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元ゴールドマンサックスのマネージングディレクター。2017年末に引退し2018年1月にクリプタクト社を設立。少年時代はコーディングばっかり。GSのITに入社後、... Read more
昨夜の米国株式市場は金曜日のオミクロン恐怖を払拭してナスダックを筆頭に大きく反発。下がっていた原油や長期金利が上昇し、VIXも大幅下落。南アの医療関係者がオミクロン株の重症化リスクに対して前向きな発言をしたことが好感され、金曜日に広まっていた不安が沈静化した。 私は長く相場に関わってきた身として日々の値動きに意味を見出そうとする癖がある。大体の場合は需給やポジショニングだけで決まってしまうのを理解しつつも。金曜日と今日のような値動きを見ると、思わず「相場はオミクロン株の感染力や重症化リスクに対して何かを知っているかも!」と思ってしまう。実態はもちろんより簡単であって相場は何も知らないまま、買いと売りが出会う価格でひたすらと上下しているのみ。要はプロでもボラティリティに左右される。 そして今の相場にボラティリティが豊富にある。 コロナ禍時代の一つの特徴は、極端な、大胆な行動に対する抑制が効かなくなっていること。 いわば決断のボラティリティ。 2年前まで、副作用や変異株の発生を懸念しワクチン開発は10年間かかると言われてきた。今はオミクロン株に対するワクチンを100日以内に出荷できると、ファイザーやモデルナが発表している。いうまでもなく短期間で成し遂げた技術革新は凄まじいが、オミクロン株の分析が始まったばかりのタイミングですでに出荷に向けた準備をしていることに違和感を感じざるを得ない。
昨夜の米国株式市場はナスダックを中心に値上がり。発表された主要なマクロ指標はすべて想定を上回り、継続的な金融緩和の必要性が再び問われる展開となった。高いインフレ指標及びFOMCの議事録発表でテーパリング加速に加え利上げの前倒し観測がさらに強まり、カーブのフラット化と同時に2年金利が一年ぶりの高い水準に上昇。 具体的には個人所得が予想の+0.2%に対し0.5%伸び、支出も1%の予想に対し+1.3%。ミシガン大学消費者マインド調査も67.4と先月急低下した水準からやや安定。一方連銀が好むインフレ指標であるPCEは先月の+4.4%からさらに加速し、+5%を記録。再び30年ぶりの高インフレを確認。 それを受けてドル指数も2020年1月ごろの水準を回復した。お金の量(=M2)を40%弱拡大してきたにも関わらず、ドルの相対的価値がここまで急速に戻っているのは正直、驚いている。ドル円も115円台半ばまで上昇し、2017年1月以来の円安。 これまで超ハト派のFRBを理由に多少の高いインフレでも放置されると期待されたことから、本来であれば高リスク資産の株式・コモディティ・仮想通貨等がある意味、債券化した。皮肉なことに債券自体はインフレゆえに持つことができず。「下がったらすぐに下支えするだろう」といったモラルハザードが市場の恒常的な特徴となっている。そうすると高リスク資産の継続的なリターンが事実上「保
昨夜の米国株式市場はここ数日の流れが一旦終わり、全体が下落。先日の10年、30年債に続いて20年債も不調な入札結果となったが、ここ一週間の金利の急上昇が一服し金利が全体的に低下。バイデン大統領も引き続きガソリン価格に対して口先介入を繰り返し、FTCにエクソンとシェブロンへの調査を命令したと報道された。これを受けて原油価格が3%値下がり。 本日は「まもなく」発表されるはずのパウエル議長とブレイナード理事のFOMC議長対決に関して少しだけ考えてみたいと思います。 お二方の違い パウエル議長とブレイナード理事の主な違いは、あまりない(笑)。しいて言えば大手金融機関に対する金融規制に関してはブレイナード理事がより厳格な姿勢。パウエル議長がウォーレン議員等に名指しで批判される際は主に金融機関に対するやや緩い態度が主な原因。どちらもハト派であり、どちらも資産価格を気にする富裕層でもある。そうなるとどっちになって関係ない!と思うかもしれないけど、一つ重要な(市場の想像による)違いがある。 利上げのタイミングを巡る論争 ブレイナード理事は別に明確に利上げのタイミングに関して何か方針を出しているわけではないが、市場の見方として彼女のほうがより長くインフレを「我慢」するとみているだろう。実際のスタンスはともあれ、市場のこのビューが、FOMC議長人選発表のタイミングで様々な資産に現れるだろう。 金利カー
昨夜の米国株式市場は金利高を受けやや低調な展開。原油価格は引き続きバイデン大統領の戦略備蓄放出命令を懸念しもみ合い。昨日は珍しくカーブがスティープ化(短期金利より長期金利の上昇幅が大きかった)し、30年金利が一時2%を回復した。 FOMCのインフレに対する手遅れの対応が懸念され、市場が利上げの前倒し観測を強める一方。 本日のコメントにて少し米国から離れて、全世界のインフレ状況を見てみたいと思います。 ツイッターでもこちらのコメントでも継続的に米国のインフレ状況を紹介しているが、決して米国に限った現象ではないことを改めて強調したい。特に欧州におけるインフレは米国と同様に30年ぶり高い水準を記録し、インフレの「見て見ぬふり」姿勢はパウエル議長だけの演技ではない。 以下の図で全世界のGDPの約80%を占める国のインフレ(名目CPI)推移をまとめてみた。 右に行けば行くほど、全世界が真っ赤に染まっていく。 ヨーロッパに加えてアジア、先進国、資源国すべてが数十年ぶりのインフレを経験している。ずっとマイナスだった日本でもプラスに浮上。 先進国の中央銀行は「コアCPI」や「PCE」を重視し、ボラティリティの高いエネルギーや食料品を除いて政策決定をするが、足元のインフレにおいてすべての項目が高ボラティリティ化している。以前も何度か申し上げたが、この環境下で本来であれば価格転嫁ができない業種でも転嫁
昨夜の米国株式市場は1990年11月ぶりの6%強の名目CPIと二日連続の長期国債入札不調を受け大幅安。なおどさくさに紛れてショートセラーっぽい投資家から中国恒大集団の破綻を煽るプレスリリースが出され、全体が久しぶりに大きく揺らいだ。 特に昨日の10年債、今日の30年債の入札不調が印象的であり、PPIにつづきCPIの発表で債券投資家の価格センシティビティーが高まっていることが伺える。 CPIに関してツイッターで纏めておりご覧ください: https://twitter.com/aminimaz/status/1458428494627565569 中国恒大集団の報道についても今朝報告しているのでご確認ください: https://twitter.com/aminimaz/status/1458533085616631808 https://twitter.com/aminimaz/status/1458561926447845376 さて、本題へ。 昨日の米国金利が全体的に大きく上昇し、相変わらずフラット化(短期金利が相対的に長期よりも上がる)が進んだ。利上げの前倒し観測が強まる一方、中央銀行による政策ミスの可能性や金利上昇による景気後退の懸念から短期・中期(2年~7年)金利が平均的に11bps程度上昇したのに対し、10年~30年金利は8bps~9.9bpsに留まった。 その中で一番動い
昨夜の米国株式市場はテスラ売却騒動を吸収し再び最高値を更新。今夜のPPIと明日のCPI発表を控え短期金利を中心に上昇しフラット化がさらに進んだ。 今日は東芝の分社化報道を受け、多くの日本企業で見られるコングロマリット・ディスカウントを少し深堀してみたいと思います。 報道によると東芝はインフラ(電力、交通、エレベーター等)、デバイス(リテール向け商品、ハードディスク等)、半導体メモリーの三つに分け、「コングロマリット・ディスカウントの解消」を目標とした再編を検討している模様。 このコングロマリット・ディスカウントとはどういうものか、投資家がどう捉えているのでしょうか。 東芝のセグメント業績を見て頂くと7つの異なる事業を手掛けていることがわかる。それぞれ2000億円~7000億円の売上規模と、0.5%の薄利から9%の高営業利益率の事業がある(ROS=return on sales、売上高対比収益=営業利益率)。 投資家は東芝のような企業を評価する際はどういった指標を使うのでしょうか。表面的な収益だけを見て全社の株価収益倍率(PER)を使うケースがもちろん多いが、長期投資を見据えた大手機関投資家はSOTP(サム・オブ・ザ・パーツ)分析を用いるケースもある。 財閥系の歴史がある日本において、複数の異なる事業体で形成されている企業が多数存在する。 SOTPとは、それぞれの事業の理論的な価値を
昨夜の米国株式市場はイベント通過やショートカバー等で大きく最高値を更新。ただし、金利はカーブ全体が上昇し、スティープ化が進んだ。 歴史的なFOMC決定会合の記者会見を改めて分析してみたいと思います。 パウエル議長のそれぞれの発言の裏にFOMC自体が経験したことのない金融情勢が伝わってくる。これまでにあった金融政策の方向性に対する「自信」が感じられない会見となった。 主な質問と回答、そして私の見解は以下。 The markets anticipates that you will raise rates once or twice next year -- are they wrong?(相場は来年1,2回の利上げを織り込んでいるが相場の見方が間違っているのでしょうか) この質問に対する答えは主に目の前にあった資料からの棒読み。内容の趣旨は「様子を見ながら判断する」ということだったが、決して相場の判断を否定したわけではない。ついでにインフレは来年のQ2やQ3に減速するとの見解を示した。 アミン:何回も「um」とか「eh」と相槌を打ちながら答えた。ほかの質問への回答で見られなかった躊躇。ECBでも現れたが、相場の見方を否定すると思わぬ反応がでる恐怖があるだろう。 > Do you think it is possible that maximum employment could be
昨夜の米国株式市場は各国の中央銀行決定会合前に一段と値上がりし、再び最高値を更新した。今日は先週YCCを突如諦めたRBAのミーティングに注目。 その前に金利は米国金利が小康状態だったが、6カ月物の入札がやや不調な結果となった。市場の利上げ観測が急速に前倒しとなっている中、市場参加者の短期金利の水準へのセンシティビティーが高まっている。 マクロから一旦離れて、今日発表された最大手商業系リートのサイモンプロパティーグループ(SPG)のQ3決算をみてみたいと思う。 一株当たりFFO(償却前不動産収益による税引き後キャッシュフロー)は$3.13と、市場予想の$2.53を24%上回り、売上も$13億ドル(市場予想$12.1億ドル)と予想を超過し、極めて好決算であった。年間のFFO予想を$9.70~$9.80から$11.55~$11.65に大きく上方修正し、実績も予想も市場コンセンサスの上限を超える着地となった。一株当たり配当も10%増額。 発表後に電話会議を行ったサイモン社長のコメントが非常に印象的だった: * Q3の入居率が92.8%とQ2から1%改善。 * 米国内のNOI(償却前不動産利益)は前期比24.5%改善し、年初来8.8%の伸び。 * 年初来、3500の新規と既存テナントとリース契約を締結。これはコロナ前の2019年の同時期対比30%の増加。 * モールテナントのQ3売上高は20
昨夜の米国株式市場はS&Pに引っ張られ約0.5%値下がり。金利とコモディティ価格も低下し、直近の上昇に対するポジション調整を思わせる展開となった。 金利の低下とやや矛盾する形で、カナダ中銀が資産購入の終了を発表し利上げの前倒しを示唆したり、ブラジルも大きく1.5%の利上げを行い12月にも同じ規模の利上げをすると表明したりして、全世界的に引き締めの動きが加速している。それと同時に今夜発表予定の米国GDPに対する成長懸念が高まり、引き締めの影響を上回り金利が低下しカーブがフラット化。GDPは市場予想で年率~2.5%伸びる見込みだが、Q2の6.7%から大きく減速の見通し。かろうじてマイナスを予想しているエコノミストもいる中、スタグフレーションが再び話題になりそう。 一方、自動車大手のフォードが好調なQ3決算を発表し市場予想を上回る着地と想定を超える年間見通しの上方修正を発表した。ところが、中身をみると売上成長を牽引しているのは好調な台数増とシェア拡大ではなく、単価上昇とその他要因。下図を見てください。 ハイライト: * 北米においてQ3の出荷台数が16%減少したものの、売上は5%の減収に留まった。 * 同地域でQ3累計も9%の出荷減に対しむしろ7%の増収。 * 欧州でも似た傾向があり、Q3の9%出荷減少に対して7%の増収。累計も0%と+20%とそれぞれ同傾向。 * 自動車事業全体をみると
昨夜の米国株式市場はS&Pを基準にして過去最高値を更新。フェイスブック等の決算内容はまだら模様だったが、売り材料に興味のない相場は引き続き上値を追いかけて上昇中。 なお昨夜は歴史的な出来事があり1兆ドルの完成車メーカーが初めて誕生した。昨年に倒産し再建中のハーツレンタルから10万代の受注をもらったニュースを受け、テスラの株価が13%弱値上がりし、時価総額が1兆ドルを突破。テスラの時価総額が何度も話題となっているが、少し違う切り口で同社の驚くべきバリュエーションを表現しようと思って朝一からエクセル作成に時間を使ってしまい気が付いたらもう9時。 それはさておき、以下の図で世界の大手完成車メーカーの1台当たり(販売台数ベース)の時価総額を比較してみた。各社の決算発表資料をベースに足元の半導体不足や供給網の逼迫をある程度考慮し、なんとなく「アミン予想」を集計。これを時価総額対で比較するとテスラの評価がまさに天を目指して暴騰中であることが一見でわかる。 「伝統的」とも言うべき他の大手は一台当たり約150万~400万円の価値を与えられているのに対し、テスラは現在の販売台数を考慮すると約1億3000万円の評価が付与されている。 言い換えればテスラの1台当たり時価総額が他社並みのものになるには販売台数は現在の約90万台から30倍の2700万台になる必要がある。ほかの大手を4~5社を合わせた規模とな
昨夜の米国株式市場は小康状態。主要指数はマチマチ。金利とコモディティが上昇。値動きに関して多く語れない一日だったが、今後のボラティリティにつながる多くの報道や発表があった。 一先ず米国民主党の、未だに党内コンセンサスが取れない予算決議案。穏健派(?)のアリゾナ州シネマ議員の反対で再び主要政策の財源である増税計画の修正を考えざるを得ない展開となった。シネマ議員は個人及び法人の最高税率の引き上げに反対し、彼女の同意がなければ共和党と真っ二つに分かれている上院での可決が不可能。民主党は急いでほかの財源政策を提案しはじめているが、元々3.5挑ドルだった予算決議案の規模が2兆ドルを下回るのは確実であろう。さらなる減額もあり得る。 民主党の政策は決してマーケットフレンドリーではなかったが、方向性がはっきりしていれば個人と法人と市場参加者は準備する余地があった。年末まであと2か月しかない時期に財源づくりが難航し、どこがどう影響されるかが不透明になってしまった。今後、予算決議案関連の突然のヘッドラインで想定していなかった業種や資産への影響が出るのも時間の問題であろう。 次は未だに収まらない中国恒大集団危機。同社株は9月30日以降、不動産管理子会社の合生創展集団への売却報道で売買停止状態だが、どうやら破談で終わった模様。恒大に不可欠な手元流動性の積み増し対策だったが、協議を取りやめ今日から中国恒大株
昨夜の米国株式市場は金利が上昇したもののナスダック中心に値上がり。金利高とグロース安のセットが機能せず、バリューがグロース対比大きく下落し想定外な一日であった。その背景に急速に織り込まれている利上げの前倒しシナリオがある。 昨日の金利高は長期主導ではなく2年~7年の短中期債だった。2年債が0.425%に上昇し、2020年2月年ぶりの高い水準。5年債は1.17%と2019年12月の水準に迫っている。一方30年金利は0.8bpsの下落で、5年と10年金利スプレッドも2020年9月以来の低い水準。 それに合わせて主流のiSharesバリュー対グロースのETFペアが1.2%下落し、2カ月ぶりの値下がり率。バリューである金融の決算が絶好調の中で意外な値動き。 これらの動きが意味するのは、相場が早急に来年の複数回の利上げを想定し始めている事。現在、2022年6月の金利先物は50%の確率で利上げを織り込んでいる。ご参考までに8月末は1%であった。なお2022年12月はほぼ100%の確率で2回の利上げが織り込まれている。この先物は7月ごろ50%程度に過ぎなかった。 この2か月で発表されているインフレ指標は間違いなく相場のセンチメントに影響を与えているが現段階では金利と金利先物に限定された動き。 高インフレが2年間長引かないなら正直、債券市場の動きが行き過ぎている面もあるかもしれない。一方、高インフ
昨夜の米国株式市場は足元の金利上昇が一服したことから小幅な値上がり。金利低下とグロース上昇のセットがまだ健在でナスダックが1%弱の値上がり。 CPIに関して昨夜ツイッターで状況と見解を共有したのでご興味のある方はご覧ください: https://twitter.com/aminimaz/status/1448267080248152067 なおその後に発表されたFOMC議事録はテーパリングスケジュールをより明確に描いた。先月の決定会合にて委員会メンバーのコンセンサスは11月スタート、毎月購入金額を150億㌦減少し、2022年6月に終了する見込みであった。多くのメンバーこれまで通り、テーパリングをしている間は利上げの議論をするのが好ましくないと述べた。 JPモルガンの3Qは市場予想を上回り好決算だったが、株価は2.6%下落。バンキングでM&A助言手数料が四半期として過去最高の水準だったが、個人向けとコーポレート向けローンの期末残高はそれぞれ2%と5%減少し、レンディング関連事業は未だに軌道に乗らず。ただしクオリティが回復しており、コロナ後に大きく積んだ貸倒引当金が21億ドル減少。なお金利低下も株価下落に拍車をかけたであろう。 デルタ航空も決算後に5.8%大きく下落。調整EPSと売上は両方ともコンセンサス以上であり、旅客関連のKPIも想定以上だったことから第2四半期に続いて3Qも黒字を記
昨夜の米国株式市場はエネルギー高とドル高を受け1%弱の下落。国債市場は休場のため金利高は伴わなかったが、欧州市場の中長期金利が軒並み上昇した。ドル円も113円台に上昇し、水面下の金利上昇圧力が現れた。 今週は相場が消化しないといけない出来事が盛りだくさん: * 火曜日から多くの連銀関係者が講演等に出演予定。先週の雇用統計数字に対する見解が出揃う。 * 水曜日にCPI発表。エネルギー高が今回の名目数字にどこまで影響するか。 * CPIの数時間後に前回FOMCの議事録。テーパリングスケジュールがよりはっきりするだろう。 * 水曜日~金曜日に米国主要企業の決算がはじまる。 * JPM * デルタ航空 * バンカメ * ドミノピザ * ウォールグリーン * ウェルズファーゴ * モルスタ * シティグループ * アルコア * ゴールドマン・サックス * 等々 企業決算に関しては以前申し上げたようにインフレ圧力と供給網逼迫の影響がどう現れるかが要注意。Q3のコンセンサス予想はQ2対比改善を見込んでいるので8月にあったデルタ株蔓延や資材高の打撃をフルに織り込んでいるかはやや怪しい。 なお最近あまりコメントしていないが、中国恒大集団からの利払いがまだ行われず株式も依然として不動産管理部門のM&A発表を待ち売買停止。あわせてドル建て債券の値下がりが続いており、9月の25銭水準からさらに5銭さがり、
昨夜の米国株式市場は共和党が債務上限の12月末までの引き上げに応じる報道でマイナス圏から反発。コモディティ市場は天然ガスの30%の乱高下と原油供給の回復で一旦大きく調整。日経は8日連敗だが、今日はいよいよプラス圏で引けるのだろうか。 共和党のマコネル上院院内総務は昨夜コメントを提示し、少額(?)な債務上限引き上げに応じると発表。現在の28兆㌦から29兆㌦程度まで上がれば12月末まで持つが、年末に再びこの茶番劇が繰り返される。相場が待ち望んでいたベストシナリオでは決してないが、短期的な債務不履行が回避された。 コモディティ市場はプーチン大統領の供給増発言や、米国へのカナダからの供給回復で一旦大きく調整した。インフレ圧力が弱まらない中、供給の正常化を目指すと同時に各国の政治家が家計にもろに打撃を与えるコモディティ市場への口先介入も増加。 日経平均が12年ぶりに8日続落したことが話題となっているが、2000年以降に8連敗以上はほかに6回ある。その後の株価は短期的に回復しているケースが多いが、もう少し長期的にみるとまだら模様。 今回は指数の絶対的なバリュエーションもやや高く、コロナバブルにおける資金流入も継続的にあった背景から反発後の戻り売りの可能性が高いと考えられるが、米株対比の相対的な割安感等から日本だけが売り込まれるシナリオにならないのでは、と思っている次第。 金融所得の増税は確かに
昨夜の米国株式市場はナスダックを中心に全体的に下落。GAFAM等のグロース銘柄の下落が大きく、過去1週間でバリューがグロース対比約4.6%勝っている。これまでの大幅調整は金利上昇が伴っていたが、昨夜の長期金利はやや上昇した程度。10年金利は先週水曜日につけた1.5%台に戻らず、株価の下落と同時に債券買いが走る典型的なリスクオフ局面。 一方、ブルームバーグが集計する現物コモディティ価格指数が過去最高値を更新。世界がエネルギー不足に陥る中で、昨夜のOPEC+会議にてさらなる増産が期待されていたがこれまで通りの増産計画が維持された。原油・天然ガスが大きく値上がりし、WTI原油が2014年以来$77台に。 いうまでもなくコロナバブル効果で需要が維持されているが、供給が追い付いておらず。中国や欧州のエネルギー不足はすぐに解消されず、冬に向けたさらなるインフレ圧力となるであろう。FOMCも「一時的」な主張を諦めたが、いつ、どの程度でインフレが緩和されるかは予想できていない。公式に来年中にインフレが再び2%に近づくと見込んでいるが、今年の予想同様に実際の予想よりメッセージ性がほとんど。 日本と違い、米国企業は躊躇せずコストプッシュインフレを顧客に転嫁する。これから始まる米国第3四半期の決算においても個別銘柄が足元の価格上昇に対しどうコメントするか、あるいはどう実際に価格改定をしたかが注目される。
米国株式市場はより前の反発をすべて戻してしまい、小幅な値上がりにとどまった。寄り前のナスダック先物は1%強の値上がりを示していたが、金利の高止まりで小幅な下落で取引を終えた。 テックを中心としたグロースの調整は足元の金利上昇で説明できるが、全体を考える上でそれ以上に注目すべき指標がドル指数。2020年3月以降に株、仮想通貨、コモディティ、不動産等の上昇を裏付けたのは「Cash is trash」=(現金がゴミ)の発想。前代未聞の財政対策と金融緩和でお金の流通量が急増すると同時にその価値が急落した。その価値の目減りを代表したのがグローバルリザーブ通貨であるドル。 ドル指数はユーロ、円、ポンド、間ドル、クローナ、フランの六つの通貨のバスケットに基づいて算出。世界の主要通貨対比のドルの価値を示すもの。コロナショック時は大量の流動性供給で100の水準から下落し始めて2021年のはじめに2018年2月以来の低水準を記録した。「現金を持っていても意味がない」ことから様々なリスク資産に大量の資金が流れた。たとえば今年に米国株式ETFへの資金流入は5000億㌦(56兆円相当)にのぼり、全世界で約1兆㌦が株に流れた。これは過去20年間の累計金額を超える凄まじい規模である。 ただし、ここ数日金利上昇と同時にドル指数が今年の高値を抜いて2020年10月以来の水準を回復した。先進国で利上げ観測が増える中、
昨夜の米国株式はエネルギー価格上昇と金利上昇を受け軟調な値動き。日中のコメントにて複数の連銀総裁がテーパリング開始を示唆する中でナスダックを中心に先週の反発から一旦下落。一方、「オールドエコノミー」銘柄中心のダウが小幅な値上がり。 コロナ禍は次々と前代未聞の出来事を起こし、間違いなく金融史に残され今後も多くの研究の対象になるであろう。昨夜はそこにもう一つの歴史的な出来事が加わった。2020年中の個別銘柄取引で倫理的配慮が足りないと批判されていたボストン連銀のローゼングレン総裁と、ダラス連銀のカプラン総裁が同日に引退を表明。ローゼングレン総裁は木曜日に、カプラン総裁は10月8日に辞任する。二人ともタカ派でありこれまで早期テーパリングとバブルへの懸念を主張していた。 2022年に利上げを予想していた9人のタカ派メンバーの二人が消えたことによりしばらくFOMC内のパワーバランスが不透明な状況に。社会問題が深刻化する前に二人が身を引いたことによりパウエル議長の再任へのハードルの一つも消えたであろう。 FOMC内の勢力が不透明感を増しているが、長期金利上昇が続いている。昨夜は30年金利が一時約1.5か月ぶり2%を、10年金利も2カ月ぶりに1.5%を超えた。5年金利は2020年2月以来、0.95%を超え1%の手前まで上昇。 金利上昇を受けてバリュー対グロースのポジションが再び面白くなったと考え
昨夜の米国株式市場は5月以来の値下がり率で昨年10月以来の50日平均に対する下落を記録。先日S&P500の「立入禁止線」を紹介したばかりだが、早速この水準を割り込んだ。引けに向けて米株らしく押し目買いが入ったが、引け値は今月初めの最高値から約4%下落。 原因はいうまでもなく中国恒大集団(エバーグランデ)だが、何カ月も恒大の状況を紹介してきた身としてやや不思議と思いつつも、こういう局面の相場はいつも織り込み度合いが判断しづらい。恒大の話は先日のモーニングコメント、ツイッター、弊社ユーチューブで紹介しているので昨日まであったことの説明を割愛。 過去24時間でメディアやニュースで良く「これはリーマン級の危機ではない」というフレーズを見かけた。それは無論そうであって、エバーグランデ級の危機である。危機はそれぞれ異なる特徴を持ち、リーマンで起きたことだけに注目して今回の危機を理解できないであろう。不動産の証券化商品の爆発ではなく、これまでそれを許さなかった国においてGDPの1/4を占める産業における連鎖リスクと社会秩序の崩壊が目の前に起きている。 恒大を救済することにより習近平政権が掲げる格差是正の目標が著しく損害される。同社をやり玉に上げなければこれまでの規制強化の効果が問われる。と同時に救済しなければ中国が最重要視する平和的な社会秩序が危うくなるであろう。 欧米の多くの市場参加者は救済を
昨夜の米国株式市場は本日のトリプル・ウィッチング(オプション・先物の同時決済日)の前に小康状態。想定外の強い小売売上高を背景に長期金利が久しぶりに上昇したが、来週のFOMCまで様子見状況が続きそう。昨日ツイッターで共有した中国不動産最大手である中国恒大の破綻危機が意外と注目されたので、本日は少し恒大の現状を紹介しようと思う。 中国恒大がここまで追い込まれた背景には主に二つの要因がある: * 過剰なレバレッジ * コーポレートガバナンスの失敗 これら二つの問題により、年々バラナスシートを膨らませ、コア事業以外に自動車、観光、金融、音楽等々の産業に参入し、気が付いたら約40兆円相当の資産を抱える巨大企業となっていた。 恒大のコーポレートガバナンスの失敗とは、グループ全体の統括ができず各子会社で不正や不手際が発生したり、社長の殆どの財産が同社株だったため無理して頻繁に自社株買いを行ったり、資金繰りをきちんと管理せずどんどん建設等のコミットメントを増やしたり。 なお政府の格差是正政策により中国の不動産市場が冷え込む中で恒大の抱えている潜在的なリスクが一気に顕在化した。その結果、同社の債券の格付けが複数回格下げされ、株価と社債が急落中。 6月末の現金残高が867億元(1.4兆円)だが、過去3年間の平均水準が約1600億元であり足元キャッシュが半減している状況。一方、6月末の短期借入が2400