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注目のCPIが発表。5月は前月比+0.6%(前年同月比+5.0%)で市場予想の+0.4%(同+4.7%)を上回った。賃金も前月比で+0.5%。これを受けて朝方は長期金利も上昇。が、その後低下に転じて終わってみれば金利はさらに下がることになった。引き続き市場予想以上の伸びはしているものの、前月比の伸びが鈍化しているせいなのか、インフレが一過性で金融政策に影響ないという見方が最後は支配的にになった模様。 CPI発表前まで長期金利は低下していたので、そこからさらに低下したのは正直いって予想外。金利上昇に期待したポジションをアイデアブックでも投稿していたが、短期的には苦しい展開になりそう。 もっともこのインフレが短期的かどうかは数カ月みないと誰にもわからないのが本当のところ。一過性の見方の大半は夏にピークを迎え秋くらいから落ち着く、という意見。実際インフレ自体は僕も年末には落ち着き始めると思っているのだが、秋ころには失業保険の上乗せが消えるなど、労働者が労働市場に復帰することで雇用者数が大幅に改善すると考えている。つまり「インフレと雇用者数」両方が目標達成に近づいてくることを示唆するので、秋手前の夏ころの会話はインフレのみではなく、雇用者数も加味した金融政策の動向を探る展開になっているのでは?と考えている。 以上、テーパリング議論や期待値がかなり落ちたので、ポジションをクローズする必要もな
昨夜の米国市場が小幅な下落で終了する中、二日連続で長期金利が大幅に低下し3月半ばの水準に逆戻り。 先月の前月比+0.9%のコアCPI上昇は1970年代以来の水準。資材高、中古車価格の高騰等で大きく跳ね上がり、5月半ばに向けたリスクオフを引き起こした。早期テーパリング懸念が浮上し、10年金利も再び1.7%に迫る水準まで上昇していた。 ただし、今夜発表されるCPIの市場予想は「ピークインフレ」を織り込んでいる。前月比+0.9%を一過性とみなしエコノミスト予想が+0.5%と先月の水準から大きく低下し、ピークはもう過ぎた見込みとなっている。 その結果、今週はインフレ関連銘柄と資産が大きく調整している。米国の主力金融ETFのXLFが三日連続下落し、金利敏感銘柄が総じて低調。これまで好調だった金も$1900から反落し、3週間ぶり安値を更新。 しかし、発表前の市場反応は過剰な安堵に見える。 半導体等の供給網ボトルネックによるインフレは確かにいずれ解消されるであろうが、長引く傾向が見られ年末や来年のはじめまで残る展開になりつつある。と同時に賃金の伸びも想定以上の伸びを見せており、給料水準にも上昇圧力がかかっている状態。 50年ぶりの前月比水準が一過性だったかどうかは重要ではない。それよりリーマン後に起きた構造的なデフレと異なる局面にあるかどうかの見極めがポイント。ミーム銘柄が代表する過剰流動性相場
昨晩は長期金利がやや下がったくらいで、方向感のない展開。金利の動きにしても、木曜日のCPI発表に対する警戒含めた展開でもあり動き自体にあまり意味はなさそう。 あまり大きな話がないので、エルサルバドルがビットコインを法定通貨にする話にコメント。ビットコインがついに法定通貨!といわれるが、実際のところ通貨の歴史を考えたら全く目新しくないどころか逆行したような話である。金本位制、通貨を金の重さとした制度とほとんど変わらない。変わるところは、金の重さを表した兌換紙幣を用意せず(用意する?)、直接ビットコインでやり取りするくらいか。 自国の経済成長のためには通貨としてのビットコイン(金)を増やす必要があり、中央銀行はビットコイン(金)の保有に迫られる。といっても自国通貨がまさにビットコイン(金)なので、自国通貨では買えず、資本やサービスの輸出でビットコイン(金)を仕入れるしかない。逆に言えばその範囲の中での成長に抑えられてしまう。民間では、銀行で行う信用創造が大きな火種になる可能性がある。信用創造と数十年後の債務危機はセットであり、今のところ債務危機を救う唯一の解が(信用ある)政府による通貨供給。一方ビットコイン(金)だと上限あるため、債務危機によっては金に裏打ちされない通貨を発行して危機を凌いだ歴史がある。経済成長にキャップをかけるわ、危機にも全く対応できないわ、の使い勝手の悪い金本位制を
昨夜の米国市場全体は特に目立った動きがなかったが、ミーム銘柄の反発と世界初のアルツハイマー型認知症治療薬の承認で個別銘柄の商いが活発だった。 エーザイ(4523)とバイオジェン(BIIB)が共同で開発したアルツハイマー病治療薬の「アデュカヌマブ」がFDAに承認され、BIIBが40%上昇し、エーザイのADRも一時56%急騰。2003年以降、アルツハイマー病関連の承認はなく、今回の承認は事実上20年ぶりの進展。なおアルツハイマーの根本的な原因である脳内に蓄積されるアミロイドβプラーク(タンパク質)をターゲットにした薬剤が世界初。プラークの蓄積が認知症の原因だと考えられており、減少が見られたのは初めて。 今日のエーザイの株価は大きく反応するだろう。長年、多くの資金とリソースを投入してきた分野からいよいよ成果があがった。ただし、アルツハイマー治療薬の課題は、薬効を正確に測定すること。アデュカヌマブの臨床試験の結果は多くの医師に疑問視されており、承認後どれくらいの売上が見込めるかは非常に不透明。 ミーム銘柄も再び反発し、AMC(+14.8%)、BB(+13.8%)、BBBY(+7.2%)、GME(+12.7%)等が大きく値上がり。ただし、先週に比べて全体に占める出来高が現象。金曜日時点の空売りデータによるとAMCの一部のショートがカバーされ、4月に浮動株対比20%だった空売り残高が12%程度
雇用統計が発表され、非農業部門雇用者数は+56万人と市場予想の+65万人に到達せず。これを受けて、金融政策が直ちに変更されるリスクが遠のいたということで、金利が大きく下がりNASDAQ中心に株式市場は上昇した。その前日のADP雇用統計の動きとは真逆の展開であり、YouTubeでも話したが、相変わらずADP雇用統計のいい加減っぷりが露呈された印象である笑 賃金をみると前月比₊0.5%の伸び、前年同月比では₊2%と大きく伸びている。求人件数も810万件と記録的な高さとなっており、雇用者を求める動きは活発であるものの、労働市場に労働者が復帰していない状況がうかがえる。もはや雇用者数の伸びは鈍化している方が賃金はより伸びていくのではないか?と思える状態である。賃金の伸びがこのまま続いていくと、インフレは一時的なオーバーシュートから長期化する可能性も出てきそう。まぁこのあたりは実際に見てみないと何とも言えないことに変わりはない。 金利は下がったが金融株は下がらず+0.2%で終わっている。金利が下がればマーケット全体が強くなりそれに引っ張られるわけで、この読みづらい政策相場で言えばボラティリティの少ない、かつ業績の結果も残せる数少ないセクターになっている。政策相場が長引くほど金融株の優位性もこれまでになく長期化する可能性があり、過去10年超の相場とは異なる傾向。配当利回りや安定性も高めのセクタ
昨日の米国市場は約10日ぶりに金融政策相場となり、リスクオフ・オン相場から2週間程前の相場に戻った。新規失業保険申請件数が市場予想以上に低下、加えてADP雇用統計も市場予想上回り、長期金利が上昇することでNASDAQ中心に緩和縮小懸念から下がった。全面的なリスクオフという流れもなく、市場全体ではリスクテイクする環境は変わってなさそう。 また仮想通貨市場は落ち着きを取り戻しつつあり、昨日も全般的に強かったため、個人投資家のリスク許容度は減退してなさそうだ。昨日アミンがAMC株に触れていたが、AMCは新株の発行を発表し株価は20%安で引けた。一時、最大で35%近く下がる局面もあれば上昇に転ずる局面もあり、草コイン以上のボラティリティとなっている。繰り返し新株発行し、高値で資金調達を何度も行っているAMC自身が最大の勝ち組かもしれない。 その他、バイデン政権が法人税増税を撤回し、最低税率15%とする方針へ転換と報道。いつかのモーニングコメントで、富裕層増税と両方を同時に追いかけるのは難しいのではないかとコメントしたが、法人税の方を転換することになった模様。これによりダウは多少反応したが、全体的には金融政策相場の中であまり反応しなかった。 今日のマーケットは久しぶりに金融政策が意識される展開となりそうでもあり、そういう意味では直近とあまりかわらないポートフォリオで良さそうなので、個別銘柄候
全体が小幅な上昇で終わる中、水面下で凄まじい商いが行われた。 1月のゲームストップ騒動は歴史的ショートスクイーズを切っ掛けにメルビンキャピタルが50%の損失を被りシタデル等によって救済された。その後、個人投資家とHFを巻き込んだ議会の公聴会が開かれ、空売り報告等の規制見直しの議論が始まった。 昨日の米国株式相場はこの1月の激震を再び仄めかす展開となったが、今回の主人公はゲームストップではなく、一時倒産寸前まで追い込まれたAMC社である。 ゲームストップと異なり、発行済み株数を超える残高の空売り状態ではないが(AMCの現在の空売り残高は浮動株対比18%程度)、AMCがこれまで大量に発行してきた新株を背景にGMEの当時の時価総額を大きく上回っている(AMCの現在の時価総額は313億㌦、GME当時のピークは242億㌦)。 その結果、メルビンが破綻寸前となった同等の状況が発生している。 1月20日~1月27日にかけて空売りによってHF等にて2兆円を超える損失が発生した。5月25日~今日現在までは8000億円の損失となっているが、 最新の空売り概算データを見る限り、今日はどれもカバーされておらずむしろ最も上昇したAMC、GME、BBBYの空売りが積み増されている。 下図を確認頂ければ、1月のミーム銘柄(GME、AMC、BBBY、BB、PLTR、SPCE、RKT)全体の空売り損失の状況(上図)
昨晩の米国市場は金利はやや上昇し、株式市場は横ばい。金融緩和を気にした、金利の上昇⇒市場下落という流れにし対して、景気回復期待による買いが交錯し、株式市場は横ばいとなっている。 そんな中金融株は理想的な展開。どちらかといえば、景気回復、金利上昇圧力が強い中、市場全体の下落要素も薄れたことで、金融株がより安心感を持たれるようになっている。もともとバリュエーションだけでいえば金融株はどれも割安であり、上昇しても他と比べて高くないのも重要な点であろう。 過去10年超にわたり、金融株は金利や政策による一過性のセクターであったが、今回については比較的に長続きしていてどこまで続くのか見極めが難しい。バリューvsグロースのニューノーマルとして長続きするのか、今がピークで元に戻るのか、判断がまだ出来かねている。過去の動きから見ればそろそろ怖いと思ってしまうが、ファンダメンタル的には過去にないくらい向こう数か月(金利上昇が見込める)はスター状態となってもおかしくないとも思う。ここは追って調査が必要。 もう1点は原油。景気回復、経済再開から原油需要の拡大やその期待とともに原油価格は底堅く推移しており、徐々に上昇を続けている。足元はその通りなのだが、視点を少し先に延ばしてみると、脱炭素という文脈でも実は価格上昇してしまう可能性があることが気になっている。現状、脱炭素によって様々な化石燃料に対する設備投資
メモリアルデーで米国市場が休場の中、今週金曜日発表予定の雇用統計に関わる内容をご紹介。 毎月発表される 非農業部門雇用者数(NFP) の前に民間企業であるADP社が ADP雇用者数(ADP) を発表する。どちらも全国の雇用情勢を反映するものだが、集計方法が異なる。 NFPは労働省労働統計局(BLS)が全国の雇用サーベイのサンプルに基づいて集計。雇用主単位のデータであり、廃業や新規設立等の影響は集計上調整される。 ADP社はBLSの集計方法をベースに実際の給与支払いに基づいて計算される。 どちらも各月の季節的要因や過剰な一過性要因を除いて集計。NFPはさらに、その後三カ月間に渡って過去データの修正も行う。 そこで発生する問題は、コロナ禍そのものが季節を狂わせ、すべて一過性要因とも思われるような影響を及ぼしている。統計集計作業が極めて困難となり、ADPもNFPも正確な数字把握に苦労している。下図は過去のADPとNFPの人数差を表しているもので、コロナ禍の影響で過去にない乖離が発生している。先月も50万人弱の差があり、過去3番目に大きいズレとなった。 もう一つの課題は季節の調整。たとえば夏にプール関係の仕事が増えるのは想定内の出来事で、7月に全国の継続的雇用が突然増えているわけではない。コロナ禍はこれも狂わせてしまっているので、NFPサイト上にある季節調整前の数字をご覧いただければ、統計
金曜日の米国市場は小康状態といったところ。4月の個人消費支出価格指数(PCE)は前年同月比₊3.6%、食品・エネルギーを除くコア指数でも+3.1%(市場予想+2.9%)と、30年来の伸びを見せている。インフレが起きていることの確認ができつつも、予想の範囲内の伸びでもあり、マーケットは大きく材料視はしなかった。 金曜日引け後に自動車用半導体の大手、ルネサスエレクトロニクスの増資が発表された。約10%の希薄化。もともと2月にダイアログ・セミコンダクターを約6157億円で買収すると発表した際に、買収資金として新株発行の登録(最大2700億円)を行っており、増資自体にサプライズはなく、ようやく決まったのかというのが第一印象。通常であれば増資が発表されると短期的には需給面で株価は弱含む展開となるが、今回のように事前に発表されていた場合はすでに織り込まれている可能性もあり、一般的な動きに比べてそこまで下がらない可能性もある。実際、ルネサスを買おうと思っても、今後増資があるため二の足を踏んでいた投資家も多かったであろう。そういう意味では、正式に発表されたことで増資という不確定要素が排除され、ようやく投資対象として見れるようになった投資家もいると考えられる。 今期の予想ベースのPERで、希薄化後で22倍。ただし、買収先のダイアログ自体の利益貢献もあるため、単純にそれをプラスすると利益が10%強増え
昨晩は良好な経済指標を背景に金利は上昇。同時に株式市場はおおむね上昇。NASDAQのみほぼ横ばいの微減だった。金利上昇、株式上昇というリスクオン相場であり、今週前半のリスクオフ相場の反動と思われる。 水曜日のコメントでも記載したが、これまでの金利と株の逆相関性が今週失われ、むしろ正の相関を見せ始めている。金融政策がこれまでほどには市場の関心事項でなくなってきた(飽きてきた)可能性もあるので、要注意かなと思っている。その場合、市場が関心を寄せる次のものは何か?であるが、現状は全体的なリスクオフ相場への警戒と思われる。金融政策は引き続き重要なファクターであるが、インフレ見通しが長期にわたり定まらないことから、不透明性の増大に加えて暗号資産市場の動向含めて、リスクを落とすこと自体に関心が出てきたのかと思う。 もっとも昨日のように、新規失業保険申請件数が下がるなど、良好な指標が出れば反動でリスクオンになるなど現状では完全なリスクオフ相場とは程遠い。ベースとしてはインフレが進むことは考えられるので、良好な指標、インフレ↑、金利上昇はセットでこれからやってくると想定しており、その時の相場環境によって反応はまちまちではあるものの、リスクオン、ないし金利上昇懸念による一時的な混乱のセットが来ると思われる。 そう考えると、金融政策相場に少し飽きてきたところで金融株がもし下がるのであれば、それを拾って
相場全体で材料が乏しい中、年初にスポットライトを浴びた銘柄群が再び浮上中。 ユーチューブでも紹介させて頂いたが、年初は「ミーム相場」、「ショートスクイーズ相場」に多くの投資家の注目が集まった。民主 vs ヘッジファンドの戦いは1カ月半もの間に広げられ、3月ごろに鎮圧された。 しかし!現金給付、特別失業手当、全損に挫けない心を武器に「ウォールストリートベッツ」の一夜で大儲けの夢は決して終わらない! そこで「ミーム相場」を表現する新たな指標を誕生させてみた!年初に何百万人もの人々の心を捉えた銘柄を選び、米国相場全体の出来高に占める割合を計算。その銘柄群とは - GME(ゲームストップ) - AMC(AMCエンターテインメント) - PLTR(パランティア) - BB(ブラックベリー) - RKT(ロケット・カンパニーズ) - BBBY(ベッド・バス・アンド・ビヨンド) - SPCE(ヴァージン・ギャラクティック) - TLRY(ティルレイ) 一月半ばの上記銘柄群はなんと相場全体の 9% もの出来高比率を達成!売買されていた10株に1株がミーム銘柄であった!3月から4月にかけて株価暴落と同時に出来高も低下し、全体の1%未満の寄与に戻った。一通り騒ぎが終わったと思いきや、年初に決議された法案に基づき5月に再び$1400の現金給付が行われた。5月は4000億円相当の給付で、これまでの一時給付
昨晩は長期金利が低下し、株式市場も下落した。これまでの金利低下&株式上昇のセットから、ついにデカップリング開始か?という動き。たった1日の動きではあるものの、ターニングポイントかどうか考察。 1.暗号資産市場 暗号資産市場の動きが、個人のリスク許容度に影響を及ぼす不確定要素として繰り返し紹介してきた。今週に入りやや落ち着いた展開を見せているものの、ピーク時の価格から引き続き半減(といっても年初来で見れば、他資産比でもまだまだ良パフォーマンスだが・・)していることから、リスク許容度低下⇒個人投資家の株式売りとなっている可能性や、それを見越した短期勢の売却が発生している可能性がある。個人が金利のポジションを持つことはあまりないので、こういった動きは金利の動きとは無関係に発生することで、金利と株式のこれまでのセットからデカップリングが発生している、という話である。 市場コメント見ていると、昨日の動きはおおむねこのような見方に沿ってそう。実際、金利が低下したときに最初は株式市場は上昇していたのだが、場中に暗号資産市場が上昇から下落に転じていったことで、株式市場も下落していった。ただし昨晩の暗号資産市場の下落はかなり穏やかなものでもあり、むしろNASDAQの下落につられて暗号資産が下がったかのように見えるほどで(鶏と卵ではあるが)、金利が4-5bps低下したことを考慮(=機関投資家のこれまで
ピークから半値まで暴落していたビットコインを筆頭に暗号資産が20%前後値上がりする中で、材料不足だった昨夜の米国株式がテク主導で大きく反発。最近の相関を反映して金利もやや低下。 暗号資産において引き続き米中の規制強化の動きが強まる中で、引き続きイーロン・マスク氏の発言に遊ばれる展開がつづいている。昨日は米国市場におけるマイニングの電力を生成可能エネルギーにシフトさせようとしているとつぶやくと上昇ペースが加速した。1日で30%下がるのも、1日で20%上がるのも、どちらも無論不健全な価格形成を表している。昔から暗号資産がこの程度の値幅で変動するのは資産クラスの属性でもあるが、機関投資家や企業が取得している昨今においては参加者に過去と異なる打撃を与えている。 規制面でもう一つの重要な動きはコモディティ市場内で起きた。中国は独占、投機、買い溜めを一切容認しないと表明し、鉄鉱石、鋼材、金属等が大きく下落した。株式、暗号資産と同様に、過剰流動性を吸収していたコモディティからも資金が流出すると果たしてどこに流れるのだろうか。 今週は多くのマクロデータ発表を控えている。米国の住宅価格、新築販売件数、消費者信頼指数、耐久財受注、GDPとGDP価格指数、個人消費、PCE(連銀が好むインフレ指数)等々が発表される予定。 今日は日本株も米国株高を受け、連勝で始まるだろうが足元の上昇はより長い調整の中での反
金曜日の米国市場はまさに一服。PMI速報値が61.5と過去最高をつけて、市場予想60.2を上回る結果となったが、サプライズの薄い結果でもあり相場全体への影響は限定的であった。インフレ懸念からグロース株の多いNASDAQのみがやや下げたのが特徴的なマーケットであった。 インフレと金融緩和の見通しについては現状の情報からはかなり出尽くしたところまで来ており、サプライズなデータポイントが出ない限りは今週はややボラティリティの下がった動きになるのではないか。そんな中で、ボラティリティを乱す懸念は暗号資産市場の暴落である。週末ビットコインだけでも20%近く下げており、個人投資家のリスク許容度が下がっていることが株式市場にとっても懸念。暗号資産市場における痛みがどの程度株式市場に影響を及ぼすかは、実際に蓋を開けてみないとわからない。個人的にはテールリスクにつながるような影響はないと考えているが、NASDAQのようなハイテク株は投資家の重なりやvaluationの高さからやや影響受ける可能性がある。 週末にかけて中国の金融安定発展委員会が、ビットコインのマイニングや取引を取り締まることを再度発表。先週半ばには出ていた話だが、再度声明を発表したことが引き金となり暗号資産は下落した。中国の取り締まり自体は今に始まったことではなく過去に何度もこういった動きはあるのだが、具体的な取り締まり内容が全く発表
昨晩の米国株式市場はNASDAQを中心として反発。金利は下落。引き続き、金利下落&株式上昇セット、またはその逆セット、の動きとなっている。暗号資産市場も昨日は反発をしており、個人投資家のリスク許容度の改善を確認するような形でNASDAQ中心の上げとなっている。 ひも解いてみると、現在の市場を突き動かすファンダメンタル上の主要因は「FRBの政策。テーパリング(金融引き締め)の時期に対する見方」の1点であることに変わりないが、これに加えて(特に個人投資家の)リスク許容度という観点で「暗号資産市場の値動き」が意識される展開となっている。5月のフィラデルフィア連銀業況指数が31.5(予想43)と前月の50.2から予想以上に低下し、金利はこの発表をきっかけに下がっている。この金利の下げに加えて、リスク許容度の改善が昨晩の株式市場の要因かなと個人的には考えている。 まぁ要するに一服ですね。ここ最近は激しかった2週間でしたが、おそらくは今日金曜日はやや落ち着いた市場になるのではないか。来週以降もそうなる、ということではないが、定点観測としてはインフレや経済指標の動向を確認しつつ傾向に変わりなければ、引き続き市場とは無関係の個別銘柄、金融系銘柄などを中心にしばらく様子を見てみる感じ。加えて暗号資産市場の動きもウォッチして個人投資家のリスク耐性が維持できるかの確認なのかな。 なお資金循環を考えると、
昨夜の米国相場は寄りの大幅下落から引けに向けて徐々に回復したが、正直株式相場のファンダメンタルズより暗号資産の極端の動きに誘導されていた印象が強い。 実際、テク主導の反発が始まったタイミングは暗号資産がセリング・クライマックスを迎えた瞬間。 過去一年間で多くの個人投資家、機関投資家のポートフォリオに組み入れた暗号資産の動きは全体のリスク管理の一部となっているのは間違いない。特に機関投資家の場合、ポートフォリオの一部が突然30%下落するとリスク管理、レバレッジ管理の観点で静観の選択肢はない。 3月末のアルケゴス事件からリスク資産への黄信号を申し上げ、4月中のコインベース上場やドージコイン騒ぎ当たりからより強いバブルへの警戒を呼び掛けてきたが、依然としてリスク資産全般は脆い局面にあると考えている。 昨日のFOMC議事録も想定外な展開にテーパリング議論の開始を示唆したが、暗号資産に乱暴に誘導されていた市場はそれをじっくり消化することができず一日の取引を終えた。特に今回の緩和・財政バブルの影響が最も明確に顕在化している市場は株式ではなく債券相場である。ハイ・イールド債(ジャンク債)と名目金利差は2007年のリーマン前の水準に縮小し、本来であれば元本回収リスクを最も懸念すべき債券投資家がいかに過剰なリスクを負っているかが現れている。 蛇足ながら昨夜の暗号資産暴落で多くの個人投資家がはじめて暗
昨晩の米国市場は下落して終了。4月の住宅着工件数が前月比9.5%減少したことが失望視されたとのことだが、これは額面通りには受け止められないと思っている。これまでで言えば、弱い統計結果⇒金融緩和継続⇒マーケット回復というのが1つの流れであった。特にここ最近の金融緩和終了に対する警戒が強く意識される状況ではなおさらである。事実、住宅着工件数が発表された直後はマーケットは反発しており、その後徐々に下落していくこととなった。 ここから示唆される可能性は大きく分けて2つ。 1つは、金融緩和か引き締めかではなく、単純にリスクオフの流れになってきていること。仮想通貨市場において顕著であるが、特に米国個人投資家がリスクオフ⇒保有資産を圧縮して現金化している可能性が高く、こういう局面が株にも波及し金融緩和の有無に関わらず売りが強まっているという見方。 もう1つは、住宅着工件数が予想より低いのは、そもそも木材価格の高騰など供給側の事情で着工できない事情があり、需要が弱い(景気回復が遅れている)わけではないという点。つまり供給が絞られていることで、よりインフレ圧力が高まる⇒金融引き締め&金利上昇を連想させて、結果的に「見た目弱い統計⇒実は強いインフレ圧力を確認⇒金融引き締めの懸念⇒マーケット下落」という流れになったという見方。 個人的にはどちらも混在していると思うが、個人投資家に多いのが前者、機関投資家
昨夜の米国株は先週の回復から一旦小幅下落。再びグロース主導の調整で、ナスダック銘柄を中心に低調。 株がもみ合いを続ける中、堅調な建築需要等に支えられていた木材先物が月曜日に大きく下落。7月限月の先物が4.5%値下がりし、6日連続の下落となった。5月7日につけた最高値から20.6%暴落。供給が細る中、需要の先食いで先物が急騰してきたが、需給バランスが落ち着きつつあると考えられている。 ビットコインはイーロン・マスク氏の公開喧嘩に遊ばれ、テスラが売った憶測で大きく下がったのち、売ってないと表明したマスク氏のツイートを受け反発。暗号資産を代表するビットコインは4月の高値から30%下落。短期的に14日RSI等は売られすぎをシグナルしているが、この水準を維持できなかったら一段安のリスクが現れそう。 その中で個人的にも注目している金が上昇し、1月以来の高値を更新した。これまで続いていた資金流出が止まり、実需を含めた流入が加速している。世界最大の金ETFのGLDは、3月~4月にかけて4500億円の資金が流出したが5月に入ってから750億の流入。インフレ懸念と実質金利上昇で再び注目されており、ジュエリーと中央銀行の実需も回復中である。 中国が輸入規制を緩和した関係で国内需要が戻り、3月は1年ぶりの高水準の金輸入量を記録(下図)。 先日はアイデアブックにも金のアイデアを投稿したが、ご興味のある方は下
金曜日の米国市場は長期金利が落ち着き低下。4月の小売売上高が前月比横ばい(市場予想+1%)とやや低調に終わったことも金利が落ち着くキッカケとなった。長期金利の上昇が一服したことで、株式市場も落ち着きを取り戻し、それまで下がっていたハイテク株を中心に幅広いセクターに買い戻しが入った。 景気回復とともにインフレは加速してくのか、あるいはあくまでインフレ上昇は一過性に過ぎないのか、FRBの基本的な見方は後者であるが、この2つを行ったり来たりしばらくはマーケットは繰り返していくのだろうと予想。言い換えると、予想を超える経済指標が(連続して)出てくると金利上昇が開始されマーケットは混乱、予想通りor以下の指標が出てくると金利は低下してマーケットは落ち着く、といった流れ。しかし低調な指標が連続してくると、そもそも経済回復しているのか?という別の懸念が出てくるため、長期金利が横ばいを維持して株式市場のみが上昇し続けるケースはそれなりにナローパス(予想ピッタリの結果がずっと出続ける)のように思える。 過去1年に渡り市場全体が回復し、マクロやテーマ性などセクター単位での動きが支配的であったが、上述のようなインフレを中心とした見方が定まらない限り、市場全体の方向性もまた定まらないだろう。期間にして最長半年といったところ。この間はマクロというより、個別性の強い銘柄、またインフレ、金利、景気動向に左右され