も前月比+0.6%(市場予想+0.3%)と水曜日発表されたCPIに続いてインフレが拡大していることが示唆される結果であった。これらに対して昨晩の動きは、株式市場は素直に反応して買いが入り、一方で金利上昇を続けていた債券市場はこれらの結果が一時的なものか見極めとなり、金利は低下している。 どういったポジションを構築するか悩ましいが、現在考えているのは下記の通り。 ・これまで株価パフォーマンスは劣後していて、かつ決算の内容はよかった銘柄 ⇒アイデアブックに投稿しているアイフル、ワコムについて決算の内容が良かった旨をコメントしたが、昨日は両方とも7%以上上げており、マーケット対比では10%近い上昇と力強い動きをしていた。個別性で強い話があれば、相場全体の動きにかかわらず、まだしっかり反応する環境であることが確認できた。加えて、これまで上がり続けていた銘柄のような、利食いできる人が多い銘柄ではなく、これまでのパフォーマンスが悪かったが決算は良好だったもの、というものがダウンサイドは比較的抑え目に個別性で買われやすい、また売られにくい展開になると考えている。なお、少し視点は異なるが、同様にアイデア投稿しているNTTも昨日は上昇
一時的かどうかも断定できないインフレと言える指標が出揃う中で昨晩の米国市場は総崩れ。インフレ懸念で金利も上昇したが、金利恩恵銘柄も寄り近辺値上がりしたが無差別的なリスクオフで最終的にマイナス圏に。 4月のCPIはヘッドラインで+4.2%(市場予想+3.6%)、2008年以来の水準。連銀が重要視するコアCPIは前年比+3.0%(市場予想+2.3%)、前月比+0.9%(市場予想+0.3%)と1982年以来の上昇率を記録した。中古車価格上昇(4月前月比+10%)が犯人との声もあるが、中古車価格も新車価格も資材高、半導体等による供給不足が要因でどちらもすぐに解消されない状況。 値動きの地合いが非常に悪く、S&P、ナスダック、ラッセルもすべて出来高を伴う形で安値引け。最も打撃を受けたテク主導のナスダックは2020年3月以来100日移動平均を割り込んだ。金利上昇で恩恵を受ける金融ETFのXLFは上昇から始まったが、引けに向けて売られ最終的に1%安。久しぶりの典型的なリスクオフ。 想定以下の雇用・景気回復と想定以上のインフレは微かにスタグフレーションの匂いがするが、その判断はまだ時期尚早。インフレが一時的かどうかも数か月の様子見が必要な中、これまでの永遠緩和への期待が一歩下がりそう。市場が織り込んでいる2022年の利上げの可能性は先週の60%から80%に上昇し、今後テーパリング議論も前倒しされそ
昨晩のNY株式市場は引き続き下落。引けにかけて10日の下落のけん引役であったハイテク株が買われ始め、NASDAQはほぼ横ばいでの引け。ダウも下げ幅を縮小することとなった。 11日は日本株市場が大きく下げたことがリスクオフの流れに繋がったと考えられる。一方で、金利は逆に上昇しており、資産クラスによって動きはバラバラ、方向感を欠いてる展開。根強いインフレ懸念や給油所でのガソリン不足から、金利や原油価格は上昇しているにも関わらず、保険やエネルギー株が大きく売られており、秩序だった動きでなくなっている。VIX(ボラティリティ指数)も2カ月ぶりの高値となっており、ややパニック的な動きであった。 昨日の国内市場は日経平均が3%安と、他国に比べて頭一つ飛びぬけて大きく売られた。日本株固有の新しい話が出たわけではないが、どうも昨日未明に取引所外のダークプール市場に数千億円規模の日本株売りが、ヘッジファンドを中心に複数の機関投資家から入ってきた模様。売り銘柄の主体は「昨年高いリターンを上げている、Valuationが割高、半導体関連、脱炭素銘柄、決算失望銘柄」といった辺りのようだ。これらを利食う動きとなっており、6月末のファンド決算に向けて、6月初旬まで断続的な売りが出る可能性がある。 いったん利食いの手仕舞い的な売りが起きていることを考えると、NY市場含めてやや無秩序な動きになっていることは理解し
月曜日の米国市場は金曜日の雇用統計後の反発から逆行しナスダックが2カ月ぶりの下落率。 グロースはここ数週間、インフレ懸念(リフレ期待)と景気再開と闘いながら、一進一退を繰り返してきた。昨日はFAANG等のマーケットけん引役が3~7%下落し、3月半ば以来の下落率を記録。景気敏感銘柄は寄り直後堅調だったが、後場のテック下落を追随し、ダウも5日ぶり下落。 ずっと同じことを言っているような気がするが、リスク資産全般は見た目より脆い局面にある。 次の注目点は水曜日の米国CPI発表。市場予想はヘッドラインで+3.6%と10年ぶりの上昇率を見込んでいる。コアも+2.3%と長期目標である2%を超えると予想されている。パウエル議長をはじめとした連銀関係者の「インフレはあくまでも一時的な現象となる」主張がより厳しく見極められそう。 個人的にマーケットのセンチメントを確認する上で先週のユーチューブでも紹介したARKKのETFに一つの指標として注目しています。テスラ、スクエア、ショッピファイ等、イノベーションをテーマにしたETFであり、昨年150%上昇。3月に入ってから続落し、昨日も5%強下落。このETFに含まれている銘柄の多くは「実績というより夢がある」。現在のマーケットバリュエーションもある種の夢で支えられているのでいつ目が覚めるかが気になります。 主要市場の動き - ダウ 34742.82 (-0.
先週金曜日に米国4月雇用統計が発表。雇用増加数が前月比+26万人(市場予想平均+97万人)と衝撃的な低さであり、3月の数字も+91万人⇒+77万人と下方修正された。ここまで低いと、需要が低いことではなく別の要因、つまり手厚い失業保険により労働市場への復帰が行われていないという、労働力不足が要因として意識されている。 発表を受けて株式市場は上昇。金融緩和の早期縮小はなくなったということで、緩和の長期化期待から全セクター上昇する展開となった。どっちに転んでもポジティブに捉えてしまう、金融緩和時代あるあるの展開ではあるのだが、さすがにもう少し失望売りのようなものが出るかと思っていた。全く出てこないのが、正直気持ち悪さを覚えている。あえていえば、あまりにも低調な数字であったため、逆に特殊要因が意識されて無視されたと言えるのかもしれない。 一方で興味深いのは債券市場。長期金利も結果的に上昇して終わった。これだけ低調な雇用者数と緩和長期化が意識されると金利は下がりそうだし、実際発表後は大きく下がったのだが、最終的にはもどしてやや金利上昇する展開となった。株式市場と反応が真逆ともいえるが、おそらく4月の時間当りの賃金が前月比+0.7%と大きく上昇していることが背景と推察される。雇用者の伸びはイマイチでも、所得が増えているのでやはりインフレはそう遠くないと。 低調な雇用者数に反して賃金は大きく伸び
今晩発表予定の4月雇用統計が強く意識される中、昨晩の米国市場はやや続伸。新規失業保険申請件数が49万件(予想53万件)と前週の59万件から大きく改善。ただし、前週の確定数字自体が速報値より数万件増えたので、2週合計でみればさほど予想より大きく減少した印象はない。市場の反応としては、株式市場はやや反応して経済回復銘柄中心に上昇。一方で債券市場は金利はほとんど反応せず、金利上昇どころかやや下降して終わった。いずれにせよ本番は雇用統計の結果次第といったところか。 雇用統計については雇用伸び数の平均予想が97万人となっている。もっともそのレンジは70万-200万人と幅広い。直近の長期金利の低下を考慮すると、この予想レンジ内でも上半分であれば長期金利の上昇がみられる展開がくるかもしれない。 GW週ということもあり決算はまばら。任天堂の決算発表がされたが、着地の営業利益は前期比+81%と大きく増益となった。ただしすでに第3四半期の時点で+90%となっていたことを考えると特にサプライズはない。今期の会社予想は30%の減益計画としている。任天堂は毎年非常に弱い会社計画を出す傾向にあり、これ自体を額面通りに受け取る投資家はいないだろう。もっとも会社予想の見栄えの問題として、すでに昨日の時点で1.7%安と、会社予想発表を警戒してか下がっていた。市場予想についても今期から10%減益を予想している。昨年度