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【2021.08.02】市場の見方の定まらないコロナとの共存というニューノーマル。ワコムの決算。

米株は下落。アマゾンを始め、GAFAなどハイテク株中心に下落した。1日の動きだけではなんとも説明しづらいが、これまで市場をけん引していたハイテク株について風向きが変わってくることになるのか。6月の個人消費支出価格指数は、コア指数が+3.5%と市場予想の+3.7%に届かず、早期の金融引き締め観測が後退し金利は下落。コロナ再拡大の懸念、金利下落、と株式にとってプラスマイナス入り乱れる要素があったが、その中でハイテク株中心に下落した。 過去1年半にかけて市場全体は割とシンプルなテーマ、つまり巨大な金融緩和、財政の下、コロナによる恩恵と負け組、そこからの復活というもので、ワクチンの開発と普及がある意味ではゴールでもあった。一方で、現状ではそのゴールが見えつつあることで、例えばコロナ恩恵銘柄の決算内容に変調がありつつも、デルタ株拡大の懸念などワクチン普及がゴールではない可能性がでてきており、コロナ解決という単純な未来が描きにくくなっている。 かといって、再拡大したとしてもまたロックダウンだの給付金だのと、シンプルにこれまでの繰り返しになるイメージもなく、案外この共存というシナリオがどういう人々や社会の変容をもたらすか、マーケットも混乱しているような印象。 買うなら、コロナ恩恵銘柄なのか、負け組の復活なのか。とはいえ、S&P500社の内、300社が決算を出し、90%が市場予想を上回る内容となっ

【2021.07.30】経済対策30兆円。飲食への協力金、GOTO○○、あたりか。

米国株式市場は上昇。GDP速報値は年換算で前期比₊6.5%と予想の+8.5%に届かず、今週の失業保険申請件数も40万件と予想の38万件ほどには下がらず。という状況の中、出てくる企業決算自体は総論としては好調でもあり、市場は上昇した。GDPなどマクロ指標がやや弱かったことから、金融緩和の長期化が意識されて安心感につながったという見方もあるが、個人的には仮に予測通り強く出ていたとしても、あまり動きは変わらなかったとも思う。金利はほとんど動いておらず、緩和長期化が意識されて下がったわけでもない。かといって、仮に経済指標が強かったとしても金利上昇が起きたとも思えず、株式マーケットはどっちにしても良いように解釈していたと思うし、(一時的に?)不感症になっているように思う。 アマゾンの決算発表によると、さすがにコロナによるEC利用の伸びは鈍化しつつあるとのこと。決算を受けて時間外取引で売られているが、言い換えると、予想されていたことだがオフラインのビジネスに消費が流れ始めていることが示唆されている。コロナ拡大中の日本では、また飲食やレジャー、旅行などの銘柄は弱含む可能性はあるが、ワクチン接種後のリターンを考えると、下に押す局面では拾っていくつもり。 あと予想通り経済対策の報道がきた。総額30兆円とあるが中身がよくわからず。とはいえ元々未消化の予算だけでも20兆円近くあったと思うので、規模感とし

【2021.07.29】台本通りFOMC。ブレーキを踏む気のない連銀と踏んだブレーキを緩める中国。
iconJul 28, 2021
iconJul 28, 2021(edited)
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FOMC後の米国市場は結局小幅な動き。先月のタカ派シフトに比べ今月は現状維持に受け止められ、ジャクソンホールまでマクロデータと感染拡大を分析していく日々が続きそう。 一方大暴落していた中国ADRが大きく反発。中国政府は国内銀行と緊急会議を行い、教育関連の非営利化義務に対する姿勢を改めて説明した模様。ほかの産業へ飛び火しないと確信した市場は様々な銘柄を拾い、多くのADRが10%~30%値上がり。 決算を発表したフェイスブックの実績は市場予想を上回ったが、プラットフォーム(アップル等)のルール変化や規制等の影響で今後の広告収入が減速するとコメント。目先の不透明感からアフターマーケットで株価下落。 米国株式を牽引している大手テク銘柄の決算は非常に好調だが、各銘柄が約7週間ぶり小幅に下落中。ナスダック全体のバリュエーションがドットコム並みに上がっている中でこれまでの成長率だけで株価維持が難しい局面。バリュエーション、規制強化、成長鈍化を考慮すると、どれも買う気にならない。 原油価格は再び$72台を回復。夏のドライビングシーズンが好調のようで昨日発表されたDOE原油在庫の減少が市場予想を上回り、主要貯蔵ハブであるクッシングの在庫水準が2019年12月ぶりの低水準に下落。 コロナ禍がもたらした前代未聞の緩和・財政対策からすでに1年が経過。過去にないスピード感で無理やりに景気回復と資産価格暴騰に

【2021.07.28】半導体不足がまた注目される?他、信越化学の決算など。

昨晩はNASDAQ中心に下落。今週決算を発表するハイテク関連株、グーグル、アップル、マイクロソフト、アマゾンなどが決算を前に売られた。他に、中国市場が各種規制強化を受けて大幅に下落していることや、27-28日に開かれるFOMCを控えての警戒もあり、相場全体も6日ぶりに下がった。なお、引け後に決算を発表したグーグル、アップル、マイクロソフトは、時間外取引で現在+3%, -1.5%, +0.8%となっている。 前日に決算を発表したテスラも、決算内容は良好だったが半導体不足が依然として深刻であることが、今後の業績含めて懸念視され2%安。相場全体も上期決算の内容から、下期の予想が維持できるかどうか、失速しないかどうかを見始めており、企業業績へのわかりやすいリスクファクターとしてコロナの再拡大や半導体不足を再度意識し始めているようだ。 そうなると半導体産業が再度注目を浴びるかも?ということで、昨日決算を発表した信越化学。経常利益が1,308億円と市場予想対比+6.6%で、塩ビ事業に加えて、半導体用のシリコンウェハも好調であった。下期にかけても特段懸念はないように見えるが、元々半導体については供給不足が一巡するタイミングが懸念視されていただけに、再度供給不足が意識されるようであれば一連の半導体セクターは他より強い可能性はある。住宅・半導体ともにやや長めの一過性とみられがちなので、決算を受けての

【2021.07.27】中国ADRからさらに14兆円消滅。月初から54兆円消え去る。
iconJul 26, 2021
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FOMC前の米国主要指数は小康状態。一方、今月の中国ADR、中国株の波乱が継続。今月の暴落の影響はどういうタイミングでどこに現れるか要注意。 この数日だけで中国は様々な抜本的な規制強化を発表した: * 学習塾の非営利化義務 * 独占的な音楽配信権の放棄命令 * フードデリバリーの監督義務化 「資本の悪影響」を受けている産業や企業を名指しに次々と切り刻み、株価を暴落させている。米国に上場している教育関連銘柄大手のGOTU、TAL、EDUは今月80%値下がりし最も打撃を受けている。 昨日は不動産事業のさらなる監督強化憶測で香港に上場している関連銘柄も16%下落。 フードデリバリーを手掛けている美団も14%下落。 これらの暴力的な値動きは間違いなく多くのファンドや企業に影響を及ぼす。例えばTALの筆頭株主は実はモルスタであり、おそらく顧客のスワップ等やレンディング用のポジション。GOTUの筆頭株主もクレディスイス。アルケゴスのような状態に追い込まれているファンドがほかにあるかどうか。 タイガーグローバル、ブラックロック、GIC等々もこういった銘柄を幅広く保有。 まだ上場していない中国企業を保有しているVCファンドも多数。 一銘柄だけであればリスク管理可能な状況だろうが、ほぼ無差別的に米中両方の市場が同時に暴落すると資金面の危機的な事態が発生する。解約のための流動性確保や、担保提供している

【2021.07.26】相場を支える好調な米国企業決算。市場予想上回る、日本電産、野村不動産等。

米国市場は終値ベースで史上最高値を更新。コロナ再拡大による警戒がくすぶっている中、好調な企業業績を背景に続伸する結果となった。先週指摘していることと変わらないが、決算シーズンに突入しており強い決算が相場全体を支えている状況である。 リフィニティブによると、S&Pの500銘柄のうち120社が決算を発表済。そのうち88%が市場コンセンサスを上回る決算を出しており、長期金利も1.3%に迫る水準まで回復することとなった。株の定義を考えれば、マクロの経済指標以上に企業業績そのものが重要であるのは言うまでもなく、そこが非常に好調であることは市場全体にとっては安心感につながら内容であろう。GAFAに加えてテスラなどの決算も今週発表される予定で、グロース系も期待に応えられるかどうかが要注目である。その他、今週はFOMCが開催される予定。 先週水曜日は大型株の日本電産が決算を出している。税引前利益が437億円と前年比で₊60%で、市場予想対比で+6%と予想を上回る内容であった。家電向けのモーターやコンプレッサーが好調だったようで、在庫確保の動きもあったのかもしれないが、エアコンや冷蔵庫などの家電業界の売れ行き自体も好調なのかもしれない。7-9月期は猛暑からさらにエアコン需要が増していると想定され、家電メーカーや量販店などの決算でそのあたりは確認できるかもしれない。日本電産の通期の業績予想に変更はない

【2021.07.21】好調な決算を背景に買戻し。ポストコロナを見据えて7-9月の米国企業の予想に注目。

昨晩は米国株式市場は1.5%前後上昇する展開となり、前日までの二日間で下げた分の半分近くを戻した。月曜日のモーニングコメントでも書いた通り、企業決算自体は好調であり予想を上回る内容が多いことから、決算を好感しての買戻しが入った模様。株式の定義からして、最後は企業利益がどうであるからが根本でもあるので、この原点部分でしっかり強い結果が今のところ出ていることは下支えになると思われる。見方を変えれば、相場全体がやや弱気になる中、ちょうど決算シーズンに突入していてよかったね、とも言える。 やや気になるのは、仮想通貨市場がダラダラと緩やかに下げていること。年初の位置からみてリスクオフといえるほどの下げでもないが、リスク許容度が徐々に下がっているのは間違いない。緩やかであるため気づきにくいのだが、やはり数か月前と市場全体の状況が違うことは念頭に置いていいと思う。 そんな中でネットフリックスの決算が20日に発表され、4-6月の契約件数の増加は₊154万件となり、市場予想の₊103万件は上回った。一方で前年は₊1010万件とコロナの巣篭り需要を大きくとらえていたため、ポストコロナでの成長がどうなるのか、他の多くのコロナ恩恵銘柄の評価にも影響を与えるとして注目している。7-9月の会社予想によると、契約件数は₊350万件と予想しており、市場予想の₊550万件を大きく下回る内容であった。これをうけて時間

【2021.07.20】ピークグロース懸念を言い訳にテクニカル主導の調整?
iconJul 19, 2021
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昨夜の米国市場は久しぶりに1%~2%の下落を記録し、弱気の雰囲気が少し広がっているがダウ、ナスダック、S&Pの各指標はまだ年初来10%強の値上がりでまだリスクオフとは言い難い状況。 OPEC+の合意を受けて原油が7.5%下落し、感染拡大とピークグロース懸念から10年金利も大きく10bps低下。金融・エネルギー関連が特に売られた一日。 その中で実はもう一つ面白い局面を迎えている。テクニカルをあまり紹介しないが、テクニカルの基本である移動平均線(MA)が面白いシグナルを示している。 昨夜のS&Pが一時50DMAを下回っていたが、引けに向けて反発。一方、ダウは50DMAを下回り100日を僅か0.7%上回っている。欧州においてもUKXやDAXが昨年の10月以来、100DMAを割り込み、サポート水準を通過して下落。昨日の日経平均がちょうど200DMA近辺で引けたが、CME先物が一段安となり本日は200日まで反発できるかどうかでテクニカル面の雰囲気が大きく左右される。 経済指標や決算は決して悪化してない中で、相場は悪化する前提で動いている。市場参加者が前提条件を迷っている時はテクニカルが意外と重視される。 ファンダメンタルズ面は引き続き強い状況。昨日のキャノンの市場予想を上回る上方修正や、昨夜のIBMの決算発表もコンセンサス以上。景気敏感銘柄の決算はこれからだが、前年対比の伸び率がピークだとし

【2021.07.19】米国企業の決算はアナリスト予想を上回る傾向。

金曜日の米国市場は、金利はほぼ動かないまま、株式市場は下落した。強弱ある統計データが出るなか、全体的な利食いに押された形。6月の小売売上高は前月比+0.6%と、市場予想の-0.4%に対して予想外にプラスとなり景気回復を強く意識されたが、その後発表された7月のミシガン大学消費者信頼感指数が80.8と前月の85.5から大幅に低下し2年振りの低水準となったことで、物価上昇による景気悪化の懸念が今度は意識される展開となった。 リフィニティブによると、これまで決算発表したS&P500に採用されてる米国企業41社の内、2021年4-6月期の利益がアナリストの予想を上回った企業は全PER体の90.2%となり、S&P500の採用企業の利益は同期間で前年比72%の増益と見られている。7-9月期以降からの一年間の予想利益をベースとしたPERは21.8倍となり、予想通りに利益を今後生み出していければ米株のPERの高さはかなり改善されるだろう。 今後の景気動向に期待と不安が混在するのは当たり前の話だが、足元の企業決算は期待を上回り堅調に推移しているようで、このままPERが改善していくようであれば株価の位置も安心感は出そう。といっても、今の株価がPER上、適正水準になるということは、予想以上の決算が今後でない限り、バリュエーションの観点では向こう一年はあまり上がらないということでもある。 なお原油について、

【2021.07.16】予想通り金利は低下。決算相場へ。

昨晩の米国市場は債券と株式でややバラバラの動きとなった。債券市場では、金利は大幅に低下。パウエル議長の証言が従来と変わらないものであったことから、今週前半の金利上昇分が消滅する形で金利は低下することとなった。CPI発表後に起きた金利上昇について、証言内容が変わらなければまた金利は下がるとコメントしていたが、その通りの展開となった(なってしまった)。インフレは一時的であり金融政策に変更なしという見方の継続。 一方で、株式市場は失業保険申請件数がしっかり下がっているなど、インフレ懸念からNASDAQ中心にやや売られた。ここ最近よく見かける、債券市場とは反応が逆の状況。とはいえ金利で動くというよりかは、決算シーズンが始まっており、そろそろ決算相場になりそう。米国株式は高水準のPERになっているので、決算がそれなりに予想達成してくれないと、金利の動向に関わらずPERの銘柄中心に利食いされるリスクが高そうだ。 日本株も7月末くらいから決算シーズンに突入。ただ日本株の場合、それよりも早く日経新聞が業績観測記事をドンドン出してくるので、その前から主要企業の決算情報が出てくる。個人的には業績予想対比でそこそこ強い決算になるのではないかと思うが、その場合報道でも予想上振れ、高進捗といった言葉が出てくるようになるので、堅調な決算自体は相場全体の下支えになるのではないかとは思う。ただ米国市場が弱含んだと

【2021.07.15】台本通りパウエル議長。住宅ローン健全性の深堀。
iconJul 14, 2021
iconJul 14, 2021(edited)
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カナダやニュージーランドの中央銀行が引き締めに動く中、昨夜のパウエル議長はこれまで通りのメッセージを議会に伝え、お祭りの幕を閉じる気がないことを改めて強調した。 目新しい情報がないという意味で本日は米国住宅ローン市場の健全性に少し触れたいと思う。住宅バブルが加速する中でイエレン財務長官をはじめとした何人かの重要人物がリーマン前のサブプライムとの比較を述べ、今回が健全であり制度的なリスクはないとコメントしている。 今週金曜日にイエレン財務長官とパウエル議長が金融安定監督評議会(FSOC)の非公開会議に参加する予定。議題は住宅市場の制度的リスクの評価。 確かにローン規制の厳格化でリーマン前に起きていた「ライヤー・ローン」(借り手の所得を偽るローン)のような事例が少ないし、サブプライム比率も極めて低い(下図)。 クレジットスコア別ローン融資額(10億ドル) 日本人にとっては馴染みのない制度だが、米国消費者の信用力は大手3社の消費者信用情報管理企業のエクィファクスとエクスペリアンとトランズユニオンにて評価される。クレジットスコアは300~850のレンジ内で評価され、620以下のスコアがサブプライムに該当する。 上の図を見て頂ければ、住宅ローン市場全体の希望が急拡大しているにも関わらず借り手のプロフィールが極めて健全であり、サブプライムやニア・プライム(660以下)層がほとんどいない。 でも

【2021.07.14】CPI発表。金利動かしたのは30年債の入札。

待ちに待ったCPIが発表。前年同月比で+5.4%、前月比で+0.9%上昇と5月の数字よりさらにインフレが加速。食品・エネルギーを除いたコア指数でみても前年比で+4.5%、前月比で+0.9%上昇しており、過去30年の高い伸びを達成している。 長期金利は上昇し1.4%を回復。というと、インフレ加速していることで金利上昇したかに思うが、実際にはCPI発表後はむしろ金利は微減しており、予想上回るCPIの結果に対しても引き続き一時的なものであるという見方通りの反応を示していた。ただその後30年債の入札が予想外に低調であったことで、長期金利が一気に上昇し終わってみれば1.4%を超える水準まで上昇した。これを受けて、株式市場も当初ややプラス圏を維持していたNASDAQやS&Pもマイナス圏に下落。CPIの結果というより30年債入札の結果が相場全体を動かした1日だったと思う。もっとも入札が低調だった理由の1つにCPIの結果も多少あったとは思うので、そういう意味ではCPIの数字も金利上昇の要因と言えなくもないのかな、という程度では思っている。 引き続き中古車市場がインフレの主なけん引役にはなっている。中古車価格が+10%以上となっており、これをみてインフレは一時的という見方が根強い。確かに中古車市場は、半導体不足の解消とともに、早晩落ち着いてくるものとは思われる。一方で住宅の家賃市場も堅調に伸びており

【2021.07.13】すべての道は金融緩和に通ず
iconJul 12, 2021
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本日発表予定のCPIは5月に続き高水準のインフレを示すと予想されているが、足元の株式相場の上昇を見ていると仮に想定より強かったとしても「ピークインフレ論」の材料となりそう。相場は高インフレが長続きするかどうかに興味がなく、伸び率さえ低下すれば金融緩和への妨げがなくなると思い込んでいる印象。 同じ意味で今週から本格化する米国決算発表も「ピーク成長率」を示すだろう。昨年の4~6月期が多くの産業にとって最悪期であったため、前年比の増収率、増益率も当面のピークを迎えそう。S&P500のQ1利益は前年比+52.5%だったのに対してQ2は+64%になる見込みだが、この大半が昨年のー31.6%の反動増。ただし、これもインフレと同じ捉え方をすれば、ピーク成長=金融緩和継続という至ってシンプルな結論にたどり着く。 足元の新型コロナウイルスの変異株感染拡大も、人的被害をもたらしながら相場に緩和継続の安心感を与えているだろう。 この構造が変わるには金融緩和を継続できないと思わせる材料の登場が必要だが、相場の動きを見ているとそういった材料は何なんだろうと思ってしまう。 最後に昨日の日本PPI(国内企業物価指数)にて面白いと思った数字のご紹介。木材先物はすでに大暴落し、昨年の11月の水準に戻っているが、高止まりしていた時期の打撃がまさに今企業業績に反映されつつある。昨日のPPIのうち、製材・木の前年比の上昇

【2021.07.12】そううつ病気味な米国市場。ETF決算の売りなど。

金曜日の米国市場は一転してリスクオン。長期金利が急上昇し、景気回復懸念の後退から株式市場全体は回復。週間で見ても、結局プラスで引けることになった。文章を書いていても「なんのこっちゃ」と思うくらい、期待と懸念を深い意味もなく繰り返している。 CPIの発表が13日にあるが、それまでにマーケットがどう動いていたかでCPIに対するリアクションも少し変わりそう。さすがにこの金利水準であれば、市場予想~やや強めくらいの数値であれば、金利が大幅に下がることもないとは思うが、最近の金利の動きは読めないので波乱要因にならないことを祈るばかり。 先週3%近くさがった日本株も今日は強めの展開にはなるだろうが、金曜日の動きについて一言。金曜日の場中、27500円を割る水準まで売られた日経平均だが終わってみれば27940円。さらに引け後の15:15には先物が1%以上プレミアムで取引を終えるなど、引けにかけて大きく値を戻す結果となった。金曜日はどうも終日ETFの決算絡みの売りが見られていたようで、それが下げの主因であれば絶好の買い場だったという話も出ていたが、この動きだけ見ると確かにETF決算の売りが下げを主導していたのかも。 ちなみに決算絡みの売りとは、ETFが配当を払うために保有銘柄を機械的に売却するということであり、本質的にはあまり深い意味のない売りである。そのため下がりきって売りが終わる前の引けに買わ

【2021.07.09】やっぱりワーストケース到来?来週のCPI発表。他、インフォコム。

昨晩の米国市場は久しぶりにリスクオフの流れ。ここで繰り返し伝えていたように、長期金利の低下が示唆する米国の景気減退のリスクに株式市場が意識し始めたような展開となった。新規失業保険申請件数が前週より微増したことも景気回復が遅行している懸念になったようだが、おそらくはオリンピックの無観客など象徴的な出来事が引き金になったのかと考える。下げがきつかったのはアフターコロナ関連の銘柄。旅行やレジャーといったところ。金利低下もあって金融銘柄の下げもきつかった。 これまで言っていたようなワーストケースのシナリオになるのかどうか。つまり、これだけ緩和している状態にもかかわらず、米国でも成長できない時代に突入するのか。債券市場が示唆するものはそれであるが、現状ではそれをはっきり感じるデータはなく、雰囲気に近い予想を中心に株式市場が右往左往しているイメージ。もっともそれが市場でもあるので、逆に景気回復しているデータがしっかり出てくるまでは不安が市場を覆う可能性はある。 そんな中で6月CPIが来週13日に発表される。これまでの流れで言えば、予想よりやや高いくらいであれば債券市場の見方が変わるようなものにはならないだろうが、予想通りインフレしていれば株式市場はやや安心するだろう。 とはいえ、マクロ注目の投資は今はやめておいたほうがいい。今の動き(特に債券)が自分の中の考えとハマっている人はマクロ投資のいい

【2021.07.08】長期金利低下が一時的インフレ予測を間違える余裕を無くす
iconJul 7, 2021
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昨夜の米国株式が過去最高値を更新する中、長期金利の低下がFOMCの金融政策運営を一層困難にしている。 ECBも2%強のインフレを容認する方向性だと報道され、ドイツ等の長期金利も昨夜一段と低下。 FOMC議事録は意見が二つに分かれているメンバーの議論を改めて示した。パウエル議長の一時的なインフレ宣言を信頼している市場が金利をさらに低下させ、金融緩和の長期継続と想定以下の経済成長リスクを再び意識した。 5月~6月のインフレがピークだったという見方が広がる中、FOMCの予測がハズれた際のリスクも高まっている。テーパータントラムを回避すべく台本通りのセリフを言い続けているパウエル議長の行動が裏目に出る可能性が顕在化。 日本で再び緊急事態宣言発令が検討されている中、足元回復していた鉄道、空運、観光やレジャー銘柄が再び手放されるだろう。日本において抜本的な業界再編は危機の中でしか起きないので、今回の長期化する需要低迷で脆弱な企業の再編が進むかもしれない。時価総額の約2倍の負債を抱えている私鉄の近鉄グループ(9041)は3月から資産と持ち合いの売却を進めており、株価が2012年の水準に下落。米国においては大手レンタカー会社や商業系リート等が破綻しており、少しずつ債務再編が進んでいるが低迷期が長引くほど日本もそういった局面に追い込まれるだろう。オリンピック後の大規模な経済対策が不可欠だろう。 最後

【2021.07.07】雇用指数の縮小をどう見るか?金利は低下へ。ドンキを見始めた。

昨晩の米国市場は、発表された経済指標が弱く雇用指数が縮小したことをきっかけに金利が大きくさがり長期金利は1.35%となった。米供給管理協会発表の非製造業総合指数(NMI)が60.1と鈍化し、雇用指数は49.3となった。需要不足が要因ではなく労働力不足が要因で雇用指数が弱いのだが、これによって雇用弱い⇒景気悪化という反応は謎でしかない。とはいえ、これがマーケットであるので、お伝えしている通りマクロベットの投資はなかなか難しい時期である。 個別銘柄探索ということで、最近はドン・キホーテ(パン・パシフィックHD)を調べている。インバウンド需要剥落などもあり、株価は過去1年横ばいとなっているが、インバウンド剥落は一周回って今期(6月決算なので22年6月期)の前年対比でのマイナス要因のはもうあまりならない上に、アジア事業や傘下のユニーが好調なのでここからはプラス面が効いてくるのではないか?というストーリー。インバウンドももしかしたら多少プラスになってくるかもしれない。 とはいえ株価もPERで28倍近くありそれなりの水準でもあるので、決算発表で出てくる会社計画の水準次第といったところかな。今の株価2370円が倍を目指せるようなアイデアではないと思うが、その分業績拡大は堅実と思われ、1年後には3000円を目指していけるといいなと思っている。インバウンドが復活するのは、旅行回復の中でも一番最後、海

【2021.07.06】原油価格一段高。米国ガソリン価格はすでに2014年水準。バンカメ分析をご紹介。
iconJul 5, 2021
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独立記念日で株式市場が休場の中、原油をはじめとしたコモディティ価格が値上がり。中古車価格に続き、原油価格も「年後半正常化」説に加わるのか。 昨日のOPEC+は結局合意に至らず会合を中止。サウジとUAEの対立が解決できず、一先ず8月の生産水準を据え置き。それを受けて原油価格が1ドル上昇し、4年ぶり高値を更新。足元、原油価格以上に米国のガソリン価格が上昇し、すでに2014年以来の水準。消費者の手元に現金がある状態でガソリン価格が上がっても払える状況を考えると、ガソリン消費が落ち込まずむしろさらなるガソリン高を招くだろう。 ほかでバンカメの面白い分析を紹介。2021年上期の株式リターンは過去100年で7番目に高かった。年換算で20%を超えるリターンを出した後、次の6か月のリターンは平均としてー9%。プラスは一回のみで2008年のリーマン危機後。それほど深く考えるものでもないが、年前半に満足する程度のリターンが出れば後半はさほどリスクを取らないという自然な行動。ただし、それは機関投資家の発想であり、個人投資家の存在感が高まっている現在においては同じ原理が働くかどうか。 主要市場の動き * ダウ 休場 * S&P 休場 * NASDAQ 休場 * FTSE 7164.91 (+0.58%) * 米国10年金利 休場 * 原油 76.26 (+1.46%) * ビットコイン 3783263円

【2021.07.05】雇用統計、選挙、あれこれ。

金曜日に発表された米国の雇用統計は市場予想+70万人に対して、前月比+85万人という結果となった。やや上振れた結果となったが、おおむね想定レンジの範囲内ということで市場全体に混乱は少なかった。前日にやや金利は上昇していたが、発表後には再度下落して落ち着くことに。連日繰りかえし金利の動きについては疑問を唱えているが、引き続き見方は変わらないものの最近の傾向と変わらない動きで落ち着いている。少なくとも雇用者数が大失速ということはなさそうな上に、ここ最近のテーパリング議論をさらに早めていくほどの衝撃の結果、ということでもないので、今週はマクロ的には波乱は少なそうな展開を予想している。 一方で、日本については週末に都議会選挙があった。自民党が第1党になったが、獲得議席数は予想よりかなり少なく、今後の自民党の政策にもかなり影響が出るのではないかと思っている。都民ファーストも健闘したとはいえ、議席を大きく落としており、小池都知事の行うコロナ対策が支持されているとはとても思えない。それを考慮すると、おそらく自民党は巻き返しを図るために、コロナ対策中心の政策から、今後は経済対策や休業補償など分厚くしつつ、ワクチン普及に向けて引き続き力を入れていくと考えている。しかし、もし敗因分析がコロナ対策の詰めが甘かったこと、という判断となった場合、上記とは逆の一層の締め付けを打ち出す可能性もあり、そのどちらに

【2021.07.02】雇用統計前に小康状態。秋口にかけて日本でも経済対策復活なるか。

昨晩の米国市場は、金利は微上昇、株も微上昇という流れ。新規失業保険申請件数が予想以上の改善を見せる一方で、製造業景気指数は良好なものの前月比で伸び悩み、全体として大きな流れにはならなかった。本日発表の雇用統計(市場予想+70万人)を前に小動き。雇用統計がどういう結果であれば、マーケットが上下するか読みづらい。市場予想を大きく超える数字だとすると、かえって金融引き締めの早期化が意識され金利上昇、株式下落になるかもしれないが、予想通りかややプラスくらいであれば堅調な景気回復として金利は微動き、株式市場は上昇という結果になるかもしれない。 いずれにしてもマクロで動きが決まって、指数買っとけば大体大丈夫!という市場環境は終わったように思う。結果的に株式指数も上がっているかもしれないが、可能なら個別銘柄を追いかけたほうが勝率は高そう。今週はアイデアブックにサンフロンティア不動産を投稿した。あまり流動性がない株なのと、数年を見据えたややロングタームの投資アイデアではあるが、秋口にかけてのワクチン普及率、その効果の顕在化、また政府による財政出動次第ではレジャー、旅行、ホテルなどの業態が一気に回復に向かう可能性もあり、その場合にはサンフロンティアも恩恵を受けるだろう。そのときは短期でのアップサイドも見込めると思っている。 ただこの短期ストーリーにのみベットするのであれば、わかりやすく航空株、レジャ