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昨晩は大きなニュースのない中でリスクオン。債務上限問題が2か月程度分の上限引き上げに合意したことが強いて言えばポジティブな話として受け止められるが、正直言ってこの問題を本当にリスク視していたとは思えず、自律的な反応として下落相場からの反発の地合いが強かっただけだと思う。今晩の雇用統計までは大きなニュースもなさそうであり、ポジション調整が相場の主たる変動要因といったところだったのだろう。まぁそれで上方向に動くのは、相変わらず米株の強さというか、底堅さなのかもしれないが。 日本株も追加ニュースは少ない。水曜日のコメントで、場中の動きに注目といったが、寄り付き後の下がり、予想外?のマイナス引けであったことは個人的にはそれなりに重く感じている。少し上がるとやれやれ売りがでるので、需給の観点でやや弱気。選挙で今より政権が安定することはなさそうなのが、相場が強くなれない一番の要因だと思っている。11月まではその不確定要素が晴れることもなく、あるとすれば岸田政権がより具体的で好感される経済対策を発表すること。選挙対策もあり、具体的数字は控えているようだが、どこかで出てくれば流れが変わる可能性もある。 あまりにもニュースが少ないので、台湾TPP加入申請に絡んで1つだけ。台湾がTPPに加入することがもし決まると、台湾が1つの国家であることが国際社会である意味デファクト化することになり、中国は絶対に受
昨夜の米国株式市場は共和党が債務上限の12月末までの引き上げに応じる報道でマイナス圏から反発。コモディティ市場は天然ガスの30%の乱高下と原油供給の回復で一旦大きく調整。日経は8日連敗だが、今日はいよいよプラス圏で引けるのだろうか。 共和党のマコネル上院院内総務は昨夜コメントを提示し、少額(?)な債務上限引き上げに応じると発表。現在の28兆㌦から29兆㌦程度まで上がれば12月末まで持つが、年末に再びこの茶番劇が繰り返される。相場が待ち望んでいたベストシナリオでは決してないが、短期的な債務不履行が回避された。 コモディティ市場はプーチン大統領の供給増発言や、米国へのカナダからの供給回復で一旦大きく調整した。インフレ圧力が弱まらない中、供給の正常化を目指すと同時に各国の政治家が家計にもろに打撃を与えるコモディティ市場への口先介入も増加。 日経平均が12年ぶりに8日続落したことが話題となっているが、2000年以降に8連敗以上はほかに6回ある。その後の株価は短期的に回復しているケースが多いが、もう少し長期的にみるとまだら模様。 今回は指数の絶対的なバリュエーションもやや高く、コロナバブルにおける資金流入も継続的にあった背景から反発後の戻り売りの可能性が高いと考えられるが、米株対比の相対的な割安感等から日本だけが売り込まれるシナリオにならないのでは、と思っている次第。 金融所得の増税は確かに
昨晩の米国株式市場はいったん反発。9月の非製造業総合指数も、61.9と前月61.7より上昇し、予想の60.0を超えた結果であったこともプラスだったと思うが、というよりかは自律反発の様相。金利も上昇し、リスクオフのトレンドがいったんリスクオンになったという展開。 今日の日本株もこの流れを受けていったん反発するだろう。さすがに直近では下落が続きすぎていたので、いつ買いが入ってくるのか待たれる局面ではあった。ただ買いが続くのか、あるいは上がったところでの、やれやれ売りが出てくるのか、場中の展開に注目している。特段イベントもなくあらかたニュースも出尽くしているので、今週は需給見極めの相場となりそうだ。金曜夜に米国では雇用統計があり、その結果次第で金利が大きく変わる可能性もあるためイベントがあるとすればそこ。 総裁選が終わってから日経平均は2000円以上下落しており、金融所得課税の税率引き上げ検討を理由にする声も大きい。その要因はあると思うが、どちらかといえば日本株だけ政権交代による政策の期待先行相場が終了しただけのようにも見える。日本株は強かったがグローバルにはリスクオフ相場になっていたため、それに追いついてきた。政権としては経済対策と景気回復を先に行いたいはずであり、増税はその後の話として考えていると思われる。実際そういった話をしているかと思うが、報道ベースだとどうしても増税の話が先行し
昨夜の米国株式市場はナスダックを中心に全体的に下落。GAFAM等のグロース銘柄の下落が大きく、過去1週間でバリューがグロース対比約4.6%勝っている。これまでの大幅調整は金利上昇が伴っていたが、昨夜の長期金利はやや上昇した程度。10年金利は先週水曜日につけた1.5%台に戻らず、株価の下落と同時に債券買いが走る典型的なリスクオフ局面。 一方、ブルームバーグが集計する現物コモディティ価格指数が過去最高値を更新。世界がエネルギー不足に陥る中で、昨夜のOPEC+会議にてさらなる増産が期待されていたがこれまで通りの増産計画が維持された。原油・天然ガスが大きく値上がりし、WTI原油が2014年以来$77台に。 いうまでもなくコロナバブル効果で需要が維持されているが、供給が追い付いておらず。中国や欧州のエネルギー不足はすぐに解消されず、冬に向けたさらなるインフレ圧力となるであろう。FOMCも「一時的」な主張を諦めたが、いつ、どの程度でインフレが緩和されるかは予想できていない。公式に来年中にインフレが再び2%に近づくと見込んでいるが、今年の予想同様に実際の予想よりメッセージ性がほとんど。 日本と違い、米国企業は躊躇せずコストプッシュインフレを顧客に転嫁する。これから始まる米国第3四半期の決算においても個別銘柄が足元の価格上昇に対しどうコメントするか、あるいはどう実際に価格改定をしたかが注目される。
相場は反発。米国の8月の個人消費支出が前月比+0.8%と市場予想(+0.6%)を上回ったほか、9月のISM製造業景気指数も61.1と上昇したことなど、金曜日は好調な経済指標が目立ったため景気後退のなかテーパリングを行うという警戒感が和らいだ。さらに、製薬会社メルクがコロナの経口治療薬の中間臨床試験の結果を公表しており、コロナ治療薬への期待も含めて相場全体の後押しとなった。 他にはインフラ法案、気候・社会保障関連歳出法案の計4.5兆ドルの歳出に関して、可決に向けてバイデン大統領がより積極的に調整を行うような報道や雰囲気はあった。ただこれ自体はあまり大きなニュースでもなく、コロナ治療薬と好調な経済指標が直近の市場の下げに対して反発を呼び起こしたといったところ。 あまり大きなニュースもないので、個別ネタで少し気になったニュース。2週間ほど前にもブルームバーグでニュースになっていたが、アコーディアゴルフが4000億円近い価格で10月末に売却されるかもしれない。アコーディア+ネクストゴルフの計170ゴルフ場が対象の模様。2年前までシンガポールに上場していた(170コース全てではないが)ときは600億円程度の時価総額だったのでそこからすると驚きの価格ではあるが、もしこの価格で売却できたとすると気になるのは平和が保有するPGMゴルフの140ゴルフ場。170で4000億円とすれば、単純に考えれば1
昨日の米国市場は、株式が取引時間中に下落を拡大していく展開だった。新規失業保険申請件数は増加するなど、経済指標はまちまちであり、金利も一時1.57%まで上がりながら大台の1.5%を割って下がった。典型的なリスクオフの動き。 インフレの懸念、予算審議の膠着、債務上限問題の懸念など、実際にリスクが顕在化するかどうかはさておき、インフレと金利の高騰に端を発して防衛意識が強まっている状況である。結果リスクオフで金利が下がる展開となっており、金利が上がっても下がっても株式は売られるという弱気な市場となった。大きくいえば、テーパリングに向けて株式市場が弱気相場入りしたということかもしれない。こうなるとテーパリング自体はさっさと実施してもらったほうが、不透明感の解消という意味で市場にとってもいいのだろう。 日本株は11月の選挙、及びそれ以降の政策相場を見据えて引き続き強め。ただ岸田さんが総裁となり、選挙で自民党はどの程度議席がとれるのか?具体的な政策が何か?が、いよいよ焦点になるであろう。金融所得課税の税率を引き上げるという報道もあり、やや市場が警戒している。本当にするかどうかはさておき、先に増税の報道が出るのはやや微妙なところ。選挙前に増税をうたって勝てるほどの状況に自民党があるのかも不明だが、一方で増税をするなら選挙前に言っておかないと難しい面もある。金融所得の税率を引き上げるのであればそれ
米国株式市場はより前の反発をすべて戻してしまい、小幅な値上がりにとどまった。寄り前のナスダック先物は1%強の値上がりを示していたが、金利の高止まりで小幅な下落で取引を終えた。 テックを中心としたグロースの調整は足元の金利上昇で説明できるが、全体を考える上でそれ以上に注目すべき指標がドル指数。2020年3月以降に株、仮想通貨、コモディティ、不動産等の上昇を裏付けたのは「Cash is trash」=(現金がゴミ)の発想。前代未聞の財政対策と金融緩和でお金の流通量が急増すると同時にその価値が急落した。その価値の目減りを代表したのがグローバルリザーブ通貨であるドル。 ドル指数はユーロ、円、ポンド、間ドル、クローナ、フランの六つの通貨のバスケットに基づいて算出。世界の主要通貨対比のドルの価値を示すもの。コロナショック時は大量の流動性供給で100の水準から下落し始めて2021年のはじめに2018年2月以来の低水準を記録した。「現金を持っていても意味がない」ことから様々なリスク資産に大量の資金が流れた。たとえば今年に米国株式ETFへの資金流入は5000億㌦(56兆円相当)にのぼり、全世界で約1兆㌦が株に流れた。これは過去20年間の累計金額を超える凄まじい規模である。 ただし、ここ数日金利上昇と同時にドル指数が今年の高値を抜いて2020年10月以来の水準を回復した。先進国で利上げ観測が増える中、
昨晩の米国市場は大幅安。金利の上昇が止まらず、それを受けて高Valuationのハイテク株中心にグロース株が売られる格好となった。金利が上がることで株式のValuationの是正が行われる、という意味で昨日ようやく株式市場が反応した。それにしてもここ数日の金利の上げ方は大きい。昨日も長期金利は6bpsあがり1.5%をしっかり超えてきた。直近の高値の1.7%を抜けるかがポイントだが、上げ方の急ピッチぶりが株式市場をやや混乱させ、下落をさらに誘発していると思われる。 金利が、いつ、どの程度に落ち着くのかが注目。金利の絶対水準の1.5%は正直あまり高くもなく、どちらかといえば引き続き上方向のリスクは十分あるが、個人的には今1.7%を超えて上がり続けることもないと思っており、向こう1か月は1.6%が上限としていいところなのではないかと考えている。11月からのテーパリング開始、来年の利上げ可能性の増加、という観点で先週のFOMC以降、数日遅れて金利の上昇が始まったが、ここに米国の債務上限問題やインフラ法案に紐づいた歳出増加などがさらに輪をかけている。ただし、債務上限問題(債務上限引き上げできなければ国債のデフォルトリスクもあり得る)によって債券が売られ金利が上がるのは理論的にはその通りなのだが、過去何度もあったこの問題は、それが大きく意識されたときはリスク回避で米国債が買われて金利が下がる、
昨夜の米国株式はエネルギー価格上昇と金利上昇を受け軟調な値動き。日中のコメントにて複数の連銀総裁がテーパリング開始を示唆する中でナスダックを中心に先週の反発から一旦下落。一方、「オールドエコノミー」銘柄中心のダウが小幅な値上がり。 コロナ禍は次々と前代未聞の出来事を起こし、間違いなく金融史に残され今後も多くの研究の対象になるであろう。昨夜はそこにもう一つの歴史的な出来事が加わった。2020年中の個別銘柄取引で倫理的配慮が足りないと批判されていたボストン連銀のローゼングレン総裁と、ダラス連銀のカプラン総裁が同日に引退を表明。ローゼングレン総裁は木曜日に、カプラン総裁は10月8日に辞任する。二人ともタカ派でありこれまで早期テーパリングとバブルへの懸念を主張していた。 2022年に利上げを予想していた9人のタカ派メンバーの二人が消えたことによりしばらくFOMC内のパワーバランスが不透明な状況に。社会問題が深刻化する前に二人が身を引いたことによりパウエル議長の再任へのハードルの一つも消えたであろう。 FOMC内の勢力が不透明感を増しているが、長期金利上昇が続いている。昨夜は30年金利が一時約1.5か月ぶり2%を、10年金利も2カ月ぶりに1.5%を超えた。5年金利は2020年2月以来、0.95%を超え1%の手前まで上昇。 金利上昇を受けてバリュー対グロースのポジションが再び面白くなったと考え
金曜日の米国市場の動きはほぼ横ばい。中を見るとハイテク株は売られてNASDAQは微減したが、シクリカル系の銘柄を中心に上がった。FOMCから1日遅れで金利が上昇をし始めており、金曜日も引き続き大きく上昇。金利がどの程度の水準で落ち着くのかわからないが、いったん落ち着くまではValuationの高いハイテク株より低Valuationの株の方が選好しやすいだろう。 8月の新築住宅販売件数が予想を上回るなど、デルタ株が拡大した後の指標でも強いものが出てきており、コロナ再拡大による経済への懸念よりも経済回復の路線が再度意識されつつある。クルーズ船を運営するカーニバルの決算も予想より良かったうえに、今後の予約状況がコロナ前を上回るとのことで、こういった動きもレジャー・旅行系が再度見直し買いされやすい局面であった。 今週の日本株もグロースよりバリュー株が優勢になりやすいのかな、と思う。特に金利がようやく上がっているので、保険や銀行などの金融株は先週に続いて今週も底堅そう。感染者数激減の話もあり、コロナ前への回復を意識したコロナ負け組銘柄の復活もありそう。ただ不動産関係については、恒大の話が及ぼす不動産市況全般という意味で、やや影を落としそうでもある。 仮想通貨も変動の激しい1週間であった。SECのゲンスラーによる規制関係のコメントや、もはや何度目なのかよくわからない中国が規制強化するという話な
23日の米国市場は、金利が1.4%台へ急上昇。21-22日に開かれたFOMCで、FRBが早ければ11月にテーパリングを開始し、利上げも22年中に行われるシナリオがより現実化しつつあることが示された。これを受けて22日の債券市場はメッセージの消化に混乱しており、金利が上昇する局面もあれば、下落する局面もあり方向性が定まっていなかった。一方で、昨日の23日は金利が上昇し始め最終的には1.4%台に乗せることになった。欧州の中銀もタカ派なメッセージを出し続けていることから各国の利回りが上昇しており、珍しく?米国の利回りも他の国債の流れに追随していったような模様となった。 もっとも、FOMCの受け止め方は引き続きやや混乱している部分もあり、株式市場では「特段のサプライズもなく、引き続き緩和姿勢の継続。利上げも当面ないことがわかった。」という受け止め方であり、金利の急上昇が示すようなタカ派なメッセージとは思っていない。むしろ安心感から昨日は大きく買われることとなった。 異なる市場で異なる動きとなっているように見えるが、あえて整理してみれば、株式市場の動きのように緩和姿勢の継続だったとしても、現状の金利水準はあまりに低すぎたため是正が入ったということはあるだろう。1.3-1.4%の水準というのは、あまりにハト派、ないし経済に対して悲観的すぎるとは思う。 他、中国の恒大についての懸念がいったん後退
シルバーウィークの休暇中でコメントもお休みしていたが、その間に今さら?中国の恒大の話に反応した。日本でも日経新聞で繰り返し紹介されていただけにこのタイミングで意識されるのはやや驚いたが、一度は意識される局面を迎えるものでもありアルアルだろう。 個人的にはこれまでマーケットはこの問題は大きな問題に発展しないと見ている、と考えており、事実結局はそうなのだろうと思っていたし、現在もそこは変わっていない。この辺りはアミンと見方が異なるかもしれない(休暇中で話してないのでわかりません)。つまり、 ①恒大が何らかの形で救済される ②恒大は破綻するが金融システムは救済される(セーフティネット) ③法的には破綻せずに(日本で言うと)私的整理の形で債権が整理される ④無秩序に破綻 大まかに4つわけると、①‐③になると考えていて、本線は②と思っていた。どうも報道等によると③の可能性が最も高そうだが(利払停止報道が出た際に政府が債権者通達している)、あるいは②及び③のセットなのか。 結局この手の問題は「信用不安」という連鎖反応が起きるかどうかであり、それが起きない、あるいは起こさなければ、ある企業が破綻しその債券や株式を持つ金融機関のデスクはクビになる、という話であり、金融機関ごとバンバン消滅するという話ではない。信用不安を防ぐには、最後は短期資金供給というセーフティネットを金融システム全体に用意するこ
昨夜の米国株式市場は5月以来の値下がり率で昨年10月以来の50日平均に対する下落を記録。先日S&P500の「立入禁止線」を紹介したばかりだが、早速この水準を割り込んだ。引けに向けて米株らしく押し目買いが入ったが、引け値は今月初めの最高値から約4%下落。 原因はいうまでもなく中国恒大集団(エバーグランデ)だが、何カ月も恒大の状況を紹介してきた身としてやや不思議と思いつつも、こういう局面の相場はいつも織り込み度合いが判断しづらい。恒大の話は先日のモーニングコメント、ツイッター、弊社ユーチューブで紹介しているので昨日まであったことの説明を割愛。 過去24時間でメディアやニュースで良く「これはリーマン級の危機ではない」というフレーズを見かけた。それは無論そうであって、エバーグランデ級の危機である。危機はそれぞれ異なる特徴を持ち、リーマンで起きたことだけに注目して今回の危機を理解できないであろう。不動産の証券化商品の爆発ではなく、これまでそれを許さなかった国においてGDPの1/4を占める産業における連鎖リスクと社会秩序の崩壊が目の前に起きている。 恒大を救済することにより習近平政権が掲げる格差是正の目標が著しく損害される。同社をやり玉に上げなければこれまでの規制強化の効果が問われる。と同時に救済しなければ中国が最重要視する平和的な社会秩序が危うくなるであろう。 欧米の多くの市場参加者は救済を
昨夜の米国株式市場は本日のトリプル・ウィッチング(オプション・先物の同時決済日)の前に小康状態。想定外の強い小売売上高を背景に長期金利が久しぶりに上昇したが、来週のFOMCまで様子見状況が続きそう。昨日ツイッターで共有した中国不動産最大手である中国恒大の破綻危機が意外と注目されたので、本日は少し恒大の現状を紹介しようと思う。 中国恒大がここまで追い込まれた背景には主に二つの要因がある: * 過剰なレバレッジ * コーポレートガバナンスの失敗 これら二つの問題により、年々バラナスシートを膨らませ、コア事業以外に自動車、観光、金融、音楽等々の産業に参入し、気が付いたら約40兆円相当の資産を抱える巨大企業となっていた。 恒大のコーポレートガバナンスの失敗とは、グループ全体の統括ができず各子会社で不正や不手際が発生したり、社長の殆どの財産が同社株だったため無理して頻繁に自社株買いを行ったり、資金繰りをきちんと管理せずどんどん建設等のコミットメントを増やしたり。 なお政府の格差是正政策により中国の不動産市場が冷え込む中で恒大の抱えている潜在的なリスクが一気に顕在化した。その結果、同社の債券の格付けが複数回格下げされ、株価と社債が急落中。 6月末の現金残高が867億元(1.4兆円)だが、過去3年間の平均水準が約1600億元であり足元キャッシュが半減している状況。一方、6月末の短期借入が2400
昨夜の米国株式市場は景気拡大を示すマクロ指標の発表とエネルギー価格上昇を受け先週の下落から反発。本来であれば景気拡大インジケーターでテーパリング懸念が高まるはずだが、これまで何度もあった株価上昇と金利低迷の一日だった。景気や金融政策の話よりも、2021年は実はテクニカルが主導な年かもしれない。 テクニカル指標は正直あまり重視してないし、得意でもない。その中で一番よく見るものは移動平均線。相場においてトレンドがつづく傾向が強く、テクニカル指標の中で移動平均線が「効く」局面が多いとも言える。今年の米株上昇の裏には50日移動平均線(=「立入禁止線」)もかなりの影響を与えているのでは、と思っている。過剰流動性で株を買うしかない発想がすべてを支配する中、50日に近づくたびに押し目買いが走り、急反発を繰り返す。インフレやテーパリングや業績等といった本質的な要素に関係なく、このパターンの継続が2021年を代表している。 これは別に2021年特有の要因では決してなく、2013年~2014年、2017年にもよく見られた現象。ということでTINA(=株を買うしかない)はコロナ禍でも平時でも通用し、緩和財政バブルはただ単に上昇の角度を上げたのみとも言えそう。 最後にツイッターでも何回も紹介した中国恒大がいよいよ破綻と債務再編に向かっている模様。10兆円の負債を抱える最大手不動産企業のデフォルトが中国の不
米国の8月のCPIが発表された。食品・エネルギーを除いたコア指数で前月比+0.1%(市場予想+0.3%)、前年同月比+4.0%(市場予想+4.2%)と市場予想を下回り、7月の結果である前月比+0.3%からも鈍化した。これを受けて金利は下落。株式市場は当初上がっていたが、最終的に下落して引けた。 このCPIの結果を受けての論点は2つ。①インフレが見た目通り鈍化しているのか、②そうだった場合にそれは株式市場にとってポジティブなのか。 まず①については、そうであればパウエル議長がいうインフレは一時的であり年末にかけて落ち着いていくという見通しと合致することになる。早期のテーパリング観測はやや後退したとはいえ、その上で年内テーパリングの検討開始と言っているFRBの見方通りの進んでいるので、テーパリングの時期については誤差の範囲であろう。 一方で、インフレに対する懸念は引き続き根強い。特にCPIの40%のウェイトを占める家賃が下がっておらず、10月以降に雇用復帰して都市部に戻ってくる人たちの家賃高騰が懸念されており、一時的ではなくこの高止まりした水準を維持するのではないか?とみられている。昨日の金利の反応を見るに、8月CPIについてはいったん表面通りの鈍化を意識した動きとなっているが、このインフレ持続説もくすぶっており、すぐにFRBの見方がコンセンサスになることもなさそうだ。 ②についてはさ
昨日の米国株式市場は久しぶりに反発。CPIの発表が今日あり他にも今週消費者信頼感指数の発表など、デルタ株で感染が再拡大している中で経済にどういった影響があるのか、ある程度の見通しをすることが可能となるだろう。市場の意識が向きやすいだけに事前にマーケットも弱含んでいたが、昨日はいったん反発を見せることとなった。短期的には指標が全体的に弱く、金融緩和継続が再度意識される方がいいのかもしれないが、本質的にはインフレ、消費者信頼感指数ともに強くでることで実態の経済がデルタ株の影響をあまり受けずに回復していることの方が株式市場にはプラスに効きそうだ。 一番の最悪は、CPIは強い一方で消費者信頼感指数は悪い、という状態で、これは悪いインフレを想起させ、FRB含めて難しい判断を強いられることになりそうだ。現状では過度にそれを意識する必要はないと思うが、米国経済は春から初夏にかけてすでにペントアップデマンドを取りつくしたという話もあり、さらなる需要拡大の源泉に投資家たちも頭を悩ませている。 例えば、先日ご紹介したブリッジウォーターのレイ・ダリオの6月末時点のポートフォリオなどは、米国株は消費財はじめとしたディフェンシブ銘柄で固められており、明らかに今年後半の米国経済に対してやや慎重なポートフォリオとなっている。ちなみに、保有している景気敏感株はアリババである。個人的には中国銘柄の細い穴を当てるより
8月の米国卸売物価指数(PPI)が前年同月比で+8.3%と過去10年で最大の伸びを示したことで、インフレへの懸念が広がった。金利は上昇し、株式は下落。今週発表されるCPIによっては、テーパリングだけでなく利上げの議論も市場では意識され始める可能性もある。相変わらずデルタ株の蔓延が経済にどう影響を与えるのか不透明でもあり、影響があるとすればインフレの上昇も割り引いてみられる可能性もあるが、その場合は経済自体が弱くなることを示唆するため、どっちにしても不透明感の抜けない相場が続きそうだ。 失業保険の上乗せも今月で終了になるだろうし、個人の労働市場への復帰と投資への資金流入に変化が見られるかどうか。個人的にはテーパリング含めてさっさと行った方が、先行きの不透明感が消えて市場にとってはポジティブなような気もする。まぁ市場のためだけに金融政策や財政があるわけではないので、あと1-2か月の辛抱か。 日本株は先週4%近く上昇して独歩高の様相だったが、さすがに今週からは日本株固有の話だけでは動かないと考えている。グローバルに共通するネタ、結局は米国の金融政策と経済の動きに反応する相場になると思う。あとは選挙もまだ先であり読むのが難しいが、昨日の朝日新聞による政党支持率調査によると、自民党支持率が37%と前回の32%から大きく増えた。投票先でも43%(前回35%)と大きく伸びているため、総裁選の動き
米国株式市場は微減。今週の新規失業保険申請件数は31万件と先週からさらに減少。株式市場は経済回復とテーパリングの狭間で揺れ動いてる状態である。金利は昨日は低下となった。債務上限問題が控える中、国債の発行が十分でないため再投資先の少ない現金がリバースレポに大量に流れているという記事が日経新聞にも出ていたが、超長期の国債の入札も昨日は良好であり、その結果全体的に金利が下がることとなった。債務上限引き上げが行われればこの辺りは落ち着くと思われるが、不透明なうちは国債に資金が流れやすい可能性がある。 SBIが新生銀行に対してTOBを発表。49%まで買い上げることを目的とし、価格は2000円とのこと。銀行に対しての大規模なTOBは近年珍しい。さらに新生銀行の対応次第では敵対的TOBになる可能性があるとのことで、事前に根回しをしたディールではないのが注目される。もともとSBIは20%近く保有する筆頭株主であったが、マネックスと新生銀行が近づいたことで関係悪化、今回のTOBに至るという話もあるが、それだけで30%近く買い増して実質上限いっぱいで買い上げるとも思えない(銀行を50%以上保有するとSBI本体の事業にも制約がでるため、49%がギリギリ)。 他の地銀と違って、新生銀行に対して49%も取りに行く理由はやはりレイクブランドの消費者金融はじめとした、個人向け金融事業に注目していると考えられる。
昨日の米国株式市場は小幅な値下がり。ナスダックは2週間ぶりの下落率でこれまでの上昇トレンドにやや一服感が見られた。 過去24時間以内に連銀メンバー二人がコメントを発表し、先週の雇用統計の下振れに触れつつも早期テーパリングを引き続き支持している姿勢を示した。ブラード総裁は1100万人近い全米の求人数を述べ、一カ月の弱いデータに左右されないと述べた。年内のテーパリングを想定し、来年上期までに終了したほうが望ましい見解を示した。インフレ圧力が長引いた場合、2022年内の利上げの選択肢を残したいとし、これまで通りのタカ派姿勢を維持した。 カプラン総裁も似たメッセージを発信し、テーパリングの発表を9月に行い10月から開始したほうがいいと述べた。現在行っている資産購入は供給網の問題への解決でないとし、テーパリングを遅らせた場合は政策運営の柔軟性がなくなる恐れをハイライトした。 先週の雇用統計後、相場は無限緩和が永久的に継続される期待が強まったがタカ派メンバーの態度は変わってない模様。 本日のECBでも想定より早いテーパリングが示される可能性。ラガルド総裁はこれまでパウエル議長と同様の「市場を驚かすな」姿勢を堅持してきたが、ユーロ圏も高インフレ、供給不足、需要過多の問題を資産購入で解決できない現状を認め始めている。 金融政策の主軸がコロナの感染者数である限りリスク資産の価格に対して本質的な議論は